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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■日米安保、「宗主国なき属国」という最悪の形態 ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)<内田樹氏>2019/12/23

 

日米安保、「宗主国なき属国」という最悪の形態

ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)<内田樹氏>2019/12/23

https://hbol.jp/209193

 

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「永続属国体制」の確立

 

―― なぜ当時のような安保反対の声がなくなってしまったのでしょうか。

 

内田:変わったのは小泉政権以降だと思います。

小泉政権アメリカに対して「のれん分け戦略」をとっていました。


対米従属を通じての対米自立という自民党の伝統的な対米戦略ですが、小泉政権はそれをさらに徹底させ、誤った政策を含めて、アメリカの全政策を支持するという極端な対米従属を実施した。


そうすることによって、アメリカからイーブンパートナーとして信頼され、「これからはお前も独立して、自分の店の主となって、あとは自分の才覚で商いをしなさい」という許諾をいただくというのが「のれん分け戦略」です。


当時のアメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュアメリカ史上最も無能な大統領の一人でした。


彼は国際社会では評価されず、国内でも支持率が低かったにもかかわらず、小泉首相はその政策のすべてを支持するという荒業により、かつてないほど親密な日米関係を築きました。


そして、その信頼関係をベースにして、アメリカと「五分の盃」に持ち込んで、事実上の対米自立を果たすことができるのではないか・・・と考えて、2005年に日本は国連安全保障理事会常任理事国へ名乗りを上げます。


安保理アメリカと机を並べ、国際社会をリードすることでアメリカからも一目置かれる存在になることを夢見たのです。

でも、結果は惨憺たるものでした。アジアで日本の安保理入りを支持してくれたのは、ブータンモルディブアフガニスタンの3か国だけだったのです。


国際社会は日本が常任理事国入りしてもアメリカの票が一票増えるだけだと考えた。

アメリカに完全従属することで日本はたしかにアメリカの信頼を獲得したわけですけれど、それとトレードオフで国際社会からの信頼を失った。


こうして、政治大国化することで対米自立を果たすという「のれん分け戦略」は無残な失敗に終わりました。

この時点でもう日本には対米自立のためのカードがなくなったのです。


その後、2009年に鳩山政権が誕生して、沖縄米軍の基地の県外・国外移転を求めたとたんに、日本の日米同盟基軸論者たちが襲い掛かって、彼を政権の座からひきずり下ろしました。

これは別にアメリカが主導したものではないと思います。


日本の「対米従属マシーン」が発動したのです。

外務省や防衛省、さらには検察までをフル動員し、鳩山・小沢という対米自立論者の政治生命を奪おうとした。


この時点で、日本のエスタブリッシュメントはもう対米自立という国家目標を放棄したのだと僕は思います。

もう永遠にアメリカの属国として生きていくという覚悟を固めた。


その永続属国体制を前提に、属国内部で出世して、個人的な利益をはかるという方向に目標を下方修正した。

その帰結が現在の安倍政権とそれを取り囲む縁故政治受益者たちの群れです。


彼らにはもうアメリカから独立して、国家主権を回復するような壮図はありません。

属国体制を永続させ、その中でどれだけ自分が「いい思い」をできるか、それだけを考えている。


さらに深刻なのは、「もう属国のままでいい」というこの堕落した指導者たちを日本の有権者が支持しているということです。

有権者たち自身がすでに属国民マインドを深く内面化してしまった。


内閣支持の理由の第一は「安倍さんしかいないから」というものですが、それは「ホワイトハウスが安倍政権を信認しているから」という意味です。


日本の統治者の最優先の資格は「宗主国の王様に属国の代官として認証されていること」だと有権者自身が信じているのです。

 

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日米安保、「宗主国なき属国」という最悪の形態<内田樹氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)2019/12/23
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