■富士フイルムの米ゼロックス買収に仕掛けられた罠 ~カール・アイカーンが富士フイルムに対して仕掛けた罠~ 法と経済のジャーナル(朝日新聞)2018/04/03
法と経済のジャーナル(朝日新聞)2018/04/03
https://judiciary.asahi.com/fukabori/2018040300002.html
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かつての名門会社である米ゼロックス社の経営陣は、大株主であるアイカーンや他のヘッジファンド株主たちから圧力を受けて、死に体の複写機市場でもがき苦しむ現状から「なんとかして」価値を創造するために、ゼロックスのぎりぎり過半数(50.1%)の経営権を買ってほしいと富士フイルムに泣きついてようやく合意にこぎつけた。
ただし、残りの株式49.9%は、アイカーンやヘッジファンド等の一般株主の手中に残ったままだ。
これに対してアイカーンは、富士フイルムが提示した購入代金の金額について「足りない」と文句を言い、大いに騒ぎ立てて買収の妨害を企てている。アイカーンがゼロックス株式の表向きの価格の吊り上げに成功するか否かは、やがてわかる。
だが実は、富士フイルムにゼロックスの50.1%を買わせることは、二部構成の舞台の第一幕に過ぎない。
アイカーンにとっては第二幕こそがクライマックスである。
第二幕では、「少数株主の権利」について訴訟あり、もっともらしい発言ありと、いろいろあるだろう。
そして、残りの49.9%についていっそうの高い値を引き出そうとしてくるにちがいない。
とかく優れた罠は、何の疑いも持たない獲物からは無害に見える。
古森会長のように日本国内の規範に慣れている日本企業の重役たちの目には、第一幕のあとのゼロックスの株主構造――すなわち上場企業(ゼロックス)が別の上場企業(富士フイルム)により管理される一方で、少数派として一般の株主(アイカーンら)がいるという構図――に何の怪しさも感じないだろう。
日本の上場企業(全3,000社)のうち、約300社がまさにこの所有構造をとっていて、一般的に「親子上場」と呼ばれている。
親子上場は、日本の財閥、グループ系列、その他安定株主を擁しての「戦略的」な株式持合いといった同様の会社所有構造の一つの変形パターンにほかならない。
しかし、アメリカではそうではない。
アメリカには親子上場などほとんど存在しない。
日本ではよく見受けられる、そうした構造が「子」の少数株主と「親」との間にきわめて厄介で、法的にも違法となり得る利益相反を生み、賢明なコーポレートガバナンスの原則に反するとアメリカで考えられていることが、アメリカに親子上場がほとんどない主な理由である。
そのことを日本企業の重役らは知らない可能性がある。
アイカーンは、富士フイルムとゼロックスの交渉が発表されて以来何通かの書簡を出しているが、その中ですでに第二幕を予告している。
買収後は「兄」となった富士フイルムがゼロックスの50.1%を握る支配株主としての地位を悪用して大邸宅に住みロールスロイスを乗りまわすかたわら、弟は掘っ立て小屋に住んで古くて壊れそうなハッチバックに乗るという、おどろおどろしい絵を描いている。
第二幕においてアイカーンは、日本の「兄」が支配株主の権限を悪用してゼロックスの資産とテクノロジーを搾り取ってアメリカの「弟」に不利益をもたらしているとして富士フイルムを訴えようと、すでに頭の中で訴状の下書きを進め、陪審員に向けての最終弁論の練習までしているのではないか。
さらに皮肉なことに、富士フイルムがこの買収スキームを正当化する理由として、さまざまなコスト削減と富士フイルムとゼロックス両社の価値を高める「シナジー」につながると主張しているのに対し、アイカーンは、富士フイルムがゼロックスの資産、テクノロジー、顧客および社員を盗もうとしているとか、ゼロックスを過小評価しているなどと主張して、たえず訴訟をちらつかせている。
このような状況下ではとうてい富士フイルムがえがく「シナジー」が実現できるはずもない。
一つ一つの取引について「公正」か、「アームズレングス」な条件で行われるかといったことを証明しなければならないだろう。
そんな心配をすることなく、両社が一つの会社のように共に考えて行動しないかぎりシナジーは生まれない。
ゼロックスの親子上場の株主構造では、この取引の売り文句であるシナジーを実現できなくなる。
アイカーンの考えているであろうフィナーレは、第二幕で少数株主の権利を声高に主張して、富士フイルムにゼロックスの残りの株式をさらに高値で買わせようとすることだ。
そうと知りつつ、私は古森会長に次のように尋ねたい。
「ゼロックスが素晴らしい会社だとおっしゃるならば、いっそ丸ごと買ってはいかがですか?」。
これに対して本音──ゼロックスがもしかしたらそこまですごい会社でないかもしれない、そのリスクは少数株主にも共有してもらいたい──で古森会長が答えようものなら、まさにアイカーンの思う壺というわけだ。
富士フイルムがゼロックスのぎりぎり過半数を取得する計画には、日本企業による海外M&Aについてしばしば論じられる懸念もはらんでいる。
すなわち、価格が高すぎること、そして日本企業側に買収した外国の会社を経営する能力が足りないことである。
その上、富士フイルムが馴染みのない外国の法的環境の中で「親子上場」の株主構造に隠された落とし穴を読み違えはしないかという点はそれら毎度の心配を増幅する。
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■富士フイルムの米ゼロックス買収に仕掛けられた罠
~カール・アイカーンが富士フイルムに対して仕掛けた罠~
法と経済のジャーナル(朝日新聞)2018/04/03
