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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■「強きを助け、弱きを見捨てる」、これがGoTo政策の本質だ ~利益を受けるのは所得の減っていない人~

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【本日のニュース・記事】

 

■「強きを助け、弱きを見捨てる」、これがGoTo政策の本質だ~コロナ強者に集中する補助金の恩恵~

週刊現代講談社)2020.12.13(野口悠紀雄一橋大学名誉教授)

 


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最も弱い部門が大きな打撃を受けている

 

宿泊業や飲食サービス業、あるいは娯楽業などの対人サービス業が、外出自粛や営業規制によって深刻な事態に陥っている。

これらの業種の零細企業は、日本経済で最も賃金水準が低い弱い部分だ。

 

2020年7 - 9 月期における賃金水準(四半期の人件費/人員計)を法人企業統計調査でみると、全産業・全規模では、122.8万円だ。

ところが、企業規模別にみると、大企業(資本金10億円以上)が175.8万円であるのに対して、零細企業(資本金1000万円以上 - 2000万円未満)では96.7万円と、ほぼ半分にすぎない。

 

宿泊業の零細企業では75.6万円であり、飲食サービス業の零細企業では61.1万円に過ぎない。

娯楽業の零細企業では、85.1万円だ。

 

そして、上述のように、宿泊業の零細企業では、7-9月期に人員が昨年比で実に7割近く削減されている。

つまり、新型コロナによる経済停滞は、もともと日本経済で最も弱い部分を直撃しているのである。

 

だから、この部門に対する対策が必要なことは間違いない。

しかし、そうした場合の政策は、サービスの価格を操作することではなく、事業者に対する直接の補助金として与えるべきだというのが、経済学の基本的な考え方だ。

 

GoTo政策はこの基本原則に従っていないために、以上のような問題が起るのである。

さらに、つぎのような問題もある。

 


利益を受けるのは所得の減っていない人

 

 

GoTo政策は、サービスの価格を安くしているので、その恩恵はサービスの購入者にも及ぶ。 

そして、こうしたサービスの購入者は、必ずしも所得が減っている人ではない。

 

つまり、Goto政策の恩恵は、所得の減っていない人にも与えられている。

というよりも、恩恵を受けている人の多くは、所得が減っていない人だろう。

 

なぜなら、所得が大幅に減っている人や、職を失った人々は、旅行や外食に補助が与えられても、観光旅行にいったり、豪勢な外食をしたりする余裕はないと考えられるからだ。

だから、GoTo政策で支出をしているのは、比較的恵まれている人々だ。

 

この意味でも、GoToは強者に対する補助になっている。

そして、コロナ下においても、所得がほとんど影響を受けていない人は多い。

 

というより、数からいえば、所得が減った人の方が少ないのだ。

実際、家計調査報告によると、勤労者世帯の実収入は、前年よりむしろ増えている。

 

5,6,7月は、定額給付金の影響で著しく増えた。

それ以外の月においても、前年比で2%程度の増加が続いている。

 

なお、法人企業統計調査においても、2020年7 - 9 月期における賃金(人件費計/人員計)は、全産業、全規模で見て、対前年同期比で、2.3%下落したに過ぎない。

 


「悪魔のプラン」に傾きつつある日本

 

GoTo政策が強者のための政策だというのは、所得に関してだけではない。

年齢階層別に見ても、問題がある。

 

新型コロナの感染が拡大している中で観光旅行に出かけたり外食をしたりする人は、「人々と接触してコロナに感染したとしても、重症化する危険は少ない」と考えているのだろう。

それは、若い健康な人たちの考えだ。

 

基礎疾患を持っている人や高齢者は、割引があるからといって観光旅行に出かけたり外食をしたりはしない。

そうすれば、コロナに感染する恐れがあるからだ。

 

そして、感染すれば重症化する危険がある。

死の危険に比べれば、GoToによる利益はない等しい。

 

結局のところ、コロナに対して強者であるものが、GoTo政策の恩恵に浴することになる。

 

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■「強きを助け、弱きを見捨てる」、これがGoTo政策の本質だ
~コロナ強者に集中する補助金の恩恵~
週刊現代講談社)2020.12.13
野口悠紀雄一橋大学名誉教授)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78258

