■PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いとは? 済生会「コロナのデータを理解する」2020.09.14 久保園高明(鹿児島病院院長)
■PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いとは?
済生会「コロナのデータを理解する」2020.09.14 久保園高明(鹿児島病院院長)
https://www.saiseikai.or.jp/feature/covid19/data_q02/
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コロナ禍の報道でよく聞くPCR検査や抗原検査。
しかし何がどう違うのかよく知らないという人も多いはず。
今回は、さまざまな検査の特徴やその仕組み、検査に関する専門用語を分かりやすく解説。
最後に、もし東京都の人口全員を検査するとどうなるのか、シミュレーション結果から分かることをお伝えします。
・いろいろな検査があるけど、何がどう違うの?
新型コロナウイルスの検査には、ウイルスの有無を調べる「PCR検査」「抗原検査」、過去の感染の有無を調べる「抗体検査」の3つがあります。
それぞれの特徴についてみていきましょう。
・コロナウイルスの検査で聞く、『感度』や『特異度』ってなに?
「感度」とは、検査して“正しく陽性(感染している)と分かる割合”です。
真陽性率ともいいます。
例えば100人感染者がいるとして、検査で90人が陽性と分かるならば、感度は90%となります。
「特異度」とは、検査して“正しく陰性(感染していない)と分かる割合”です。
真陰性率ともいいます 。
例えば感染していない人が100人いるとして、検査で98人が陰性と分かるならば、特異度は98%となります。
なお、感染してから何日経過したかや、検体(検査する血液や体液)に含まれるウイルス量によって感度は変わりますが、新型コロナのPCR検査の感度は最高でも70%ほどと考えられています。
特異度はおおよそ99%程度のようです。
・感度や特異度を100%にすることはできないの?
「できない」と考えておいた方がよいでしょう。
感度や特異度は、検査をする材料(検体)の状態 や、陽性と判断する基準値(カットオフ値といいます)によっても変わってきます 。
ごく一部の病気を除いては、感度100%・特異度100%の検査をすることはできないのです。
・感度が70%だとして、残りの30%は?
残りの30%は、本当は感染しているのに陰性となってしまう人の割合です。
これを「偽陰性」といいます。
一方、特異度が99%の場合、1%余ります。
この1%は、本当は感染していないのに陽性となってしまう人の割合です。
これを「偽陽性」といいます。
それでは、ここで問題です。
例えば下記の条件で検査を行なった場合、陽性の的中率(検査の信用度ともいえます)はどれくらいでしょうか?
計算してみましょう。
・人口:1400万人(おおよそ東京都の人口)
・感度:70%
・特異度:99%
・感染率:人口の0.12%(東京都の10万人当たりの感染者数より仮の感染率を作成)
答えは約7.8%です。
約1.2万人しか感染者を割り出せません。
偽陰性の人も約5,000人出ます。
一方で、約14万人もの人々が偽陽性と判定されてしまうのです。
・本当に検査するべき人だけを検査する理由
この結果から分かることを整理してみましょう。
1.疑わしくない人まで対象に含めて検査人数が多くなると、偽陽性の人数が多くなってしまう(真陽性〈本当に陽性〉の人数よりも多い!)。
2.偽陽性の人数が多くなると、検査の信用度が下がってしまう。
検査を受けて陽性といわれても、その人が本当に陽性である確率が約7.8%だとすれば、はたして検査をする意味があるのか、分からなくなってしまいそうです。
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■PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いとは?
