■安倍首相は「真の保守」ではない!
西部邁氏が迷走政治を一刀両断
ダイヤモンド・オンライン編集部(2017.10.3)
https://diamond.jp/articles/-/144344
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残念ながら、日本は保守という言葉の意味をきちんと理解しようとしない人ばかりのように思える。
私はそうした人々に憤りを込めて、あえて「ジャップ」と呼んでいます。
保守は一般に思われているように、「現状を維持する」という意味では決してありません。
本来の保守とは、その国のトラディション(伝統)を守ることです。
(中略)
安倍さんがやっていることは、まさに「米国べったり」。
どうして保守がそのような振る舞いができるのかは甚だ疑問だし、大問題であると僕は考えています。
僕は何十年も前から指摘し続けてきたけれど、結論から言うと米国は「左翼国家」なのです。
そもそも左翼とは、フランス革命期に急進的なジャコバン派が国民公会で左側に座って「自由、平等、博愛」と唱えたことがその由来となっている。
彼らは「理性を宗教とせよ」とも訴えており、いわゆる合理を意味します。
そして、これらを実践するために、旧体制を急速に破壊せよと扇動したわけです。
その直前には米国の独立戦争も勃発しており、これに勝利した同国が制定した憲法も「自由、平等、博愛、合理」を掲げ、ジャコバン派の思想とほとんど変わらない。
古いものは悪いもので、新しいものは良いものだというジャコバン派の考えに近いのです。
それでも建国当初の米国には、欧州出身の上流階級による保守主義が存在していました。
しかし、19世紀前半にジャクソン大統領によるジャクソニアンデモクラシー(自立と平等を理念とする草の根民主主義)が台頭し、米国は自らを欧州から完全に切り離してしまった。
こうして歴史が寸断されたわけなので、平衡術を学びようがありません。
にもかかわらず、戦後のジャップが犯した大きな間違いは、「米国側につくのが保守でソ連側につくのが革新だ」という政治の構図で物事を捉えるようになったことです。
米国はそんな状況だし、一方のロシアには歴史があったものの、大革命によって徹底的な破壊が加えられたため、こちらも歴史が寸断されてしまった。
どちらも歴史から学べない左翼であるという意味で、米国とロシアは二卵性双生児なのです。
そのような両国が対立したのは、米国が個人主義的な方向で変化を起こそうとしたのに対し、ソ連は共産党の集団主義的な指導のもとでそれを推進しようとしたからです。
要するに、「どちらが中核で革マルなのか」といった程度の違いにすぎず、
米国もロシアも言わば左翼同士の内ゲバ、もしくは内紛を繰り広げてきただけの話。
こうした背景を知らないまま、ジャップは長く保守と革新の意味を捉え違えてきました。
繰り返しになるけれど、今の安倍政権なんて、保守とはまったく何の関係もない。
それなのに安倍首相は日米が100%の軍事同盟関係にあると悦に入る始末で、戦後の日本人の愚かさ加減がにじみ出ていると言えるでしょう。
・世間はポピュリズムとポピュラリズムを混同している
――米国べったりと言えば、日米軍事同盟やわが国の安全保障の在り方については、北朝鮮情勢の緊迫化などを機に、改めてスポットが当てられていますね。
そもそも、治外法権となっている外国の軍隊の基地が国内にあり、憲法さえ他国からあてがわれた日本が、独立国であるはずがない。
カーター政権下で安全保障問題を担当したブレジンスキー大統領補佐官(当時)が断言したように、日本は米国の保護領であるのが実態。
自治領で大統領選挙の投票権は持たないプエルトリコと変わらない立場にすぎないでしょう。
集団的自衛権にしても、本当に日本を米国に守らせたいなら、相応の対処が求められます。
米国は自国に実害が及びそうなら守ってくれるけれど、そうでなければ動いてはくれません。
まずは、日本が個別的自衛でもって、ギリギリのところまでは自力で頑張るという姿勢を示す必要がある。
すなわち、「日本も核武装を行うべきかどうか」が議論になっても当然にもかかわらず、ずっとタブー視され続けてきました。
日米安保には双務性があると言われるが、相手側にそれを果たしてもらうためには、自分自身にも実力がなければならない。
それは自衛力のみならず、外交力や政治力も含めてです。
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■安倍首相は「真の保守」ではない!
西部邁氏が迷走政治を一刀両断
ダイヤモンド・オンライン編集部(2017.10.3)
https://diamond.jp/articles/-/144344