https://judiciary.asahi.com/fukabori/2018040300002.html
■電通の英国企業買収に3つの疑問:日本企業の海外M&Aの陥穽
法と経済のジャーナル(朝日新聞)2012/09/25
https://judiciary.asahi.com/fukabori/2012092000008.html
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電通が英国の広告代理店イージスを約4千億円で買収するという。
残念ながら、この事例は、ここ数年間の日本企業の海外M&A(企業の合併や買収)に共通する悪いパターンにぴたりと当てはまる。
日本企業と海外企業を合体させただけでは、グローバルな大手ライバルと対等には競争できない、というのが第一点。
第二点として、日本企業側の海外企業に対する経営能力と、両社の組み合わせのシナジー効果が疑わしい。
そして、最後の第三点は、買収価格が高すぎるという問題だ。
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■電通の英国企業買収に3つの疑問:日本企業の海外M&Aの陥穽
法と経済のジャーナル(朝日新聞)2012/09/25
https://judiciary.asahi.com/fukabori/2012092000008.html
■悪いのは侵略した白人、東亜民族解放した日本は誇りを…オランダの市長挨拶から再び戦後体制の是非を問う 産経新聞 2016/2/23 森靖喜
■悪いのは侵略した白人、東亜民族解放した日本は誇りを…オランダの市長挨拶から再び戦後体制の是非を問う
産経新聞 2016/2/23 森靖喜
https://www.sankei.com/article/20160223-YSTPBG77IZPFXPLWX2B3U77NRQ/
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戦後日本社会は敗戦によって独立・主権を失い、「満州事変からのシナ事変・大東亜戦争は日本の侵略戦争」と、極東国際軍事裁判で断罪したマッカーサー占領軍総司令官によって作られた。
それを唯々諾々と認め、占領軍におもねり、東大教授など高い地位を得た日本の「進歩的」学者や教師、マスコミ、官僚、政治家によって世論はリードされた。
さらに彼らはソ連・毛沢東中国の社会主義・共産主義にあこがれを持ち、日清・日露戦争、台湾・朝鮮併合をも侵略と断罪した。
そして、「日本はシナ事変では南京で市民を虐殺した」「従軍慰安婦として女性を強制連行した」と歴史を捏造(ねつぞう)。
日本の歴史を「真黒」にする一方、一般市民を無差別大量虐殺した米軍の広島・長崎への原爆投下、東京大空襲など米軍の国際法違反行為や白人の有色人種への人種差別には目をつぶり、米国製日本国憲法を有り難がる。
そのレジーム中で若者は「クリスマスだ」「ハロウインだ」「バレンタインだ」とアメリカ製文化に踊らされ、国家が侵略されたら「逃げる」という。
これが戦後日本の体制・戦後レジームの実態なのである。
『物事を動かす原動力は精神にあり』。
精神が間違っていたら、どのような才能も努力も結果は無残である。
日本の歴史を「真黒」と見る精神では、若者たちに明るい未来はない。
諸外国の青年と比較して、日本の青年は極端に自国に誇りを持てずにいる。
原因は「日本真黒歴史教育」なのである。
そこで先月の「現代を問う」では、日本を断罪した張本人のマッカーサー元帥自身が「東京裁判は間違っていた」「あの戦争は日本の自衛戦争だった」という米国の国会での証言を紹介した。
今月はもう1人、後に内務大臣になったオランダ・アムステルダム市のエドアルド・ヴァン・テイン市長の平成3年、傷痍軍人会訪蘭に際してのあいさつを紹介したい。
「戦前のオランダは、アジアに本国の36倍もの大きな植民地インドネシアがあり、石油などの資源産物で本国は栄耀栄華(えいようえいが)を極めていました。今のオランダは日本の九州と同じ広さの本国だけとなりました。あなた方日本は『アジア各地で侵略戦争を起こして申し訳ない』『諸民族に大変迷惑をかけた』と自分をさげすみ、ペコペコ謝罪していますが、これは間違いです。あなた方こそ自らの血を流して東亜民族を解放し、救い出す、人類最高の良いことをしたのです。なぜならあなたの国の人々は、過去の歴史の真実を目隠しされてあるいは洗脳されて、『悪いことをした』と自分で悪者になっているが、ここで歴史をふり返って真相を見つめる必要があるでしょう」と話した。
そして「本当は白人が悪いのです。百年も三百年も前から競って武力で東亜民族を征服し、自分の領土として勢力下にしました。植民地や属領にされて、長い間奴隷的に酷使されていた東亜諸民族を解放し、共に繁栄しようと、遠大崇高な理想を掲げて、大東亜共栄圏という旗印で立ちあがったのが、貴国日本だったはずでしょう。本当に悪いのは侵略して、権力をふるっていた西洋人の方です。日本は敗戦したが、その東亜の解放は実現しました。すなわち日本軍は戦勝国のすべてを東亜から追放しました。その結果、アジア諸民族はおのおの独立を達成しました。日本の功績は偉大です。血を流して闘ったあなた方こそ、最高の功労者です。自分をさげすむのをやめて、堂々と胸を張って、その誇りを取り戻すべきです」という。
マッカーサー証言、そしてこのあいさつを知っても、なお「日本暗黒歴史観=日本悪者・侵略国家=日本の伝統否定=皇室否定=国家の存立よりも人権が大切」と現行憲法9条の死守を叫ぶならば、それはエドアルト市長がいう「洗脳された」「哀れな反日日本人」というしかないだろう。
「愛国心」という精神なき業績は、歴史には残らない。