済生会「コロナのデータを理解する」2020.09.14 久保園高明(鹿児島病院院長)
https://www.saiseikai.or.jp/feature/covid19/data_q02/
■ダイヤモンド・プリンセスの呆れた感染対策、厚労官僚はなぜ暴走したのか 週刊ダイヤモンド 2020.2.20
■ダイヤモンド・プリンセスの呆れた感染対策、厚労官僚はなぜ暴走したのか
週刊ダイヤモンド 2020.2.20
https://diamond.jp/articles/-/229357
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岩田健太郎・神戸大学教授がYouTubeで告発した、ダイヤモンド・プリンセスのお粗末な新型コロナウイルス対策。
アフリカや中国と比べてもひどいという感染対策そのものも大問題だが、意見を口にする者を現場から締め出すという、徹底した「言論統制」を敷いていることも明かされた。
なぜ、エリート揃いの厚労省が、こんな暴走をしているのだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)
・感染対策の専門家も 呆れる惨状
「アフリカや中国と比べてもひどい感染対策、まさかここまでひどいとは…」
18日、感染対策の専門家である岩田健太郎・神戸大学教授がYouTubeにアップした「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。
なぜ船に入って一日で追い出されたのか」という動画が、日本中に衝撃を与えている。
17日、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船を許された岩田氏が見た光景は驚きの連続だった。
まず、感染対策の世界では“基本のキ”である、レッドゾーン(防護服を着る区域)とグリーンゾーン(防護服を着なくてもいい安全な区域)に明確に分けることもしておらずグチャグチャ。
どこの手すり、どこの絨毯が汚染されているかもわからないというカオスな状態だったという。
さらに、これまた世界の感染対策の現場では鉄則とされている「医療従事者の安全」もないがしろにされていた。
例えば、発熱した乗客が自室を出て、普通に廊下を歩き回って、防護服をつけていない医療スタッフなどと普通にすれ違っているそうで、医療従事者も「自分も感染しても仕方がない」と諦めムードの中で乗客のサポートをしているらしい。
これは、アフリカや中国の感染対策と比べてもひどいレベルだ、と岩田氏は指摘している。
要するに、世界の常識と大きくかけ離れ、医療従事者が玉砕覚悟で現場に飛び込む「カミカゼ感染対策」ともいうべき、支離滅裂な“ウイルスとの戦い”が繰り広げられているのだ。
感染対策のプロとして20年以上のキャリアを持ち、アフリカのエボラ出血熱や中国のSARSなど過酷な現場での経験もある岩田氏だが、これまでは自分が感染する恐怖はなかったという。
専門家としてどうすれば感染しないのかということを理解しているので「対策」が取れるからだ。
だが、ダイヤモンド・プリンセスのカオスな現場では、はじめて感染するかもしれないと恐怖に感じたという。
実際、動画を撮影している時点で、岩田氏は自身も感染したかもしれないというリスクを考慮して、家族などと離れて1人で部屋にこもっていると述べている。
ダイヤモンド・プリンセス号では18日現在、厚労省職員も含む542人という凄まじい数の感染者が出ている。
これを受けて一部メディアは、「もともと英国籍の船で、国際ルールの中で日本政府は強制力がなかったからしょうがない!」とか、「船内隔離をしないで上陸させていたら、もっとひどいことになっていた」という政府擁護の姿勢を見せているが、岩田氏の「決死の告発」を踏まえれば、擁護できる部分は1ミリもない。
アフリカや中国よりもひどい感染対応によって、健康な人にまでウィルスを広げてしまった「人災」の可能性が否めないからだ。
では、何かにつけて「日本の医療レベルは世界一」だと喧伝するこの国の感染対策が、なぜこんなお粗末なことになってしまったのか。
情報の少ない現時点ではまだなんともいえないが、岩田氏の告発からうかがえる一因として、「厚労官僚の暴走」がある。
前にも述べたように、岩田氏は17日にダイヤモンド・プリンセスに乗船を許された。これは岩田氏が個人的につながりのある厚労省の人間と交渉をしたからということらしいが、そこで岩田氏は“奇妙な約束”をさせられる。
「DMAT(災害派遣医療チーム)のメンバーとして乗船し、決して感染対策の仕事はしてはいけない」というものだ。
「は?感染対策の専門家に仕事をさせないってどんな理屈だよ」と呆れる方も多いかもしれないが、驚くのはそれだけではない。
船内を案内された後、岩田氏はスタッフらのミーティングで意見を述べてもいいかと打診をしたところ、感染対策を取り仕切っている何者かの怒りを買ったということで、わずか1日で下船を命じられたというのだ。