 

 

 

もう一つ、記事をご紹介いたします。

 

 

 


■日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない

~コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化~

東洋経済2020/06/30(橋本健二早稲田大学人間科学学術院教授)

 


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リーマンショックから何も学んでいない」

 


橋本教授は、資本主義社会のいちばん下に位置してきた労働者階級のさらに下に、より雇用が不安定で低賃金の非正規雇用労働者らで構成される「アンダークラス」が日本で生まれたと指摘している。

これによって極端な格差が構造的に固定されるようになり、そうした状態を「格差社会」を超えた「階級社会」と定義し、その解消を訴えてきた。

 

橋本教授は、コロナ後の社会で最大の懸念は雇用だと言う。

とりわけ、非正規労働者の状況を危ぶむ。

 

「(コロナで)最も被害を受けているのは、非正規労働者です。

雇用がどんどん切られている。

 

今のところは休業で済んでいる人もいますが、期限が来たら雇い止めになる人が相当程度出てくると思います」

兆候はすでに表れているという。

 

厚生労働省が毎月発表している「労働力調査」によると、非正規労働者は近年、2100万人台で推移してきた。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された今年4月は前月より131万人も急減し、2019万人に落ち込んだ。

 

前年同月比で5%、前月比で6%の減少になる。非正規労働者が「雇用の調整弁」になっていることが明らかだ。

 

リーマンショックのときも非正規労働者は真っ先に被害に遭いました。

それが、再び繰り返されているということです。

政府や企業がリーマンショックから何も学ばず、非正規労働者身分保障を一切してこなかった、議論が全然進んでこなかった。

それが露呈していると言っていいでしょう」

 

 

(中略)

 


「潤いのない世界」が到来、学力格差も拡大

 


橋本教授は、自営業者の行く末も懸念する。

 

「とくに零細自営業者です。

飲食や衣料、工芸品とかの『不要・不急』産業は作るほうも売るほうも両方、危ない。

 

自営業者そのものはバブル期以降、大資本との競争に破れて廃業する人の数がどんどん増えていきました。

ですから、自営業者の規模は1980年代をピークに縮小している。

 

その競争に何とか耐えてやってきた自営業者が一定程度いたわけです。

自営業者層の減少に歯止めがかかってきたところに、コロナショックがやって来た。

再びバタバタ倒れていく状況になっています」

 


(中略)

 


子どもたちの学びにも「格差」が直撃したと橋本教授は言う。

「学校に毎日通うわけではなく、自宅で学習していたわけですから、自学の習慣が身に付いている子どもと、付いていない子どもの差は大きくなります。

 

一般的に言うと、貧困層の子どもたちには、自分で進んで勉強する習慣が身についていないから、学力がどんどん低下していく。

逆に中間層以上は、親が教育の大切さを子どもに教えているから、自ら学ぶ習慣を身に付けている。

 

そのうえ、中間層以上は情報環境も整っています。

学校外での教育も自宅で受けられるでしょう。

 

ちゃんとした調査は行われていないですが、コロナ休校を機にどんどん学力格差が拡大しているのではないでしょうか。

早急な調査が必要です」

 

「コロナによる一斉休校は、日本の教育環境の後進性を浮き彫りにしました。

いまだに学校で1人1台のパソコンが配備されておらず、パソコンを自由に扱える環境ができていない。

 

まったくできていない。

中国や韓国と比べてはるかに遅れている。それが露呈したんです」

 


「格差は競争の結果、仕方ない」で済むのか

 

 

格差は競争の結果だから仕方ない――。

自己責任論をベースにしたこの考え方は、この社会では当然と受け止められている。

 

その結果、格差は大きくなりすぎ、弊害も広がった。

 

「たとえ豊かな社会であっても、経済格差が大きいと、人々は公共心や連帯感を失い、友情が形成されにくくなり、コミュニティーへの参加も減少します。

犯罪が増加し、精神的ストレスが高まるから健康状態が悪化し、社会全体の平均寿命は下がっていく。

コロナ以前からそのことは指摘されてきました」

 

