■『モロッコvsフランス』は「植民地支配者vs支配された者の戦い」“歴史的な因縁”指摘するメディアも
中日新聞 2022年12月11日
https://www.chunichi.co.jp/article/598893
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サッカーW杯カタール大会 準々決勝 モロッコ1―0ポルトガル(ドーハ)
モロッコ(FIFA世界ランク22位)は、ポルトガル(同9位)を破り、アフリカ勢で史上初のベスト4進出を達成した。
準決勝(日本時間15日午前4時)は、直後の試合でイングランドを2―1と振り切ったフランス(同4位)と対戦する。
モロッコにとっては初のベスト4というだけではなく、“歴史的な因縁”からもモチベーションが激上がりする大一番になりそうだ。
これは“植民地支配者”vs“植民地支配された者”の戦いだ」と伝えた。
フランスは1907年にモロッコ侵略を開始。12年に実質的な植民地化した。
モロッコはナショナリズム高揚とともに四半世紀以上にわたる独立運動を経て、56年にフランスから血塗られた独立を勝ち取った。
インターネット放送局ABEMAによる試合終了後のインタビューで、デシャン監督は「モロッコは尊敬に値するチーム。今大会は連続でジャイアントキリングを果たしてきた」と警戒感を示した。モロッコは今大会でベルギー(同2位)、スペイン(同7位)、ポルトガル(同9位)と、世界のトップ10を軒並み撃破した。
モロッコは北部がスペインの飛び地と国境を接している地理的要因もあり、今大会で破ったスペイン、ポルトガルに支配されていた歴史も併せ持つ。
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『モロッコvsフランス』は「植民地支配者vs支配された者の戦い」“歴史的な因縁”指摘するメディアも
中日新聞 2022年12月11日
https://www.chunichi.co.jp/article/598893
■歴史が生んだ因縁対決=フランスとモロッコ―W杯サッカー
時事通信社 2022-12-13
https://sp.m.jiji.com/article/show/2866164
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14日の準決勝で激突するフランスとモロッコには、歴史的な因縁がある。
フランスはモロッコの旧宗主国で、国内には多くのモロッコ系住民が暮らす。
前回王者にダークホースが挑む構図となり、互いの意地がぶつかり合う熱戦になりそうだ。
フランスは1907年からモロッコに軍事侵攻を始め、12年に植民地化。モロッコはナショナリズム高揚などを背景に、激しい闘争を経て56年に独立を果たした。
地理的な要因もあり、同国は今大会で破ったスペイン、ポルトガルに支配されていた歴史も併せ持つ。
今大会の準々決勝でフランスとモロッコがいずれも勝利した10日夜にはパリのシャンゼリゼ通りに約2万人が集まり、一部が暴徒化。
当初は両チームのサポーターが平和的に喜びを分かち合っていたものの、警官隊に爆竹を投げ付けるなどし、70人以上が身柄を拘束される事態に発展した。
準決勝の日にはさらなる人出が予想され、再び混乱が起きる可能性もある。
とはいえ、選手たちはピッチ上の戦いに集中するのみ。
モロッコを率いるレグラギ監督は自らがフランスで生まれ育ったルーツを持つ。
「死ぬ気で戦う必要がある。私ほどモロッコ人の心を持っている人間はいない」。
持てる全てをぶつけようとしている。
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歴史が生んだ因縁対決=フランスとモロッコ―W杯サッカー
時事通信社 2022-12-13
https://sp.m.jiji.com/article/show/2866164
共同通信 2022/12/14
https://nordot.app/975712984561139712
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モロッコ航空は14日までに、同日のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会準決勝モロッコ―フランスの試合をファンが現地観戦するために予定していた臨時便の運航を取りやめると予約者に通知した。
カタール側の規制を理由にしている。
モロッコメディアなどが伝えた。
モロッコ代表チームはW杯でアラブ、アフリカ勢として初めて4強に進出し、国民の熱気が高まっている。
試合のチケットがあっても移動できないファンが多くいるとみられ、モロッコメディアは突然の措置が「混乱と問題を生じさせている」と報じた。
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モロッコ、臨時便の運航停止 W杯準決勝、カタール行き
共同通信 2022/12/14
https://nordot.app/975712984561139712