森靖喜(もり・やすき) 昭和16年、岡山市生まれ。明治大学大学院卒業後、43年から金山学園(現・岡山学芸館高校)の教諭、岡山市教育委員長などを歴任。現在は岡山県私学協会長、学校法人・森教育学園理事長、岡山学芸館高校・清秀中学校学園長、教育再生をすすめる全国連絡協議会世話人。専門は政治学。
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悪いのは侵略した白人、東亜民族解放した日本は誇りを…オランダの市長挨拶から再び戦後体制の是非を問う
産経新聞 2016/2/23 森靖喜
https://www.sankei.com/article/20160223-YSTPBG77IZPFXPLWX2B3U77NRQ/
■ヘンリー・ストークス 日本は白人支配からアジアを解放した 産経新聞 2015/6/29
■ヘンリー・ストークス 日本は白人支配からアジアを解放した
産経新聞 2015/6/29
https://www.sankei.com/article/20150629-XMGMQYURGNOKLE2TKGYKZSNG44/
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著者・ヘンリー・ストークス氏は「日本は太平洋戦争で近隣諸国を侵略した戦争犯罪国であり、アメリカにより敗北させられた」という現在の日本人にとっては当たり前ともいえる認識について、「戦勝国が一方的に作り上げた虚妄である」と断ずる。
確かに第二次世界大戦はアメリカをはじめとする連合国の勝利という結果だったが、それとともに一つの大帝国が滅んだことはあまり知られていない。
その大帝国こそ、ストークス氏の故郷である「大英帝国」である。
大英帝国は、先の大戦により世界中に広がっていた版図のほとんどを失った。
連合国の一員だったにもかかわらず──である。
では「なぜ大英帝国は滅びたのか?」ここにストークス氏は「連合国戦勝史観の虚妄」を見出し、世界史を俯瞰してその謎を解き明かそうとした結果、大東亜戦争を「人種平等の世界実現へと舵を切らせる歴史的偉業」と結論付けるに至った。
実際に、日本は現地民が一方的に白人によって搾取される状況の打破を目指し、国際連盟で「人種差別禁止」を提案したところ、白人至上主義の欧米諸国によってこれが廃案にされたという事実がある。
世界史とは勝者の歴史であり、それは等しく白人キリスト教徒の侵略史でもある。
しかし、そこに大きく立ちはだかったのが大日本帝国だったのだ。
確かにアメリカとの「太平洋戦争」で日本は敗戦した。
しかし、植民地解放戦争である「大東亜戦争」の結果、欧米の植民地であったアジアやオセアニア諸国の独立を実現させ、差し違える形で大英帝国を滅亡させたのである。
これはまさしく「勝利」ではないかというのが、一見奇異に思える本書のタイトルの真意である。
確かに、日本がやったことは欧米から見れば悪魔の所業に見えるかも知れないが、支配されていた側に立てば、植民地支配から解放してくれた「恩人」ではないか。
歴史はその立ち位置で認識も違ってくる。
日本は欧米の史観をそのまま唯々諾々と受け入れる必要はまったくない。
日本は日本の立場こそ世界に向けて発信すべきだ、と日本で五十年間、外国人ジャーナリストの立場から日本を見てきた著者は日本人に対して覚醒を訴え、その上で「太平洋戦争」という言葉そのものが、GHQによる洗脳であると説き、日本人に対して「洗脳より目覚めよ」と訴えるのである。
本書の親本にあたる『大東亜戦争は日本が勝った』は、平成二十九(二〇一七)年に刊行されると大きな反響を呼んだ。
このたび「普及版」として改めて世に出たことで、日本人として先の戦争を振り返るきっかけとなればと思う。
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ヘンリー・ストークス 日本は白人支配からアジアを解放した
産経新聞 2015/6/29
https://www.sankei.com/article/20150629-XMGMQYURGNOKLE2TKGYKZSNG44/
■大東亜戦争は日本が勝った 英国人ジャーナリストヘンリー・ストークスが語る「世界史の中の日本」
・世界に冠たる日本の歴史
・侵略され侵略するイギリスの歴史
・白人キリスト教徒による太平洋侵略
・アメリカによる先制攻撃の「共同謀議」
著者:ヘンリー・スコット・ストークス, 藤田裕行
発売日:2017年04月
楽天ブックス https://a.r10.to/hMIn0j
■【ヘンリー・ストークス】人類史に輝く日本の偉業【WiLL増刊号#373】2020/12/26
WiLL増刊号
チャンネル登録者数 30.5万人
https://www.youtube.com/watch?v=x0tiJ6c1BvE
■日本人はなぜ自虐的になったのか―占領とWGIP―
「日本人に罪悪感を植え付け、原爆投下等、アメリカによる戦争犯罪への反発をなくすこと。彼らはメディアを支配し、法や制度を思うままに変え、時に天皇までも利用」
著者:有馬 哲夫
出版社:新潮社
発売日:2020年07月17日
楽天ブックス https://a.r10.to/hyHZON
■『アメリカ人だから言えた 戦後日本教育の不都合な真実』 日本人が国益損なう行動に走る理由
・リベラルに翻弄された戦後日本教育の正体
・日本では教えられない「国際社会の常識」
・自立心を持った人間を育てる「七カ条」
著者:ケント・ギルバート
発売日:2018年06月11日
楽天ブックス https://a.r10.to/hyacA8
■『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』(ケント・S.ギルバート)
