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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■「この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの」 現代ビジネス(講談社) 2011.11.16 島地勝彦(集英社)、中谷巌(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長) 

 


■「この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの」

現代ビジネス(講談社) 2011.11.16 島地勝彦(集英社)、中谷巌三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長) 

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/26619

 

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【島地】 

20年間と区切っていわなくても、戦後、アメリカは日本を楽に支配しようとして、まず教育をいじり、いまでは国歌さえ歌わない、また国旗さえ掲揚しなくなった誇りなき国民にしてしまったことでしょう。

これはアメリカにとって大成功しましたよね。

いま日本人は完全に骨抜き人間にされてしまったといえます。

 


【中谷】 

大きくいえばその通りでしょうが、直近でいえば、まず1つは日本の官僚システムに手をつけたことです。

いままでアメリカの横暴さに立ちはだかったのは、じつは日本の優秀な官僚たちだったのです。

これまで一般の日本人も能吏たちを信用してきたのですが、アメリカは「日本の官僚は悪い奴らだ」と日本のマスメディアを使ってディスインフォメーションを流した。

新聞、テレビ、雑誌がこれに乗っかって大衆を洗脳したんです。

 


【島地】 

これは重大な問題ですね。

日本の優秀な官僚システムが崩れたことはゆゆしいことです。

明治以来の堅牢な官僚組織に対して「官僚は悪い。すべては官僚が悪い」という風潮が激しくなったのはいつごろからでしたか。

 


【中谷】 

旧大蔵省官僚たちの「ノーパンしゃぶしゃぶ問題」がマスコミで取り上げられて騒ぎ出したころからです。

 


【島地】 
じゃあ1990年代の後半か。

アメリカは巧みにマスコミを使って、日本の大衆を煽るのはむかしからじつに巧いですね。

 


【中谷】 

結果、官僚の世界に、いま優秀な学生が行かなくなってしまった。

これは将来の日本のことを考えると、大問題です。

東日本大震災の復興も遅れているのも、日本が誇る官僚の力が落ちてきたことが原因の1つでしょう。

第一、いま災害地に官僚の姿がみえないじゃないですか。

結局、日本独特の官僚組織をズタズタにしようとしたアメリカの思う壺にはまっってしまったんです。

この20年むちゃくちゃに省庁再編なんてやって、日本の官僚の力を削いでしまった。

いま官僚たちはまったくやる気をなくしてしまった。

官僚たちが明治以来日本を支えていたのに、それが潰された。官僚の底力を日本から失われたのがまず1つです。

 


【島地】 

なるほど。よくわかりました。

 


【中谷】 

アメリカは日本のメインバンク・システムをいろんな規制をかけて崩壊させたんです。
いわゆる銀行潰しです。

日本にはメインバンクというものが存在していて、借りる企業側と銀行が仲良くやっていた。

例えば事業会社が10億円借りたいといった場合、銀行は長年の付き合いで、その事業会社の能力がわかっているので、「よっしゃ、わかった。おまえそれをやってみろ」という具合に銀行は長期の貸し付けができた。

それが戦後の企業の繁栄に寄与したんです。

たがいにどんどん成長して、銀行の力も増大になってきた。

そして1980代の後半、バブルがやってきて、よせばいいのにアメリカ本土の摩天楼や名門ゴルフ場を買ったりして、アメリカの虎の尻尾を踏んづけてしまったんです。

もともとアメリカは金融立国ですから、「この野郎、とんでもない。こいつら潰さないとどうにもならない」と、銀行潰し、いわゆる、ジャパン・バッシングがはじまったわけです。

まず銀行の自主規制がはじまる。

自主規制というのは、国際業務を行なう大きな銀行は総貸出残高のうちの8%は銀行内部に保留しなければならないということです。

いままでの日本の銀行と企業の慣習は、貸し付け契約は2年でも、2年経つとロール・オーバーして借り換えしていく。

10年、20年経っても、借りた元金は返さない。

それでも銀行としては、ちゃんと金利を払ってもらっているから文句をいうことないと思っていた。

ところが欧米の考えでいえば、それは不良債権だ、早く回収しろといいだした。

これに準じて日本の銀行は長期貸し付けができなくなって、企業と銀行はだんだんギクシャクしだす。

銀行の資産内容も劣化して、ついにメインバンクは崩壊する事態になったわけです。

 


【島地】 

それってまったく日本の銀行イジメですね。

 


【中谷】 

そしてBIS規制がますます激しくなり、バーゼルワンとかバーゼルスリーという細かい規制までやりだした。

日本人はA型人間が多いから、決められた厳しい規制をトコトン真に受けてやっちゃうから、この10年、会社のなかの雰囲気は極めて悪くなってしまった。

それに派遣社員契約社員と正社員の格差があって、忘年会など開いても盛り上がらない。

だから日本にとって、この20年間で失われたものはかなり大きい。

いまじゃ、会社に内部観察者がいて会社員同士が監視し合っている暗い時代になってしまった。

 


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「この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの」
現代ビジネス(講談社) 2011.11.16 島地勝彦
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/26619

 

 

中谷巌】 

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社理事長、一般社団法人不識庵 理事長、「不識塾」塾長。1942年、大阪生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日産自動車に入社。73年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)同大学研究員、講師を務めた後、大阪大学助教授、教授を経て一橋大学教授。細川内閣「経済改革研究会」(平岩研究会)委員、小渕内閣「経済戦略会議」議長代理、ソニー取締役会議長などを歴任。著書に、『日本の「復元力」~歴史を学ぶことは未来をつくること』(ダイヤモンド社)、『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)、『痛快!経済学』(集英社文庫)など

 

【島地勝彦】

1941年、東京都に生まれる。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任。現在、コラムニストとして活躍。『PEN』(阪急インターナショナル)、『メンズプレシャス』(小学館)など連載多数。著書に『乗り移り人生相談』(講談社)、『水の上を歩く』(開高健との共著)など。