岩田氏によれば、船内では厚労省の方針への異論を許さぬムードが蔓延しているという。
岩田氏が訪れる前にも、感染対策の専門家は何人か乗船したというが、ほとんどがこのようなムードを忖度して進言をしない。
もちろん、「同調圧力」に屈することなく進言をする者もいたが、厚労省側は耳を貸さず、岩田氏のように船から追い出されてしまうらしい。
つまり、中国や北朝鮮のような「言論統制」が、現場の専門家たちの「粛清」を引き起こして、ただでさえ稚拙な感染対策をさらにひどい状態にしているのだ。
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■ダイヤモンド・プリンセスの呆れた感染対策、厚労官僚はなぜ暴走したのか
週刊ダイヤモンド 2020.2.20
https://diamond.jp/articles/-/229357
■「イスラエルでワクチンを受けた人、8倍変異株に感染しやすい」テルアビブ大学の世界初のデータが怖すぎる TOCANA(2021.04.22)
■「イスラエルでワクチンを受けた人、8倍変異株に感染しやすい」テルアビブ大学の世界初のデータが怖すぎる
TOCANA(2021.04.22)
https://tocana.jp/2021/04/post_206463_entry.html
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イスラエルでコロナウイルス南ア変異種について、ショッキングな新研究が発表された。
■ワクチン接種者が南ア変異種に感染する率は未接種者の約8倍
イスラエルは、既に100万人以上がコロナワクチンの接種を終えた。
これは世界最多であり、ワクチンの有効性について、イスラエルで多くの研究が進められている理由でもある。
イスラエルのテルアビブ大学とイスラエルのトップ医療サービス組織「クラリットヘルスサービス(Clarit Health Services)チームの研究によると、ワクチンを2回接種した患者が南ア変異種に感染する率は、ワクチン未接種の患者の約8倍であり、5.4%対0.7%であったという。
この研究では、ワクチンを1回または2回接種してから14日以上後に、コロナ検査で陽性となった400人を、ワクチン未接種の同数の患者と比較した。
テルアビブ大学でウイルスを専門に研究するアディ・スターン博士は、次のように述べている。
「ワクチン未接種のグループと比較して、ワクチン接種を受けた人々の間で、南ア変異種感染の割合が不釣り合いに高いことが判明しました」(アディ・スターン博士)
そしてこれは、ワクチンが南アフリカ変異種に対して、効果が低いことを示唆している、と述べた。
スターン博士は「タイムズ・オブ・イスラエル」紙に、「一般人口のパターンに基づくと、南アフリカ変異種感染例は1例だけと予想されていましたが、8例が見られました」と語り、この研究結果は驚きだったと語った。
そして博士は、「これはファイザーのワクチンは、防御性は高いものの、おそらくコロナウイルスの南アフリカ変異体に対して、同じレベルの防御を提供しないことを意味します」と付け加えた。
しかし実験規模が小さすぎて、どれだけ強力かはまだ分からないと述べた。
共同研究責任者であるクラリットのラン・バリサー教授も、「これは世界初のデータに基づいたものですが、ワクチンが南アフリカ変異種に対して効果が低いことを示しています」と述べている。
バリサー教授は、この結果は感染を防ぐために、ワクチン接種後も他人と社会的距離を置いたり、屋内空間でマスクを着用したりするなど、コロナウイルスに対する継続的な警戒が必要な事を付け加えた。
この研究結果で奇妙なのは、ファイザーのワクチンを接種した人が南ア変異種に感染しやすいようにも読み取れることだ。
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■「イスラエルでワクチンを受けた人、8倍変異株に感染しやすい」テルアビブ大学の世界初のデータが怖すぎる
TOCANA(2021.04.22)
https://tocana.jp/2021/04/post_206463_entry.html
■南ア変異株、ワクチンの免疫すり抜ける恐れも=調査 「2回ワクチンを接種した人の間で、南ア型変異株の感染率が不釣り合いに高い」 reuter 英 ロイター通信(2021年4月12日)
■南ア変異株、ワクチンの免疫すり抜ける恐れも=調査
「2回ワクチンを接種した人の間で、南ア型変異株の感染率が不釣り合いに高い」
reuter 英 ロイター通信(2021年4月12日)
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-israel-study-idJPKBN2BY0V2
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南アフリカで発見された新型コロナウイルスの変異株は、米ファイザー/独ビオンテック製のワクチンが提供する免疫をすり抜ける恐れがある──。