・わが祖国アメリカよ、いつまで「反日プロパガンダ」を続けるのか
・わが愛する日本よ、そろそろ「洗脳」から解放されよう
著者:ケント・S.ギルバート
出版社:PHP研究所
発売日:2015年05月25日
楽天ブックス https://a.r10.to/hDYUsI
■『大東亜戦争は日本が勝った』(著者:ヘンリー・S・ストークス) 元「NYタイムズ」東京支局長ヘンリー・S・ストークス 時事通信社ニュース(PR TIMES)
■『大東亜戦争は日本が勝った』(著者:ヘンリー・S・ストークス)
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000053.000049367&g=prt
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「東京裁判は勝者の復讐(ふくしゅう)劇にすぎない」「いわゆる『南京大虐殺』はなかった」と世界の既成概念に欧米人で初めて挑戦したことに興味を持っていただいた。
ただ私は歴史に対して公平でありたかったのです。
〈初めて日本に来たときは、戦勝国史観に立ち、「日本は悪かった」「東京裁判は正しく、南京大虐殺はあった」と信じていた〉
滞日が長くなるにつれて、霧が晴れるように米国が押しつけた歴史観が誤りであることを悟り、歴史的真実がどこにあるか認識できるようになりました。
皆さんも反日国家のプロパガンダに惑わされず、歴史の真実を知って、日本が誇りある国になってほしい。
〈東京発の欧米特派員の報道には偏向した内容が少なくない。彼らの一部は日本を「肯定」する最長老に「修正主義者」のレッテルを貼った〉
滞日経験が浅い彼らのほとんどが勉強不足です。
昨年5月に私の本について「南京虐殺否定 無断加筆 ベストセラー翻訳者」との捏造(ねつぞう)記事を書いた共同通信の若い米国人記者も、創作小説にすぎないアイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ・南京」を史実のごとくに信じていました。
米東部の名門大学を卒業したエリートですらこのレベルです。
私こそ「リベラル」。
人種的偏見や差別に反対で、草の根の声を大切にしています。
真実を壊す嘘を受け入れられません。
しかし、日本でリベラルといえば、中国や旧ソ連を支持する左翼です。これはおかしい。
〈「日本は侵略した」と欧米や中国、韓国、日本の学者まで主張する〉
それは「連合国側の史観」。
敵側の戦時プロパガンダです。
確かに日本が欧米諸国のアジア植民地に軍事進攻したことは事実です。
しかし、それ以前に侵略して植民地にしたのは欧米諸国です。
日本は欧米の植民地を占領し、日本の将兵が宣教師のような使命感に駆られて、アジア諸民族を独立へ導いた。
アジア諸国は日本によって白人支配から独立した。
西洋人は世界史を見直すべきです。
日本はアジアを独立に導いた「希望の光」。
「侵略」したのではなく「解放」し、独立に導いたのです。
アジア、アフリカ、北米、南米、豪州を侵略した西洋は謝罪していません。
なぜ日本だけが謝罪しなければいけないのか。
白人が有色人種を侵略するのは「文明化」で、有色人種が白人を侵略するのが「犯罪」とはナンセンスです。
【プロフィル】ヘンリー・S・ストークス
1938年、英国サマセット、グラストンベリー生まれ。61年、オックスフォード大学修士課程修了後、62年にフィナンシャル・タイムズ入社、64年、初代東京支局長。67年、タイムズ東京支局長、78年、ニューヨーク・タイムズ東京支局長を歴任。三島由紀夫と最も親しかった外国人記者として知られる。著書に「三島由紀夫 死と真実」「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」、編著「光州暴動」、共著「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」「目覚めよ!日本」「連合国戦勝史観の徹底批判!」など。
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『大東亜戦争は日本が勝った』(著者:ヘンリー・S・ストークス)
元「NYタイムズ」東京支局長ヘンリー・S・ストークス
時事通信社ニュース(PR TIMES)
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000053.000049367&g=prt
外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)
■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか
Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)
https://news.ameba.jp/entry/20201112-243/
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・菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか
安倍晋三前首相が居なくなって、国会論戦も落ち着いてきた。
相変わらず「いつもの野党」は学術会議で責め立てるが、かつての「反安倍」VS.「反・反安倍」のような感情的な対立は影を潜めた感がある。
安倍内閣の頃は、野党が一言でも「モリカケ」を聞こうものなら、テレビはそこだけを執拗に流していた。
野党幹部も、政権のスキャンダルを徹底攻撃する姿勢を良しとしたし、安倍応援団もそうした野党に宗教戦争の如く反撃するのが己の使命であると信じ込んでいるかのようだった。不幸な状況だった。
