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■岸田首相はDappi疑惑を放置して衆院選を戦うのか ニューズウィーク 2021年10月16日

 

 

■岸田首相はDappi疑惑を放置して衆院選を戦うのか

ニューズウィーク 2021年10月16日

https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2021/10/dappi.php


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10月9日、オーストリアセバスティアン・クルツ首相が、自分に有利な報道を流すようマスメディアを買収していた疑惑が発覚し、辞任した。


一方、日本でも、ある企業が運営するSNSアカウントが、政権与党と通じて野党や野党議員に対するデマを流したり誹謗中傷をおこなっていたりしていたという疑惑が持ち上がっている。

 

・マスコミを買収して自分に有利な世論調査結果を報道させる


クルツ首相は、2017年に当時31才で首相に就任し、極めて若い国家指導者として話題になった。


所属政党の国民党は中道右派政党だが、クルツは極右政党である自由党のお株を奪うような移民排撃の右派ポピュリズムによって人気となり、一躍リーダーとなったとみられていた。


しかし、ここにきて彼が首相に就任する前の2016年から2018年にかけて、クルツが自分に有利な世論調査報道を行うよう大手マスコミに持ちかけ、後日、その謝礼として公金が支払われていたという疑惑が持ち上がった。


クルツはこれを否定しつつも、連立パートナーの緑の党の要求もあって「混乱を招かないため」という理由で辞任を選択した。

 

TwitterアカウントDappiをめぐる疑惑


一方、日本ではDappiというTwitterアカウントを巡って疑惑が持ち上がっている。

このアカウントは、専ら野党議員をデマや中傷を交えながら攻撃するアカウントとして知られており、多くのフォロワーを抱えていた。


Dappi人気の理由の一つは、たとえば国会中継に対して、資料も交えながら随時コメントを行うという速報性にあった。

それは国会での質疑に関して事前に情報を得ていなけば難しいもので、また投稿時間が平日のオフィスアワーに限られていたことから、Dappiは何らかのかたちで国会の情報を入手可能な「法人」なのではないかという説は昔からあった。


2020年7月、内閣情報調査室は「Twitterにおける「Dappi」なるアカウントについて、内閣情報調査室が有する一切の文書」の開示請求に対して、「存否を明らかにしない」と回答し、その理由は「本件対象文書の存否を明らかにした場合、(中略)当室が行う業務の適正な遂行に重大な支障を及ぼすおそれがあり、ひいては我が国の安全が害されるおそれがある」からであるとした。


単に不存在とするのではなく、暗に内閣情報調査室との関係を匂わせるような文言に、疑惑はいっそう深まっていた。

2021年10月、Dappiアカウントのデマによる被害者の一人である立憲民主党小西洋之議員がTwitterにかけた開示請求によって、Dappiアカウントの運営が「法人」によって行われていたことが明らかとなり、Dappi 法人説がほぼ立証された。


そしてその法人の取引先に、自民党があることも分かった。

調査が進むにつれて、自民党議員や自民党関連企業名前もあがっており、自民党との強い関連性が疑われている。


もし、自民党や日本政府がDappiに関与していたとするなら、たとえばその法人が自民党からの「ネット工作」の依頼によってつくったアカウントがDappiだったとするなら、これは河井事件に次ぐ政治スキャンダルとなる。

政権与党が金を払って、野党に対するデマを流させていたことになるからだ。


オーストリアの件もそうであるように、政権与党が密かに金を払って公論を歪めるような「工作」を行うのは、民主主義の理念からいっても許されない。

いわばステルス・マーケティングのような政治工作は、「公開の討論」が行われる場の正当性を毀損するのだ。

 

・ステルス政治工作の怖さ


それぞれの政党が市民に自分達の主張を届けるために、広報活動を行うのは当然だ。

自党の考え方や政策を訴え、他党を批判しこき下ろす。


しばしば政治的な批判そのものを嫌う人もいるが、対手の問題点を批判するのは健全な政治的議論の一つだ。

またそのとき、法令を遵守し最低限の倫理観さえ保持できれば、宣伝活動のために金を払って民間企業の力を借りてもよい。


それもまた問題になるようなことではない。

オープンな宣伝活動ならば業者を使っても問題ないのに、敢えてステルス的政治工作を選択するのは、そこに意味があるからだ。


Dappiはデマや誹謗中傷が多く、そのために裁判所は小西議員の開示請求を認めた。

SNS上では、デマはデマの否定よりも広く拡散され信じられてしまうことが分かっている。


政治的なデマの流布は敵対者を貶めるには効果的な手段の一つだ。

しかしデマを流したことが発覚すれば、むしろ流した者の立場のほうが危うくなる。


公党の機関や取引相手が公然とデマを流したとあれば組織の危機だろう。

従って、デマの流布はステルスのかたちを取るデマだと分かってもいつでも尻尾を切れるようにしておくことで、追求を免れることができる。


汚い工作も厭わないのが政治だという考え方がある。

オープンになっている「建前」としての政治の表面と、より直接的で何でもアリの政治の裏面は異なると考える者は、こうしたトカゲの尻尾的な実動部隊を準備する。


SNS上のステルス政治工作とは、いわば選挙の際、反社会勢力を雇い対立する候補者の事務所に火炎瓶を投げ入れたりすることのネット版なのだ。

自民党には、河井克行元法相が業者に依頼して対立候補を貶める架空のブログ記事を書かせたという「前科」もある。


10月13日、自身もDappiによるデマの被害者である立憲民主党森裕子議員は、河井事件にも触れながら、来たる総選挙で自民党が不正なネット工作をすることがないよう岸田首相に求めた。

しかし首相は一般論を述べるに止まり、はっきりとした言明を行わなかった。


ステルス政治工作は民主主義の基盤を掘り崩す。工作合戦が公然と行われるようになれば、勝利するのは資金的に優位な強者だ。

Dappi アカウントを運営していた法人の意図はまだ不明だが、状況的にはネット工作の可能性を示唆している以上、その実態は徹底的に解明されなければならない。


そうした実態解明は、日本の民主主義の未来にとって重要な意味を持つだろう。


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岸田首相はDappi疑惑を放置して衆院選を戦うのか
ニューズウィーク 2021年10月16日
https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2021/10/dappi.php