■「人種」は歴史的に作られたものだった――『黒人と白人の世界史』
じんぶん堂(朝日新聞)2021.12.15
https://book.asahi.com/jinbun/article/14492709
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移民社会フランスとは、この国が植民地帝国を築いた過去の裏返しだ。
フランスは現在でも、カリブ海に領土(海外県)を有しており、また過去には、西アフリカを中心にアフリカ大陸の約三分の一を支配下に収めていた。
こうした経緯から、フランス社会はアフリカやカリブ海出身者が一定の割合を占めているのだ。
そうした現実を踏まえれば、この授業が単に知識の伝授をおこなうだけでは済まされないことは容易に想像される。
植民地主義、大西洋奴隷貿易、奴隷制といった話題は避けて通れないばかりか、そうした話題は、受講生に対して、フランス植民地主義がもたらした加害と被害というセンシティブな関係をおのずと喚起するだろう。
だからこそ、著者は自らをフランス人の歴史家ではなく、「白人の歴史家」として自己認識するようになる。
この認識は本書において決定的だ。
・「人種」とフランス
ところで、この場合の「白人」とは厳密には何を指すのか。
著者は自分を生物学的な意味で白人だと思っている、ということだろうか。
いや、そうではない。
この意味での人種概念は、本書の序文冒頭にあるとおり、ユネスコが早々に否定したものだ。
ユダヤ人の大虐殺をもたらしたのは、ナチスの人種理論であり、白人至上主義だった。
そのため、生物学的意味での人種概念をユネスコは斥けたのだった。
しかし、「科学的には無効であっても、政治的、社会的現実として人種は存在する」。
問題はむしろこちらにある。
この意味で存在する人種とは、端的に、フランス社会を今なお規定する植民地の遺産の帰結だ。
「白人」が「黒人」を支配したり奴隷化したりしてきた、植民地時代の連綿たる過去があるからこそ、フランスは現在のような多文化的な移民社会になったのだ。
フランスの「白人」は、植民地支配者側の国民の特権として、フランス社会が受け入れてきた「黒人」よりもいつでも有利な社会的立場を保持してきた。
こうして、戦後の経済成長を背景に、オイルショックで経済が停滞するまでのあいだ、フランス政府は旧植民地や海外領土から、多くの移民を積極的に受け入れるようになる。
ところが、その反動として、白人マジョリティの権益擁護と移民排斥を標榜する極右政党「国民戦線(現・国民連合)」が1972年から台頭するようになった。
このように、政治的、社会的現実としての人種は、人種間の優劣を前提とする人種主義として、フランス社会に根強く存在し、社会の分断をよりいっそう深めてきている。
つまり、ブラック・ライヴズ・マター運動によって注目を浴びたアメリカ合衆国社会のみならず、フランス社会においても同様に人種問題は喫緊の課題であり続けており、現にフランスでは、21世紀以降、この極右政党の党首が大統領に選ばれてもおかしくはない人気と支持を得てきている。
本書は、人種主義がフランス社会、ひいてはヨーロッパ諸国にもたらす分断状況を受けて、書かれるべくして書かれたのだ。
・つくられる「人種」
では本書は何を明らかにするのか。
端的には、それは人種概念がヨーロッパ人によってどのように生み出され、正当化されていったのかを歴史的に解明することだ。
たどるべき史実は、大西洋奴隷貿易から奴隷制を経て第二次世界大戦が終結するまでの数百年におよぶ。
この数百年とは、すなわち、欧米諸国が産業革命を経て世界の覇権を争って領土拡張を遂げながら、最終的には世界戦争にいたるまでの、いわば西洋が圧倒的優位を誇った時代だ。
この白人優位時代において、その最大の犠牲となった人々は誰かと問えば、「黒人」とされる人々だという答えがおのずと返ってくる。
黒人は、アメリカ、カリブ海地域では奴隷とされ、アフリカ大陸でも支配・搾取されてきたが、その発端は、著者の見るところ、大西洋奴隷貿易・奴隷制にある。
著者は、アメリカ諸地域での数世紀におよぶ奴隷制こそが「ニグロと白人の世界」を作り出したと考える。
すなわち、ヨーロッパ人がアフリカ人を奴隷化するシステムを構築することにより、「ニグロ」と「白人」という肌の色と外形で捉えられる、のちに人種化される関係が生じたのである。
しかも、その暴力はいまだに過ぎ去っていない。
「西洋全体に共通する歴史に根差した暴力や暗黙の了解の威力を測るには、あることを試してみるだけでいい。
教室でも、校庭でも、テレビでも何でもいいから、公的な場で「ニグロ(nègre)」という言葉を発してみるのだ。
反応は素早く、すさまじいものだろう」(本書、12頁)と著者は言う。
なぜか。なぜならニグロは、16世紀以来、黒人奴隷を意味する語として機能してきたからだ。
その語を口にするということは、相手の人間性を即座に否定するに等しい。
「お前は人間ではない」と言うようなものなのだ。
著者が確認するのは、次のことだ。
すなわち、「ニグロ」という語の定着以後、奴隷とはほぼ黒人のことを指すようになった。