ところが今は、余裕がある。
菅義偉首相が「全集中の呼吸で」などと大ヒット漫画『鬼滅の刃』のセリフを引用すると話題となる。
本来、国会とは、与野党ともに国の為に穏やかに話しあう場である。
ようやく、「アンチ」と「アンチへのアンチ」以外の議論が介在する余地が出てきた。
野党でも国民民主党は学術会議に一言も触れず、与党に対して提言を行う形で国民に選択肢を示している。
かなり健全ではないか。
さて、識者の間では想定されていた事態だが、アメリカ大統領選挙が泥仕合と化している。
ドナルド・トランプ政権が存続すれば政策は継続されるが、ジョー・バイデンに交代すれば新たな方策を日本も考えねばならない。
ここで安倍政権の外交を振り返りつつ、菅内閣が何を引き継ぎ、何を改善したいかを考えたい。
・トランプは中国に対決姿勢
まず、トランプは台頭する中国に対決姿勢を示してきた。
これに関しトランプの暴走との誤解があるが、違う。
トランプは議会で超党派を組んで中国と対決している。
仮にバイデン政権になっても、温度差はあろうが、方向性は変わらないだろう。
そもそも、アメリカ民主党といえども、強すぎる中国は好まない。
ただ全面的な対決姿勢かというと、トランプですら違った。
かつて、ロナルド・レーガンはソ連を潰すと宣言、自らの任期8年では果たせなかったが、後任のジョージ・ブッシュの時代に実現した。
レーガンとブッシュは、景気回復を成し遂げた後、軍拡競争を挑み、国際協調体制による包囲網を構築、あらゆるインテリジェンスを駆使して、ソ連崩壊に導いた。
では、今の中国が滅び際のソ連のような状態かと言えば、違う。
習近平の共産党支配は強固であるし、経済力はアメリカに追い付け追い越せの世界第二位の実力、外交的にはむしろ攻勢をかけているほどだ。
このような中国を潰す力は、今のアメリカには無い。
だからこそトランプは、中国に圧力をかけて、政治的経済的取引を有利に持ち込もうとしていたのだ。
バイデンも、基本路線は変わらない。
中国の方は、仲間がいないトランプよりも、国際協調による対中包囲網を実現しかねないバイデンこそ警戒しているとか。
もっとも中国は、それを黙って見ているほどお人よしではないが。
・首輪のついた「弱い日本」から「自立した強い日本」への道は、軍事力を裏付ける経済力の回復だ
さて、こうした流れの中で安倍外交はなにをやってきたか。
孤立するトランプの友達でいた。
ただ、それだけだ。
この場合の「友達」とは「仲良し」であって「仲間」ではない。
「仲間」とは何か。
いざという時に、一緒に武器を持って戦う存在のことである。
たとえば、イギリスはアメリカの政権が共和党だろうが民主党だろうが、アメリカの戦いには兵を派遣して戦ってきた。
もちろん、時に独自の判断でアメリカについていかない時もあるが、「原則として一緒に戦う仲間」である。
翻って安倍外交はどうだったか。
トランプは、日本に対等の同盟国にならないかと持ち掛けてきた。
その為に自主防衛を容認する発言をした。
ところが安倍首相は早々に拒否した。
軍事抜きの外交を選んだ。
確かに孤立するトランプは日本を無下にすることはなかった。
では、それが日本の国益となっただろうか。
安倍政権は単に、日本がマトモな軍事力を付けることを嫌がる勢力と戦うのを回避しただけではないか。
では、日本がマトモな軍事力を付けることを嫌がる勢力とは誰か。
国内においては財務省である。
財務省は財布の紐を締めるのが仕事である。
国家予算つまり国の支出は、大半が福祉と地方へのバラマキに消えている。
そのバラマキを支える為に増税と緊縮財政に走っている。
そんな中で、防衛費は額が大きくて抵抗力が小さい。
福祉や土木を削ろうものなら族議員から業界団体までが束になって抵抗してくるが、防衛に関心を持つ国民や政治家は少ない。
財務省からしたら、「防衛費を削れなければ、何を削るか」なのである。
今までの歴代アメリカ大統領は、強い日本を本質的に忌避し、首輪をつけた状態に置いておいた。
バイデンが「弱い日本」を首輪につないでおきたいのか、それとも「自立した強い日本」を望むのか。
我が国は、後者こそが日本だけでなくアメリカの国益になるのだと説得すべきであろう。
そして強い日本となるには裏付けが必要だ。
安倍内閣のGDP0.95%の防衛費では合格最低点に達していない。
平時で2%が標準である。
本気で中国を潰すなどと考えるなら、7%も視野に入れねばなるまい。
ただ、精神論だけ言っても裏付けが無ければ意味がない。
では、その防衛費を増額させる財源はどこからひねり出すか。
経済成長以外にありえない。
安倍内閣は8年も政権を独占しながら、景気回復すら達成できなかった。
それどころか2度の消費増税により景気回復を腰折れさせていたところに、コロナ禍である。
今でこそ巨額の給付により国民経済は何とか支えられているが、ではいつまでこれを続けるか。
それとて、今すぐ金融緩和をやめてしまえば、リーマンショック以上の大不況が押し寄せてくるのだ。
・米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない
コロナ禍を収拾、そして景気回復を成し遂げねば、外交などできはしないのだ。
古い格言に「外交と軍事は車の両輪」とある。
軍事抜きの外交など、発言力は十分の一だ。
もし菅内閣が本気で外交をやるならば、防衛費GDP2%程度の軍事力を持たねば話にならないし、その為にはコロナ禍とデフレ経済を早々に退治しなければ、軍事力の裏付けとなる経済力が回復しない。
米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない。
一つは翻弄されるだけの存在。
もう一つは自分の力で生きる国となること。
さて、菅義偉首相の選択はどちら?
