■コロナ禍における「消費減税」が経済政策の常識である明白な理由
週刊ダイヤモンド(2020.8.4)中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/244818
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・ドイツ、イギリス、ベルギーほか20ヵ国が消費税減免
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)は、世界的に、戦後最悪と言われる大不況をもたらしながら、パンデミックの収束の目途は未だに立っていない。
この未曽有の危機に対し、ドイツは2020年7月1日から、半年間の限定措置として、付加価値税(消費税)の税率を19%から16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げることとした。
また、イギリスは、5月1日から電子書籍等の消費税を免税とし、さらに6月15日から来年1月12日までの半年間、外食・宿泊・レジャー関連産業にかかる消費税の税率を20%から5%への引き下げる措置を実施した。
ベルギーもまた、2020年6月8日から12月31日まで、困難な状況に直面しているホテル・レストラン・カフェといった産業のサービスにかかる消費税(アルコール飲料を除く)を12%から6%に低減する減税策を実施することとしている。
この3ヵ国のほかにも、20ヵ国が、コロナ禍の経済対策として消費税の減免措置を講じているのである。
(中略)
・世界の「常識」に背を向ける国・日本
消費税の政策的な意義にはさまざまな側面があるが、まずは、コロナ不況に対する経済対策としての面から検討しよう。
最初に確認すべきは、不況時に減税措置を講じるのは、いたって真っ当な経済政策であるということである。
これについては、本来であれば、わざわざMMTを援用するまでもなく、主流派経済学においても、入門書レベルの「常識」であるはずだ。
消費税は、消費に課される税である。
温室効果ガスの排出に課される環境税が、温室効果ガスの排出を抑制するのと同じように、消費税には、消費を抑制する効果がある。
したがって、不況時に消費を喚起したければ、消費税の減税は有力な選択肢の一つになるのは当然である。
逆に言えば、不況時で消費が落ち込んでいる時の消費増税は、非常識としか言いようがないのだ。
ゆえに、コロナ禍によって、消費がかつてない規模で急減している中においては、消費税の軽減は正しい措置である。
ドイツやイギリスなど23ヵ国が消費税を減免したのも、至極当然であった。
もちろん、感染拡大防止の観点から経済活動が制約される状況だから、消費を喚起する効果は限定的かもしれない。
しかし、消費者の負担を軽減し、国民の生活をより楽にすることに疑いの余地はない。
しかも、低所得者ほど、所得に占める消費の割合が高いので、その恩恵はより大きいのだ。
実は、我が国でも、2019年、消費税率の8%から10%への引き上げを前に、安倍総理は「リーマン・ショック級のことがない限り」、消費税率の引き上げは予定通り行うと繰り返し強調していた。
これは、裏を返して言えば、リーマン・ショック級の大不況が勃発したら、消費税率は10%にすべきではないということだ。
その意味では、当時の日本政府は、不況時における増税は不適切であるという「常識」を共有していたのである。
2020年に入って勃発したコロナ禍は、リーマン・ショック級どころか、それをはるかに凌駕する戦後最悪の不況を引き起こした。
そうであるならば、消費税は、最低でも8%に戻してもよいはずだ。
そうでない限り、「リーマン・ショック級のことが起きれば、消費税率を引き上げない」とした昨年の方針との整合性がとれないはずである。
ところが、コロナ禍において、消費減税は行われなかった。
それどころが、6月末日でキャッシュレス決済のポイント還元事業が終了したため、7月以降は、実質的に、消費税が再び増税されたことになる。
つまり、不況下、しかも戦後最悪の大不況下で消費増税を行うという非常識な政策が行われたのだ。
・そもそも2019年の「消費増税」が非常識だった
仮にコロナ禍が勃発しなかったとしても、2019年10月の消費増税は、経済政策の「常識」からは逸脱したものであった。
というのも、日本経済は、2018年10月から景気後退に入っていたのであり、世界経済の成長率も2019年はリーマン・ショック以降最低水準という見通しであった。
つまり、消費税率の10%への引き上げは、国内外ともに景気が後退する中で断行されたということになる。
2019年10~12月期のGDP(国内総生産)は年率換算7.1%減となったが、これは、景気後退期での増税が引き起こしたセオリー通りの結果であって、何も驚くようなことではない。
しかも、消費税率を5%から8%へと引き上げた2014年も、日本経済は未だデフレ脱却に至っていない時期であった。
そして、そもそも日本経済を長期のデフレ不況へと陥れる契機となったのは、1997年に実行された消費税率の3%から5%への引き上げであった。
しかし、デフレ不況の中でも、消費税率を元に戻すという是正措置は一切なされなかった。
それどころか、二度も増税したのである。
このように、我が国は、不況時の増税という非常識な政策を、何度も繰り返してきたのである。
米ウォールストリートジャーナル紙は、昨年の消費増税を「大失態」と酷評し、過去の二度の過ちをまたも繰り返したと皮肉ったが、返す言葉もない。