イスラエルのテルアビブ大学と同国最大の健康保健機構クラリットが10日公表した研究調査で、こうした見方が示された。
調査はファイザー/ビオンテックのワクチンを1回ないし2回接種して14日以上経過してから検査で陽性判定が出た約400人と、ワクチン未接種の陽性者の同数を比較。
全陽性者で見ると、南ア型変異株「B.1.351」に感染した比率はおよそ1%だったが、ワクチンを2回摂取した人の感染率は5.4%で、未接種者(0.7%)の8倍に達した。
この結果からは、ファイザー/ビオンテックのワクチンの効果が従来株や英国型変異株に比べ、南ア型変異株に対して弱いことがうかがえる。
ただイスラエルでは、感染者のほとんどは従来株と英国型変異株が占めている。
テルアビブ大学のアディ・スターン氏は「2回ワクチンを接種した人の間で、南ア型変異株の感染率が不釣り合いに高いことが分かった。つまり南ア型変異株はある程度、このワクチンの防壁を突破できるということだ」と述べた。
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■南ア変異株、ワクチンの免疫すり抜ける恐れも=調査
ロイター(2021年4月12日)
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-israel-study-idJPKBN2BY0V2
<新型コロナ>「パンデミック」予言 ビル・ゲイツ氏 「全米一律で封鎖」提言 東京新聞(2020年4月7日)
<新型コロナ>「パンデミック」予言 ビル・ゲイツ氏 「全米一律で封鎖」提言
東京新聞(2020年4月7日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/26050
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新型コロナウイルスとの闘いで、米マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏の言動が脚光を浴びている。
5年前に人類最大の脅威は「戦争よりもウイルス」とパンデミック(世界的大流行)の発生をいち早く予言。
現在は「全米封鎖」を求めるなど精力的に政策を提言している。
「人々が州境を自由に行き来できるなら、ウイルスも行き来できる」
ゲイツ氏は先週、米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、一部の州がまだ都市封鎖をしていない点を批判。
全米一律の封鎖によりウイルスを完全に封じ込めることが、結果的に早期の経済活動の再開につながると強調した。
五日には、米FOXニュースに「ウイルスの爆発的な感染拡大は悪夢のようなシナリオだ」と語り、「ワクチンができないと、世界は本当の意味で正常な状態に戻らないだろう」との見通しを示した。
マイクロソフトを創業し、千百億ドル(約十二兆円)の資産を持つ「世界一の富豪」で知られるゲイツ氏。
慈善活動家として第二のキャリアを歩み、二月には新型コロナウイルス対策に一億ドルの寄付を表明した。
ゲイツ氏は二〇一五年の講演で「今後数十年で一千万人以上が亡くなる事態があるとすれば、戦争より感染性のウイルスが原因だろう。ミサイルより病原菌に備えるべきだ」と世界中の指導者に警鐘を鳴らしていたことで注目されている。
五日の番組でも「この五年間に行われるべきだったことの5%未満しか行われなかった。本当に起こるかどうか分からないことに資金を投じるのは難しい」と語り、パンデミックが現実となった今後は世界各国でウイルス対策の投資が加速されるとの見方を示した。
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<新型コロナ>「パンデミック」予言 ビル・ゲイツ氏 「全米一律で封鎖」提言
東京新聞(2020年4月7日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/26050
■東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口 まぐまぐニュース(2017.06.16)
■東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口
まぐまぐニュース(2017.06.16)
https://www.mag2.com/p/news/253234
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今、東芝が大変なことになっていますね。
約7000億円もの損失を計上し、半導体事業などの売却を検討し、上場廃止などの声も上がっています。
下手をすれば、倒産するんじゃないかとさえ、言われています。
東芝というのは、日本を代表する家電メーカーであり、原子力事業でも国内で最大規模を誇っていました。
その巨大企業が、なぜこんな窮地に陥っているのでしょうか?
