■ロシアの原発砲撃「やっぱり狙われた」 日本でミサイル攻撃を懸念し裁判した人たち「最大の弱点」と訴え
東京新聞 2022年3月5日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/163725
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4日午前、衝撃のニュースが入った。「ウクライナの原発が攻撃を受けた」「火災が起きた」という一報だ。
悲痛な声を上げたのが、日本の原発に対するミサイル攻撃を懸念して運転差し止めを申し立てた人らだ。
「やっぱり原発が狙われた」「危うい原発は早く廃炉にすべきだ」と訴える。(山田祐一郎)
ロシア軍の砲撃を受けたのは、ウクライナ南部のザポロジエ原発の施設とされる。同国最大の原発だ。
主要施設に影響がないようだが、クレバ外相は、ザポロジエ原発が爆発すればチェルノブイリ原発の10倍の被害になると警告していた。
「心配していたことが現実になって寒けがする」。
2017年7月、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が攻撃に遭う危険性があるとして、運転差し止めの仮処分を大阪地裁に申し立てた。
水戸さんは当時、自衛隊にミサイル迎撃の破壊措置命令が出されている間は原発を停止させるべきだと主張。
だが、大阪地裁は18年3月、「具体的危険があるとは言えない」と申し立てを却下した。
「いまでも受け入れられない。突如、攻撃されれば具体的危険などと悠長なことを言っている時間はないのでは」と改めて当時の司法判断に疑問を呈した。
◆最新兵器で攻撃の可能性も
あれから4年余り。ロシアはウクライナに侵攻後、チェルノブイリ原発をいち早く制圧し、ザポロジエ原発も占拠したとされる。
「ロシアは原子炉そのものを攻撃して、自らを危険にさらすようなことはしないと思うが、やっぱり原発施設は狙われた」。
改めて悔しさが込み上げる。
水戸さんの代理人を務めた河合弘之弁護士も「戦争が起きたときに、安全保障上の最大の弱点が原発であることが今回、改めて分かった」と話す。
北朝鮮によるミサイル発射はいまでも続いている。
「いまはドローンによる攻撃の可能性もある。当時と状況が変わっている」と危機感を募らせ、「今回、プーチン大統領がしたことを金正恩総書記がまねしないことを願うばかりだ」と続けた。
1カ月余り前の2月2日の東京新聞特報面では、ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が「(原発が)攻撃された場合、何が起こるか。西ヨーロッパも影響が避けられないだろう」と述べたことを紹介。
「原発が安全保障上のターゲットになるのは国際的な常識だ」という新潟国際情報大の佐々木寛教授(政治学)の見解も掲載していた。
◆止まらない胸騒ぎ
改めて佐々木教授に取材すると「稼働中の原子炉が被害を受ければ放射性物質が放出され、極めて深刻だ」と述べ、「日本の場合、内部から工作されることの脅威や外部から攻撃された際の備えが脆弱ぜいじゃくだということを多くの人に再認識してほしい」と訴える。
先の水戸さんは胸騒ぎが治まらない。
「36年前のチェルノブイリ事故を経験し、いままた恐怖に直面している」とウクライナの人々に思いを寄せ、「日本で今回のような事態になってから原発を止めるのでは遅い。
その前に廃炉にするしかない」と声を強めた。
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ロシアの原発砲撃「やっぱり狙われた」 日本でミサイル攻撃を懸念し裁判した人たち「最大の弱点」と訴え
東京新聞 2022年3月5日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/163725