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■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか
Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)
https://news.ameba.jp/entry/20201112-243/
■ロッキード事件の「真の巨悪」は田中角栄ではなかった 米高官・CIAを後ろ盾に暗躍した「元戦犯容疑者」たちを徹底究明 クーリエ・ジャポン(講談社) 2020.10.31
米高官・CIAを後ろ盾に暗躍した「元戦犯容疑者」たちを徹底究明
https://courrier.jp/news/archives/216989/
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・田中がアメリカに嫌われた真の理由を明らかにする
日本人の心に、強烈な印象を残した田中角栄(たなかかくえい)。
ロッキード事件で、逮捕・起訴され、一、二審で実刑判決を受けて政治生命を絶たれ、病にも倒れて、鬼籍に入った。
しかし、この事件には、未解明の重大な疑問が残されている。
当時、ほとんどの日本人は田中が現職の首相時代に犯した犯罪だから、田中が「巨悪」だと受け止めていた。
だが、本当の巨悪は他にいて、断罪されないままになっているのだ。
田中訴追に直接関係する証拠は米国司法省から東京地検特捜部に引き渡され、法の裁きを受けた。
しかし、巨悪解明につながる証拠は提供されなかった。
アメリカは、なおその証拠を秘匿している。
戦後最悪の国際的疑獄となった、この事件。
昭和から平成、さらに令和の時代を迎えた今も、真相を紡げないまま、歴史のかなたに葬ってしまっていいのか、と痛切に感じる。
田中角栄の逮捕から40年たった2016年、田中に関する書籍や記事、テレビ番組が相次ぎ、角栄ブームにもなった。
かつての政敵の一人、石原慎太郎(いしはらしんたろう)が著した小説『天才』(幻冬舎)やNHKスペシャルなど、ドキュメンタリー番組も話題になった。
その中で、朝日新聞編集委員の奥山俊宏(おくやまとしひろ)が書いた『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店)は、新しい取材に挑戦し、米国の公開文書を系統的に点検していた(1)。
この本が出版された時、私はひやっとした。
奥山は、ロッキード事件に関する米国政府機密文書を発見して、2010年から朝日新聞に何度かスクープ記事を書き、本と同じタイトルの特集記事もまとめていた。
正直に打ち明けると、私は同じテーマで、彼に先駆けて、2005年から取材を開始し、関係文書を大量に入手していた。
その中には、奥山に先に報道された文書もある。
だが、まだ私の取材は全部終わっていなかった。
先に出版されてしまえば、それまでの長年にわたる取材が無に帰してしまう、と恐れていた。
案の定、彼の本が先に出版された。親切にも彼は著書を贈ってくれたので、慌てて読んだ。
意外にも、私の心配は杞憂(きゆう)だった。
彼が、アメリカの公文書を取材した意義は大きい。
しかし、多くの未解明の疑問に対する答えを出していなかった。
この著書の副題「田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか」という問いは、疑問符のまま残されている。
「キッシンジャーは、政策ではなく、その人格の側面から田中を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っており、その意味で田中は米国の『虎の尾』を踏んでいたと言える」と奥山は書いている。
しかし、真相はそんなことではなかった。
田中がアメリカに嫌われた真の理由、それを初めて明らかにする。
ロッキード事件は、第一段階で田中首相在任時の日米関係、第二段階で事件発覚から捜査、裁判に至る経緯、と二つの段階から成り立っている。
これまで、二つの段階の間に重大な因果関係があったことを解き明かした著作はなかった。
それを解明することによって、初めて事件の真相が見えた。
つまり、田中が政治的に葬られた理由は彼の外交にあったのだ。
・Tanaka文書の経緯を逐一追う
次々と出版された類書から大幅に遅れながら、あえて拙著『ロッキード疑獄』を上梓(じょうし)したのは、ロッキード事件の新しい歴史を刻むことができたと考えたからだ。
事件解明の最大の壁は、事件が「アメリカ発」であり、米国政府から捜査資料を入手しなければ、捜査は不可能という現実だった。
捜査資料とは、全部で5万2000ページ以上、ロッキード社が保管していた秘密文書のことだ。
最終的に、東京地検特捜部が入手したのは、そのうち2860ページだった。
本書では、これらの文書が辿った複雑な道のりと関連の動きを、逐一、丹念に追うことによって真相を追究する手法を取った。
田中の運命を決したこれらの文書は、どのような経緯で東京地検特捜部にたどり着いたのか。
文書の中には、確かに「Tanaka」ないしは「PM」(Prime Minister=首相=の略)と明記した文書があった。