新聞や週刊誌などでは、東芝の隠蔽体質などが原因視されています。
確かに、東芝は、近年、粉飾決算などを行っており、決して問題のない会社ではありませんでした。
しかし、東芝の行っていた粉飾決算は、東芝を破滅させてしまうほどの大ごとではありませんでした。
今、東芝が窮地に陥っているのは、約7000億円にも及ぶ損失を記録してしまったからです。
この7000億円の赤字の大半は、実はたった一つの取引から生じているのです。
その一つの取引というのは、アメリカのS&W社の買収です。
東芝は、2015年の暮に、原発の建設会社だったS&W社を買収しました。
東芝が直接買収するのではなく、東芝の子会社となっていたアメリカのWH社が買収するという形になっていましたが。
このS&W社が、1年後に約7000億円の赤字を出すのです。
たった1年で7000億円もの赤字がなぜ生じたのでしょうか?
東芝は、なぜそれに気づかなかったのでしょうか?
そこには、日米の原子力政策を巡る、虚々実々の駆け引きが隠されているのです。
ことの発端は、2006年のことです。
この年、東芝は、アメリカの原子炉メーカーのWH社を買収しました。
なぜ買収したかというと、東芝はアメリカの原子力事業に参入したかったからです。
当時、アメリカは、原子力発電に再び脚光が浴びせられ、「原子力ルネッサンス」というような状況にありました。
アメリカは、1979年のスリーマイル島の事故以来、30年間、新規の原発建設を認めていませんでした。
が、環境問題の世論の高まりや、電力コスト高などの影響を受けて、原発回帰の機運が生まれてきたのです。
東芝は、この話に飛びついたのです。
東芝が、WHを買収したのは、この「包括エネルギー法」成立の翌年のことなのです。
・順調なWH社
既存のアメリカの原子炉の多くは、WH社によるものであり、そのメンテナンスだけで莫大な収益を上げていました。
WH社は、アメリカの原子力政策にも精通しており、原子力発電を規制していた「アメリカ原子力規制委員会(NRC)」ともツーカーの仲だとされていました。
そのためか、東芝の買収後、WH社は、次々にアメリカの新規の原子力発電所建設を受注しました。
2008年4月、WHは、アメリカ・サザン電力の子会社であるジョージア電力(ジョージア州)と、2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
さらに2008年5月には、WHはアメリカ・スキャナ電力の子会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス・カンパニー(SCE&G)と2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結しました。
また中国でも2007年に4基の建設を受注していました。
ここまでは東芝の目論見通りだったといえます。
しかし、この事業計画は順調には進みませんでした。
ご存知のように、2011年に東日本大震災が起きてしまったからです。
福島第一原発の事故により、WHの原発建設の着工は大幅に遅れました。
サザン電力、スキャナ電力のいずれの原発も、2011年に着工の予定でした。
しかし、アメリカ原子力規制委員会(NRC)の承認がなかなか下りなかったのです。
もともとアメリカでは、2001年の同時多発テロの影響で、飛行機が激突しても耐えられるような厳しい設計基準がありました。