部分を全体で表す修辞を換喩と呼ぶが、「ニグロ」という語は、黒人全員が奴隷であるわけではないにもかかわらず、黒人を奴隷と等号にしてしまう修辞的用法として発明された、ということだ。(後略)
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「人種」は歴史的に作られたものだった――『黒人と白人の世界史』
じんぶん堂(朝日新聞)2021.12.15
https://book.asahi.com/jinbun/article/14492709
■ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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【コロンブス以後】
・疫病の蔓延と人口減少
16世紀のヨーロッパ人やアジア人は既に、牛、豚、羊、山羊、馬および様々な家禽といった家畜を飼い、住まいもそれらと近接しているという状態が長く続いていたが、アメリカ大陸ではそうではなかった。
1492年以降ヨーロッパ人が大挙してアメリカ大陸に押し寄せ、先住民族と接触するにつれて、先住民が経験したことのない、従って免疫性のない病原菌を持ち込むことになった。
天然痘(1518年、1521年、1525年、1558年、1589年)、チフス(1546年)、インフルエンザ(1558年)、ジフテリア(1614年)、およびはしか(1618年)といった疫病の大流行があり、先住民族人口のうち、1千万人ないし1億1200万人、95%ないし98%は減少したと考えられている。
この人口の減少に続いて文化的な混乱と政治的な崩壊が起こり、ヨーロッパ人による既存文明の征服と土地の植民地化が容易になったとされている。
(中略)
ヨーロッパ人と先住民族の抗争が原因で死亡した者の数も結論が出ていない。
歴史愛好家ウィリアム・M・オズボーンはその著書『荒野の辺境:ジェームズタウンからウンデッドニーまでのアメリカ・インディアン戦争における残虐行為』の中で、最初の接触(1511年)からフロンティアの消滅(1890年)まで、今日のアメリカ合衆国本土内で記録されたすべての「残虐行為」を集計し、先住民族による残虐行為での死者が9,156人、ヨーロッパ人による残虐行為での死者が7,193人とした。
オズボーンは残虐行為を市民、負傷者および捕虜に対する殺人、拷問あるいは人体切断として定義している。
(中略)
コロンブス航海の後1世紀半で、アメリカ大陸の先住民族人口は80%減じたと見積もられている(1492年の5千万人から1650年の8百万人)。
これは旧世界からの疫病の流行だけでなく、何度かの虐殺と強制労働によるものであった。
(中略)
・強制移民
ヨーロッパ諸国の移民が現れる前にも奴隷制は存在していた。
先住民族は他の種族を戦争で捕虜として捕らえ、奴隷化していた。
これら捕虜の中には、例えばアステカのような種族では人身御供とされる場合もあった。
スペインはカリブ海で現地の住民を奴隷化した。
疫病や強制労働および無作為な殺人によって先住民人口が減少するに連れて、大規模な奴隷貿易によって輸入されるアフリカ人に置き換えられていった。
18世紀までに、黒人奴隷の数が圧倒的になり、先住民の奴隷はほとんど見られなくなった。
奴隷船でアメリカ大陸に送られたアフリカ人は、その故郷の海岸に住む種族が捕まえて売り払った者達が多かった。
アフリカではヨーロッパ人が疫病に罹患する確率が高かったので、奴隷を捕まえる役割は現地の種族に限定された。
1810年頃までに30万ないし40万人の黒人奴隷がチャールストンやニューポートの港に届けられた。
カリブ海の諸島、ブラジル、メキシコおよびアメリカ合衆国に輸入された奴隷の総数は1000万人ないし2800万人と見積もられている。
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ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E8%AB%B8%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%A4%A7%E9%99%B8%E3%81%AE%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0%E5%8C%96
■東南アジアの植民地化【列強によるアジア侵略③】ゼロから世界史67講
https://www.youtube.com/watch?v=n4B68WiNdCc
■悪いのは侵略した白人、東亜民族解放した日本は誇りを…オランダの市長挨拶から再び戦後体制の是非を問う
産経新聞 2016/2/23 森靖喜
https://www.sankei.com/article/20160223-YSTPBG77IZPFXPLWX2B3U77NRQ/
■ヘンリー・ストークス 日本は白人支配からアジアを解放した
産経新聞 2015/6/29
https://www.sankei.com/article/20150629-XMGMQYURGNOKLE2TKGYKZSNG44/