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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります ~アメリカでは導入に現実味が出てきた~ 週刊現代(講談社)2019.12.25

 


■超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります

アメリカでは導入に現実味が出てきた~

週刊現代講談社)2019.12.25

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69429


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米国で富裕層が保有する資産に税金を課す、いわゆる「富裕税」の導入が現実味を帯び始めている。


次期大統領選挙をめぐっては、民主党の複数の候補者が富裕税を主張しており、民主党政権が誕生した場合には、具体的な施策が検討される可能性が出てきた。

近年、グローバル経済の発達によって格差問題が議論されるケースが増えている。


かつては貧困問題の方が圧倒的に重要なテーマだったが、この問題に対しては大きな政府という形で弱者支援の支出を増やすというのが定番の解決策だった。

だが、今、米国で議論されているのは貧困という下方向の格差ではなく、特定の超富裕層が富の多くを独占するという、上方向への格差である。


たくさん富を持ったところで、1人の人間が消費する金額には限度があるので、富の多くを一部の富裕層が独占してしまうと、社会全体でお金が回りにくくなるとされる。

 

(中略)

 

・中間層以下が資産を持つ方が消費は拡大する


一般的に富裕層は中間層以下と比較して高額な消費を行っており、多くの人が願望としてイメージする「地味で散財しないお金持ち」というのは現実にはあまり存在しない。


だが、いくら富裕層が高額消費を行うといっても、1人の人間が消費する金額には限度がある。

同じ金額を富裕層が独占しているケースと、富の大半を中間層が分散所有しているケースを比較すると、消費の額は確実に後者の方が大きくなるだろう。


中間層以下の場合には、支出過剰で資産を取り崩す割合も高いので、直接的な消費の比率は高くなる。

富裕層の寄付についても同様である。富裕層で寄付を行う人は多いが、寄付には2つの種類がある。


ひとつは、日常的に行われるそれほど金額の大きくない寄付で、これは経済学的にフローを増やす効果がある。

もうひとつは、本人の死亡や現役引退などによってまとまった資金が団体に寄付されるケースである。


この場合、資金を受け取った団体は、それを直接支出せず、運用に回し、運用益をフローとして支出することになる。

そうなると富裕層が個人的に資金を運用し、運用によって得られた利子や配当金を個人的に消費するのとあまり変わらなくなる。


中間層が資産を分散保有しているケースでは、寄付するにしても、大半が日常的な寄付になるので、消費が増える可能性は高い。

富裕層による富の集中が経済にとってマイナスとは断言はできないが、それが行き過ぎた場合、消費停滞の原因になる可能性はそれなりに高いと考えてよいかもしれない。

 

・圧倒的に多い米国の富裕層

 

米国の次期大統領選挙をめぐっては、民主党バーニー・サンダース上院議員が、3200万ドル以上を保有する超富裕層に対して、金額に応じて一定割合の税率を課すプランを披露しているし、同じく民主党エリザベス・ウォーレン上院議員も、純資産5000万ドル超に対して2%の税金を課す案(10億ドル超には6%)を提示している。


著名投資家のジョージ・ソロス氏のように、超富裕層の中からも、自ら富裕税に賛成する人も出てきている。

富裕税に関する議論は以前から存在していたが、大統領選を目指す候補者が公約として富裕税を掲げたり、当の富裕層からも賛同の意見が出るというのは、近年に特徴的な動きといってよい。


それだけ米国では富の偏在が社会問題になっているとみてよいだろう。

では、一連の富裕税はどれほど効果を発揮するのだろうか。


ボストン コンサルティング グループ(BCG)の調査によると、米国には金融資産1億ドル以上の超富裕層が1万5000人、100万ドル以上の富裕層が1500万人も存在している。

日本における富裕層(1億円以上)の人数は110万人なので、人口比を考えても圧倒的に米国の方が多い。


また米国では、上位1%の富裕層が全体の富の38.6%を占めており、富の偏在化も激しい。米国の上位1%の富裕層が保有する資産に1%の税金をかけた場合、3500億ドルの税収を確保できる計算になる。

これは日本円で約37兆円という金額であり、米国政府予算の約1割に相当する。


この予算を中間層以下の教育支援や住宅支援などに費やし、中間層の生活水準を向上させれば、確実に消費は拡大するだろう。

 

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■超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります
アメリカでは導入に現実味が出てきた~
週刊現代講談社)2019.12.25
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69429