それに加えて、福島第一原発の事故を踏まえ、巨大な自然災害にも耐えられるような安全性が求められるようになったのです。
そのため、NRCの承認が下りたのは、ようやく2012年のことなのです。
そして、着工されたのは2013年です。
もちろん設計の変更や工期遅延により、莫大な追加費用が発生しました。
この費用負担を巡って発注元の電力会社や建設請負をしている会社「S&W」と訴訟騒ぎとなり、着工はさらに遅れることになりました。
・電力会社がS&Wの買収を要請した
このとき電力会社側が、ある提案をしてきます。
スキャナ電力など、アメリカの電力会社側が、東芝(WH)にS&Wの買収をすることを求めてきたのです。
電力会社側の言い分としては、「建設側の企業が入り組んだ状態となっているので、建設工事が進めにくい」ということでした。メーカーと建設業者が一体となって工事を進めることで、今後のスケジュールをスムーズに進めてほしい、というのです。
この言い分は、一見まっとうに聞こえますが、よくよく検討すると非常に不自然なのです。
原子力発電所の建設に、いくつもの企業が参加するというのは当然のことであり、一グループだけで建設をすべて請け負うのはそれほど多くありません。
だから建設側に「一体化しろ」と要求するのはおかしな話です。
しかし電力会社側は、「東芝(WH)がS&Wを買収し一体化すれば、契約金額や工事期間の見直しに応じる」とも言ってきたのです。
東芝はその甘言にまんまと引っかかってしまったようなのです。
・固定価格オプション
東芝(WH)は、S&W社を買収することに合意し、それとともに、電力会社と今後の建設費などの見直しの契約もしました。
その見直し契約には、固定価格オプションという取り決めがされていました。
固定価格オプションというのは、スキャナ電力は、工事費に5億500万ドル(約564億円)を上乗せし、2年程度、工事期間を延長する契約変更に応じますが、その後の超過コストはすべてWHが負担するというものです。
WHが負担するということは、つまりは実質的に親会社の東芝が負担するということです。
超過コストがあまり発生しなければ、東芝にうまみがあります。
でも、超過コストが発生すれば、東芝は際限なく負担を強いられることになります。
では、超過コストはあったのでしょうかなかったのでしょうか?
ご存知のような、約7000億円という莫大な超過コストがあったのです。
しかも、それは、S&Wの買収時点で、すでに発生していたのです。
東芝は、S&Wが抱えていた超過コストについて、知らなかったものと思われます。
なぜなら、7000億円もの超過コストがあるのがわかっていれば、買収などしないでしょうし、固定価格オプションなども結ばないはずです。
なぜ東芝は、S&Wが超過コストを抱えていることに気付かなかったのでしょうか?
それはアメリカ側の官民が結託した隠蔽工作があったからだと考えられます。
・巧みに隠蔽された巨額の超過コスト
S&Wは、もともとはアメリカの建設会社大手のショー・グループが所有していました。
東芝は、このショー・グループからS&Wを買収したのです。
買収する際、S&Wの持ち主であるショー・グループは、S&Wには10億ドル以上の運転資金があることを約束していました。
10億ドルの運転資金があるということは、10億円の黒字があるということです。
東芝は、それを信じてS&Wを買収したわけです。
そして、アメリカの監査法人なども、ちゃんとそれを証明しているのです。
なのに、なぜS&Wは超過コストを抱えていたのでしょうか?
