■【解説】 ロシアはウクライナを侵攻するのか 現状について数々の疑問
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-59767571
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・ロシアの思惑
プーチン大統領は西側に対し、ウクライナ問題でロシアにとっての「最後の一線」を越えてはならないと警告している。
では、その一線とは何なのか。
NATOの一層の東方拡大が、その1つだ。
ロシアはNATOに対して、東欧での軍事活動を中止するよう要求している。
これは、NATOがポーランドやバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)から部隊を撤収させ、ポーランドやルーマニアなどの国々にミサイルを配備しないことを意味する。
要するに、ロシアはNATOに1997年以前の境界まで後戻りしてほしいと思っている。
ロシアは流血を避け、外交による解決を望んでいるとプーチン氏は言う。
この要求は実現しようもない。
しかしプーチン氏はアメリカとの協議でも、この要求を議題の中心に据えるつもりで、これについて「ボールは西側にある」と述べている。
ロシアは、自国が支援するウクライナ東部の勢力に対してウクライナがトルコのドローンを飛ばしていることや、黒海で西側が軍事演習をしていることを懸念している。
プーチン氏の目には、「自分たちの家の玄関先で」アメリカがウクライナに軍事支援を行っていると映っている。
プーチン氏は今年7月、政府ウェブサイトに長文を掲載。
ロシアとウクライナを「1つの国」と呼び、ウクライナの現指導部について、「反ロシア計画」を実行中だと決めつけた。
ウクライナは30年前に崩壊したソ連の一部だったが、プーチン氏は1991年12月に起きたその出来事を、「歴史的ロシアの解体」と表現している。
ロシアはまた、ウクライナ東部の紛争停止を目的とした2015年のミンスク和平合意がほとんど履行されていないとして、不満を募らせている。
分離派が優勢な地域では、独立監視団を受け入れた選挙がまだ予定されていない。
紛争の長期化について、ロシアが原因の一部となっているとの批判があるが、ロシアはこの見方を否定している。
西側軍事同盟のNATOは防衛が目的だ。
イエンス・ストルテンベルグ事務総長は、すべての軍事支援は純粋に、この目的に沿ったものだと明確にしている。
イギリスは、ウクライナの2カ所で海軍基地建設の支援を予定している。
アメリカは、対戦車ミサイル「ジャヴェリン」をウクライナに供給。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、NATOによる明確なスケジュール提示を求めている。
「ウクライナのNATO加盟の準備がいつ整うのか。それは、ウクライナと(NATOの)30の加盟国が決めることだ」というのが、ストルテンベルグ氏の立場だ。ロシアには「拒否権も、手続きに干渉する権利もない」と、同氏は主張している。
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【解説】 ロシアはウクライナを侵攻するのか 現状について数々の疑問
BBCニュース(英国放送協会) 2021年12月24日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-59767571