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■コロナ禍における「消費減税」が経済政策の常識である明白な理由
週刊ダイヤモンド(2020.8.4)中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/244818
■欧州、相次ぐ消費減税 景気てこ入れ―新型コロナ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020071900192&g=int
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ドイツは今月1日から年末までの半年間、付加価値税の標準税率を19%から16%に引き下げる。
生活必需品などの軽減税率(7%)は5%とする。
英国は飲食や宿泊、娯楽などの業種に限って、15日から半年間、付加価値税を20%から5%に引き下げる。
「他の政策とも合わせ、240万人の雇用を守ることにつながる」と胸を張った。
オーストリアは1日から年末まで、飲食や出版などの付加価値税を20%から5%に削減。
ブルガリアも2021年末まで飲食店などの税率を20%から9%に引き下げる。
新型コロナの流行を受け、欧州の多くの国が都市封鎖(ロックダウン)に踏み切り、経済活動が停滞。特に飲食や宿泊などの産業が大きな打撃を受けた。
イタリアやアイルランドなども付加価値税の減税を検討しており、深刻な不況からの脱出を目指す政府の動きが加速しそうだ。
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欧州、相次ぐ消費減税 景気てこ入れ、飲食に重点―新型コロナ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020071900192&g=int
■消費税19カ国が減税
コロナ禍経済対策/英国 飲食などを半年間20%→5%/独 首相「将来世代の活動を保証」
ライブドアニュース(2020年7月24日)
https://news.livedoor.com/article/detail/18624082/
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中米コスタリカでは標準税率が13%から9%に引き下げられました。
メキシコの国会では現行16%の付加価値税を年末まで10%に引き下げる法案が審議中。
また、イタリア、アイルランド、ジャマイカでも議会などで付加価値税減税の議論が進められています。
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■消費税19カ国が減税
コロナ禍経済対策/英国 飲食などを半年間20%→5%/独 首相「将来世代の活動を保証」
ライブドアニュース(2020年7月24日)
https://news.livedoor.com/article/detail/18624082/
■ドイツ、コロナ対策で消費減税
~景気対策16兆円規模~
日本経済新聞ドイツ政局(2020年6月4日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59955790U0A600C2MM0000
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ドイツのメルケル政権は3日夜(日本時間4日朝)、2020~21年に実施する総額1300億ユーロ(約16兆円)規模の新たな景気対策をまとめた。
消費税に相当する付加価値税を期間限定で3ポイント引き下げ16%にすることや、子育て家庭への現金給付などを盛り込んだ。
新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ消費や投資の回復を後押しする狙いで、ドイツ政府は追加の国債発行などで必要な資金を調達する見通しだ。
2日間にわたる交渉の末、連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とドイツ社会民主党(SPD)が合意した。
消費減税が柱で、付加価値税の税率は20年7~12月の期間限定で現在の19%から16%に下げる。
食料品などに適用される軽減税率も7%から5%に下げる。
子育て世代には子供1人あたり300ユーロの現金を支給する。
電気自動車への投資や普及を支援する一方で、ガソリン車やディーゼル車への補助金は見送った。
売り上げが大きく落ち込んだドイツ鉄道の支援や電気料金の引き下げなども盛り込んだ。
メルケル首相は記者会見でコロナ危機からの脱却に向けた「礎石」になるとの考えを示した。
ドイツ政府は3月に1560億ユーロの国債発行を伴う大規模な経済対策を発表したばかりだ。
経済安定ファンドによる債務保証分なども含めると7500億ユーロ程度という大規模な対策で、企業の資金繰りを支援して経済の崩壊を食い止めてきた。
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■ドイツ、コロナ対策で消費減税
~景気対策16兆円規模~
日本経済新聞ドイツ政局(2020年6月4日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59955790U0A600C2MM0000