特捜部の捜査をリードした堀田力(ほったつとむ)も、そのことを認めている。
これらの文書は、田中や丸紅、全日空両社の首脳らの逮捕、起訴、裁判の過程で、活用された。
・巨悪の正体
しかし、アメリカは田中関係の文書とは対照的に、「巨悪」に関する情報の公開を阻んでいる。
「巨悪」は訴追を免れたが、その全体像は、ロッキード事件の三年後に発覚したダグラス・グラマン事件も含めた取材で、浮かび上がった。
その正体とは、どんな人たちなのか。
日本では、おぞましい人たちが姿を現した。
戦前・戦中は軍国主義を突き進み、終戦直後に「戦犯容疑者」として連合国軍総司令部(GHQ)に逮捕され、巣鴨(すがも)拘置所に勾留されたものの、起訴を免れ、釈放された「紳士」たちだ。
アメリカでは、彼らを生き返らせて、表舞台に復帰させた「フィクサー」らが暗躍した。
その後ろ盾に、米国の軍部と軍需産業から成る軍産複合体が控えていた。
東西冷戦の激化で、アメリカは日本を「反共の砦」として、経済的に繁栄させるため、これらの元戦犯容疑者たちを復活させた。
日米安全保障体制を強化するため、アメリカは1950年代以降、自衛隊に高価な米国製の武器・装備を導入させた。
その「利権」を分け合った日米の黒いネットワークが露呈したのが、ダグラス・グラマン事件であり、ロッキード事件だったのだ。
事件の主役は、日米安保関係の根幹に巣くう人脈であり、彼らを「巨悪」として訴追すれば、安保体制は大きく揺らぐところだった。
事件を表面化させたアメリカ上院外交委員会多国籍企業小委員会(チャーチ小委)のジェローム・レビンソン首席顧問は、事件が「インテリジェンスの分野に入ってしまったので、チャーチ小委の調査も終わってしまった」と筆者に語った。
この証言は、日米安保関係の秘密の部分に調査のメスを入れることができなかった事情を雄弁に語っている。
「巨悪」のグループには、米国の軍産複合体のほか、米中央情報局(CIA)も含まれている。
日本の元戦犯容疑者たちは、CIAの協力者としても暗躍したのである。
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■ロッキード事件の「真の巨悪」は田中角栄ではなかった
米高官・CIAを後ろ盾に暗躍した「元戦犯容疑者」たちを徹底究明
クーリエ・ジャポン(講談社) 2020.10.31
https://courrier.jp/news/archives/216989/
■「日本は政治的“ピグミー”だ」ロッキード事件の裏側で田中角栄への侮蔑を重ねたリチャード・ニクソン 『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(春名幹男)より 文藝春秋 2020/10/30
■「日本は政治的“ピグミー”だ」ロッキード事件の裏側で田中角栄への侮蔑を重ねたリチャード・ニクソン
文藝春秋 2020/10/30
https://bunshun.jp/articles/-/40998
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・「日本は良き同盟国ではない」
1973年1月31日、ニクソンは首相を退任した佐藤のために、秘書の楠田實(くすだみのる)や外務省高官らもホワイトハウスに招き、夕食会を開いた。
佐藤をもてなす合間の同日夕、ニクソンは午後5時前から1時間余り、前財務長官のジョン・コナリーらと懇談した。
コナリーはジョン・F・ケネディ大統領暗殺時にテキサス州知事で、ケネディの前の助手席に座っていて、重傷を負った人物として知られている。
前年の大統領選挙で、コナリーはニクソンを支持する民主党員票の掘り起こしに協力した。
そのコナリーとの懇談の席で、ニクソンは田中のことを、次のように非難した*2。
コナリー「いま佐藤が来ていますか」
ニクソン「彼は日本で今も尊敬され、われわれの友人だ。彼が首相の時、現在の田中首相の時よりずっとうまくやれていた。田中は非常に生意気で強硬だ。佐藤は岸と同じように米国を助けてくれた」
それから約半月後の1973年2月16日、ニクソン大統領は閣僚らと国際貿易・通貨問題を議論した。
その際、ニクソンは日本経済に対する強い不信感をぶちまけている。
「日本の大商社がすべて政府と共同所有されていることはみんな知っている」
「基本的な問題は、貿易分野で日本が良きパートナーではないことだ」
「田中に関して言えば、日本は良き同盟国ではない」
・ニクソンの感情的な発言
以上、1973年1月と2月のニクソンの生の発言を紹介した。
いずれも、国務省歴史室が地域・年代別に発行する「米国の外交関係(FRUS)」シリーズの「1973~1976年東・東南アジア編」「日本」の項に、掲載されていた。
原典は、両方とも録音テープだった。
ニクソン大統領はホワイトハウスでの会話を録音していたので、今も録音テープが残されている。
上記二件の発言は、国務省歴史室の「ヒストリアン(歴史記録者)」が重要性に注目してFRUSに収録したものだ。
日本関係のFRUSで生の声を記録したものは珍しい。
これらの大統領の発言が、米国の対日外交の重要な部分を成すとみて、取り上げたのである。
しかし、その内容はひどい。