実は、S&Wは、東芝(WH)から買収される時点では、「会計上の超過コスト」は発生していなかったものと思われます。
S&Wの損金が発生するのは、電力会社が固定価格オプションを発動してからなのです。
前述したように、スキャナ電力は、東芝がS&Wを買収した時点で、固定価格オプションという契約を結びました。
しかし、この固定価格オプションは、しばらく発動されませんでした。
発動するかどうかは電力会社に委ねられていたのです。
つまり固定価格オプションは、まだS&Wの買収時点では「有効」にはなっていなかったのです。
S&Wは、買収された時点で、潜在的に70億ドル程度の損失を抱えていましたが、固定価格オプションが発動されていないので、この損失は、帳簿上はまだ損失という扱いにはなっていなかったのです。
S&Wの原発建設による追加費用は、当初はS&Wにとっては売上として計上されていたはずです。
S&Wは、建設業者であり、建設工事が伸びたり、追加工事が発生すればその分、売上が増えることになります。
だから、工事の遅延代金や追加工事の代金は、当然、売上に計上されていたはずです。
この追加代金は、電力会社が払うかも知れないし、WHが払うかもしれない。
が、いずれにしろ、S&Wにとっては、追加工事は「売上」であり、損失ではなかったのです。
が、東芝が買収してから半年後、スキャナ電力は固定価格オプションを発動しました。
これにより、追加工事の費用のほとんどがWHにつけられることになります。WHにつけられるということは、つまりは東芝につけられるということです。
この時点で、S&Wは東芝に7000億円の損失をもたらしたのです。
だから、売り主のショー・グループとしては、「売却する時点では、70億ドルの損失はなかった」と強弁できないこともないのです。
こうしてみると、アメリカの電力会社とショー・グループは、一体となって東芝をはめたとしか見えないような構図です。
・丸儲けしたアメリカの電力会社
東芝が窮地に陥ったのは、S&Wという大赤字会社を騙されて買収させられたからであり、S&Wが大赤字になったのは、固定価格オプションを結ばされてしまったからです。
通常、新しい原発の建設は費用超過がつきものなので、その負担は電力会社と受注企業が分担するのが通例となっています。
しかし、サウスカロライナのスキャナ電力の場合、超過コストをほとんど負担していません。
スキャナ電力と東芝(WH)が、当初結んでいた原発建設契約の総額は約76億ドルでした。
固定価格オプションによって追加費用を支払っても、総額は約77億ドルです。
数十億の追加コストが発生しているのに、スキャナ電力の負担はほとんど増えていないのです。
東芝は、アメリカ側の巧妙な策に引っ掛かってとんでもないババを引かされてしまったのです。
しかも、さらに腹立たしいことがあります。
アメリカ側のスキャナ電力は、原発建設の超過コストを、ちゃっかりを電気料金の中に組み入れているのです。
つまり、スキャナ電力は、住民から超過コスト代をせしめていながら、超過コストの負担は一切していないのです。
スキャナ電力のあるサウスカロライナでは、電力料金は、総括原価方式という価格設定方法が採られています。
アメリカでは、州によって電力料金の決め方が違っており、大まかに言って「総括原価方式」「電力自由化」の二つの地域がありますが、サウスカロライナは、「総括原価方式」を採っているのです。
総括原価方式というのは、電力をつくるためにかかったコストに、一定の利潤をプラスして決められるものです。
当然のことながら、発電所の建設費も、この原価に含まれることになります。
東芝(WH)に原発建設を発注しているスキャナ電力は、2009年以降、電気料金を9回も値上げをし、18%増となっています。
これは、原発建設の費用がかさんだために、電気料金に転嫁するという建前になっています。
が、前述したように、スキャナ電力は、当初の原発の建設の契約額から、ほとんど上乗せはしていません。
つまりは、スキャナ電力は、丸儲けしたということなのです。
2005年から始まったアメリカの新原子力発電事業は、2010年のシェール革命によるガス発電の大躍進と、2011年の福島第一原発の事故により、大きく後退しました。
そして、建設中の原発は、巨大なコスト超過により、大きな損失を蒙りました。
現在、その損失を、全部、東芝一人が背負わされてしまったという構図になっています。
東芝が破綻しかかっているのは、それが本当の原因なのです。
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■東芝は米国にハメられた。原発買収で起きていた不可解なやり口
まぐまぐニュース(2017.06.16)
https://www.mag2.com/p/news/253234
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚 Business Journal(2015.09.01)