「今回のコロナで、特に海外では貧困層を中心に感染が拡大しました。

しかし、富裕層が安全なわけではありません。

格差の大きい社会は不健康な社会であり、富裕層だけではなくすべての人々の健康が脅かされるのです」

 


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■日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない
~コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化~
東洋経済2020/06/30
https://toyokeizai.net/articles/-/359752

 

 

 

 

コロナ不況で失業者や倒産、廃業の数が増加している最中、なぜか株式市場は高値をつけています。

実経済と、株式市場の乖離は、何を意味するのでしょうか。

 

欧米の金融資本は、ますます巨大化。

ウォール街の巨大金融資本は、ロビー活動等、米国政府の政治判断にも大きな影響を及ぼしていると言われています。

 

その巨大資本と政治力含め、すでに、一国の株式市場をすでにコントロールすることも可能なレベルにあるのかもしれません。

 

行き過ぎた資本主義。

その表れなのでしょうか。

 

グローバル化という名の「欧米化」は、いうなれば弱肉強食。

 

私も以前外資系企業に在籍していた時期がありましたが、その考え方は徹底しています。

 

弱者救済や社会保障の考え方は殆どないと言ってもよいかもしれません。

弱者は「負け組」であり、「敗者」でもある、という考え方です。

 

ボスの命令が絶対ですし、会社組織に思ったような貢献がないと判断したら、短期ですぐに退職勧奨です。

さらに、一年単位の業績で判断、貢献が認められなければ、たとえ5年在籍していようともすぐに退職勧奨となります。

 

その「勝ち組」と「負け組」の判断は、明確です。

まさに「管理職」と「それ以外」との2極構造が明確な文化でした。

 

外資系の、このような背景には、その昔「奴隷制度」を背景に、世界進出してきた民族的な背景があるのかもしれません。

 

欧米の資本主義の視点での富裕層は「勝ち組≒正義」であり、それ以外の貧困層は「負け組≒悪」でもある、2極構造を生み出してしまいます。

 

今、日本の政権は、このような欧米の考え方に沿うような政策ばかりが目に付くような気がします。

 

貧困層」と「富裕層」の二極化を推進しているかのような政策。

「強者」支援を軸に考えているのでは?「貧困層」を逆に増やしているのでは?と考えられる施策が見受けられます。

 

もし、日本の政治的問題のすべてが、弱肉強食の自由主義で良いのであれば、そもそも「政治」そのものの意義、期待が失われるのではないでしょうか。

 

強いものが勝つという、当然の自然の摂理に従うのみ、政府不在でも、その流れは進行します。

弱者は何もせず、淘汰されていくだけです。

 

一極集中する富や経済、その富を再配分する機能も、その「政治」の大きな存在意義ではないでしょうか。

「政治」その意義が、今、一番問われている時代かもしれません。

 

消費税制度も2極化、貧困層の負担を増加する施策の一つ。

 

所得税法人税、資産税等、富裕層の課税は全般的には下降傾向。

その補填として、消費税制度がカバーしてきています。

 

富裕層も、貧困層も同じ税率で課税する消費税は、逆累進課税です。

 

飲食など生活消費割合が大きい貧困層は、その所得額から鑑みますと消費税率の負担は非常に大きくなります。

欧州以外の海外では、消費税は悪税だと多く言われています。

 

実際、マレーシアでも消費税を撤廃しています。

 

消費税だけではありません。

給付金の施策、GoTo政策等、その政治判断を見ている限り、一番困っている人への施策が少ないようにも感じます。

 

日本には『弱きを助け強きを挫く』ということわざがあります。

強いものが、弱いものを守る。

 

日本人には、この美徳があったのではないでしょうか。

 

実際、日本の歴史の「お上」には、その道徳的観念があったでしょうし、そのような「お上」は庶民から愛され続けたでしょう。

 

欧米型の考え方の良い部分は多くあります。

ただ、日本の考え方にも、素晴らしいものが多くあるものではないでしょうか。

 

『弱きを助け強きを挫く』。

 

新型コロナウイルスで多くの人が困っています。

政治が単なる「支配・統治」なのか、それとも善政で国を豊かにする「名君・大君」なのか、今その分岐点にあるのかもしれません。