日本には国が保有する大手商社などない。
比喩(ひゆ)的な言い方かもしれないが、感情的な発言には驚く。
・日米関係見直しを二度指示した大統領
ニクソン政権は、日本に対してどう対応すべきか、分からなくなっていたようだ。
田中政権の日中国交正常化は米国側にしこりを残した。
対日外交は何とかならんか、という気持ちになったのだろう。
ニクソン政権は「対日政策」の見直しを指示する、同じテーマの「国家安全保障検討メモ(NSSM)」を1971年4月15日、さらに約2年後の73年3月7日、と続けて発出した。
前者(NSSM122「対日政策*4」)では、「日本の国際的役割に関する日本の態度変化」「米中関係の展開の影響」など、国際環境の変化をテーマにしていた。
後者(NSSM172「米国の対日政策*5」)では、「対日関係をめぐる米国の基本的国益の特定」「向こう5年間の日本の関心と目標の特定」といった基本的な課題に関心が移っている。大統領は日米関係の基本を見直そうとしていた。
同年3月27日、愛知揆一蔵相とジョージ・シュルツ財務長官の会談が、ホワイトハウスのキッシンジャーの部屋で行われた。
その会談の途中でニクソンが顔を出し、心にもないことを口にした。
「あなたに知ってもらいたいのは、私が良き日米関係に意を強くしたということだ。米国と欧州の協議は多々あるが、日本が加わらないと取引はできないことを知ってほしい。日米は二大経済大国で、対等だ。日本を外した米欧の取り決めなどない*6」
続けて、同席したキッシンジャーに「首相の訪米の時間はとれるよね」と尋ねた。
キッシンジャーはこれに、「イエス。8月初めです」と答えると、「いいことだ。首相と天皇にも会いたい。そして来年は私が日本を訪問する」とニクソンは言っている。
翌年、自分がウォーターゲート事件で辞任し、思い通りに訪日は実現しなかった。
ニクソンは、5月12日には、訪米した大平正芳外相と大統領執務室で会った。
大平は田中より先に、ホワイトハウスで大統領を表敬訪問する栄誉に浴した。
大平への米国側の期待が強いことを態度で示したのだ。
(中略)
・日本人は「裸で立っているピグミー」か
その後、ニクソンは次のように、計三回、日本をアフリカの「ピグミー族」にたとえる差別的な発言をした。
ニクソン 「 自分の基本的な見方だと、経済大国は政治的なピグミーにとどまることができないということだ。それは自然の法則に反する。経済大国は政治的ピグミーにとどまれない……首相は日本が将来歩むべき道をどう考えるのか」
田中 「 すべての日本国民は米国が過去四半世紀、日本に与えた援助に感謝している。それによって、日本は全面的敗北から復興するまれな成果を挙げた。日本国民の基本的な願いは、米国と緊密に協議し、永久に自由諸国とともに地位を維持することだ」
ニクソン 「 中国、ソ連、日本、米国を見ると、一つの事実が際立っている。日本は近隣諸国の中でソ連などとは対照的に、経済大国ながら軍事的かつ政治的にはピグミーとして裸で立っている。……現在の安保関係の取り決めは、それら諸国が熟れたスモモのような日本を見ても、むしり取ろうと思わないよう、最良の保障となっている」
田中 「 大統領の見方と同感です。米国と日本の固い結合が他のあらゆる関係にとっても重要です。それなしに日本は中国と国交正常化できなかった」(太字部筆者)
・侮蔑を受け止めた田中角栄
田中はニクソンから「ピグミー」と侮辱されても、反発することなく、戦後米国から受けた支援に感謝し、安保条約のおかげで日本は守られていると認めた。
そして、日米安保があったから日中国交正常化ができた、とも主張した。
論理的には、のれんに腕押しのような反論だ。
では、「五年後の世界」はどうなるか。
ニクソンは「日米安保条約が廃棄され、日本で支持されなくなったら、多くのアメリカ人は喜んで出て行く。韓国から米軍も撤退する」と言った。
言うことを聞かなければ米軍を撤退させる、というカードをここで見せた。
それにしても、日本と日本人に対して、これほど侮辱的な言葉を使った米大統領がいただろうか。
日本側の会談記録はどうなっているのか。
外務省に情報公開請求して入手した。
外務省の会談記録では、ピグミーを訳さず「政治的な小人(political pygmy)」とカッコ付き、あるいはカッコなしで英文のまま記していた。
「田中総理・ニクソン大統領会談の模様」と題する1973年8月23日付9ページの文書は、こうした刺激的な発言を省いていた。
この会談が外交問題化しないよう配慮した形だ。
「ピグミー」は、『リーダーズ英和辞典』(研究社)によると、「アフリカ赤道森林地帯の矮小黒人種」とある。
それが転じて「こびと」「知力の劣った人」という意味もあるとしていて、差別的に使用され得る言葉であることが分かる。
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■「日本は政治的“ピグミー”だ」ロッキード事件の裏側で田中角栄への侮蔑を重ねたリチャード・ニクソン
『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(春名幹男)より
文藝春秋 2020/10/30
https://bunshun.jp/articles/-/40998