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
Business Journal(2015.09.01)
https://biz-journal.jp/2015/09/post_11338.html
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JAバンクは、農協と信用農協、農林中央金庫で構成され、預金残高は90兆円を超え、みずほ銀行を超え国内2位である。
また、農協共済は資産52兆円、保有契約高289兆円で国内3位となっている。
これだけの規模でありながら組織形態は協同組合で、法人税も軽減税率が適用される。
また、株式会社でないため、株式保有による経営介入もできないし、買収もできない。
これに対して、民間企業との競争条件の同一性を要求しているのが、米国政府と米国金融、保険の多国籍企業である。
在日米国商工会議所は、米国政府の通商代表部(USTR)や米国商工会議所とも連携している、著名な米国多国籍企業で構成員される商工団体である。
意見書をまとめ、日本政府に対して絶えず圧力をかけている。
今回の農協改革にも、意見書で次のような見解を明らかにしている。
「J Aグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資するかたちで組織改革を行うべき」
「JAグループの金融事業は、金融庁の規制を受けないことによって利益を得ている」
「JAグループの金融事業と、日本において事業を行っているほかの金融機関との間に規制面での平等な競争環境を確立し、JAグループの顧客が金融庁規制下にある会社の顧客と同じ水準の保護を受けるために、JAグループの金融事業を金融庁規制下にある金融機関と同等の規制下に置くよう要請する」
さらに、JA共済についても「日本政府は国際通商上の日本の責務に従い、共済を外資系保険会社と同等の規制下に置くべきである」との意見書を発表している。
この在日米商工会議所の意見書は、株式会社と同等の規制、すなわち農協の信用、共済事業を株式会社へ転換することを要求しているのであり、それにこたえようとしたのが、今回の農協法などの一部改正なのである。
・米韓FTAで韓国農協も株式会社化
農協の株式会社化は、すでに韓国で先行して実施されているが、それも米国政府の要求を受けてのものであった。
2007年6月に調印し、12年3月に発効した米韓FTA(自由貿易協定)で、米国政府は金融サービスにおいて金融機関の規制の同等性を要求し、韓国政府もそれを受け入れたのである。
これによって、農協の株式会社化への道筋ができたのである。
韓国政府は11年3月に新農協法を国会で成立させ、これにより韓国農協中央会の金融共済業務は分離され、持株会社の下で農協銀行、農協生命保険、農協損害保険にそれぞれ株式会社化されたのである。
さらに、経済部門も同様に株式会社化された。
この韓国農協の株式会社化は、日本の農協の株式会社化の先行事例になるのであろうが、日本の農協は、金融部門の預金量や共済の保有契約高も韓国農協をはるかに上回り、世界有数の規模を持っているだけに、その株式会社化の衝撃度は極めて大きい。
今、米国の穀物多国籍企業は、全農の株式会社化で全農の子会社である全農グレインを傘下に収めることを狙っているともいわれている。
全農グレインは、米国ルイジアナ州ニューオーリンズに世界最大の穀物船積み施設を保有しており、そこでは遺伝子組み換え(GM)作物を分別管理している。
GM小麦の導入を目指している米国にとって、GM作物を混入しないように管理している全農グレインは不愉快な存在でしかなく、全農をまずは株式会社化して、その後に全農グレインを買収するというシナリオは十分にあり得る。
いずれにせよ今後、農協、全農、経済連の株式会社化がどう進展するのか、注視していく必要がある。
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■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
Business Journal(2015.09.01)
https://biz-journal.jp/2015/09/post_11338.html
■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?
~狙われる日本人の金融資産~
(著者:ベンジャミン・フルフォード、発売日:2015年06月、出版社:メディアックス)
「米国は、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」
「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」
ベンジャミンフルフォード『フォーブス』元アジア太平洋局長