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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~ 論座(朝日新聞)2020年09月02日


■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~

論座朝日新聞)2020年09月02日

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020090200011.html


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・ジャーナリズムは何をしてきたのか?


安倍政治の巧みなメディア操作によって報道機関が分断されたことについて、「安倍政治に敗北したメディア(上)」「安倍政治に敗北したメディア(中)」で縷々触れてきた。


その結果、何が起きたのか? 

なにより深刻なのは、ジャーナリズムの要諦(ようてい)である権力監視の役割が十分に果たせなくなったことである。


いわば、権力に報道が取り込まれていったのである。

そんななか、長期政権の驕(おご)りとしかいいようがない公文書の改ざんというあり得ないことがおきた。


森友・加計学園問題や「桜を見る会」の疑惑についても、国民に納得がいく説明はいまもってされていない。

新型コロナウイルス対策は後手に回り、失策つづきである。


ジャーナリズムは安倍政権下で何をしてきたのか。安倍政治の単なる広報機関だったのか。

安倍政治が幕を閉じるにあたり、報道のあり方もまた厳しく問われている。

 

・賭けマージャン事件で語るべきことは


今年5月、黒川弘務・前東京高検検事長新型コロナウイルスが感染拡大するなか、新聞記者らと賭けマージャンをし、それが発覚したことで辞職した。


黒川氏は安倍政権による脱法的な法解釈変更で、定年延長していた。

内閣法制局長官日銀総裁NHK会長など、安倍政権は独立性がきわめて重んじられる要所の人事を恣意(しい)的に行なってきた。


黒川氏の定年延長も、検察ナンバーワンである検事総長への布石といわれ、「官邸の守護神」と揶揄された。

検事長が、コロナ禍による緊急事態のなか、賭けマージャンに興じるのは言語道断だ。


黒川氏のお相手を常習的にしていた産経新聞の社会部記者2人と朝日新聞の元司法担当記者は、どうなのか。

両紙とも「極めて不適切な行為」とし、産経は記者2人を取材部門から、朝日は元記者を役職からはずしたうえで、それぞれ停職1カ月とした。


おわび記事(いずれも2020年5月22日朝刊)をみると、産経は「取材対象に肉薄することは記者の重要な活動」として自社記者をかばうかのような記事を書いた。

しかし、ここで語るべきは、「権力と報道の距離」の問題ではないか。


これについて、両紙のおわび記事ではほとんど触れられていない。

権力と距離を保つことは、報道倫理の最重要事項のひとつである。


問題は、産経は取材対象に肉薄し、特ダネや独自ダネを書いたのか、ということだ。

黒川氏が検事長時代に指揮をとった総合型リゾート(IR)の汚職報道は、自民党議員(現在は離党)の逮捕者もでたが、読売新聞がリードしていた。


最前線の記者の苦労はわかる。「きれい事ではすまされない」という声も聞こえる。

しかし、理想と現実の狭間で闘うことも、記者の役割ではないか。

 

・安倍政権の「メディア選別」は常套手段


ここで「権力と報道の距離」について、あらためて考えたい。

読売は昨年末から年始にかけて、IR汚職報道で確かに精彩を放った。


一方で、権力との距離の近さもしばしば指摘されてきた。


第2次安倍政権発足後のきわめつけは、憲法施行70周年にあたる2017年、安倍首相に単独インタビューして憲法改正について縦横に語らせ、憲法記念日の5月3日に特大記事を載せたことだ。


改憲という国家の根幹をなす重要テーマは、オープンな場で記者会見し、多様な質問を受けるのが、まっとうな対応だろう。


その後、野党議員が衆院予算委で安倍首相に改憲発言の真意をただすと、「自民党総裁としての考えは読売新聞に相当詳しく書いてある。ぜひ熟読してほしい」と安倍首相は答えた。


国会で説明を求められ、「新聞を読んでくれ」とは、前代未聞の答弁である。

安倍首相(権力)と読売新聞(報道)の距離が厳しく問われる場面であった。

 

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■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~
論座朝日新聞)2020年09月02日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020090200011.html

 

 

 

 

 

 

■安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者達から非難轟々

Yahoo!ニュース 2019/11/28

https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20191128-00152737

 

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桜を見る会」に後援団体関係者らを組織的に呼び寄せ、飲み食いさせるなど、安倍政権の政治の私物化が問題となっている中、内閣記者会加盟報道各社のキャップは、今月20日、都内の中華料理店で、安倍晋三首相と懇談した。


これに対し、ネット上では、権力とメディアの癒着であると、批判が相次いでいる。

新聞労連の南彰委員長も「市民に信頼される報道を目指して頑張っている記者の心を折れさせていくメディアの上層部の意識って何なんだ」と憤りをあらわにした。

筆者が南氏に聞いたところ、現場の記者達も、メディア幹部と首相との馴れ合いに強く憤っていると言う。

 

◯「このタイミングで」「一体何をしているのか」と批判


今月20日付の時事通信「首相動静」によると、同日の晩、安倍首相は、都内の中国料理店で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談したという。

桜を見る会」の件で安倍首相への批判が強まっている中での懇談に、ネット上では「このタイミングで?」「これも『桜を見る会』と同じくらい問題じゃないの?」と非難轟々。

メディア関係者らも苦言を呈している。

米紙ニューヨーク・タイムスの元東京支局長で、ジャーナリストのマーティン・ファクラー氏は「信じられない。桜を見る会が批判されている最中に、内閣記者クラブのキャップ(リーダー的な記者)が今夜、安倍総理と会食したそうである。メディアの信頼性を考えていないよね」とツイート。

東京新聞の望月衣塑子記者も、「『首相は何も悪くない。一体何が問題なのか』と首相を持ち上げる記者もいたとか」「現場が取材で奮闘してる最中に一体何をしてるのか」と怒りのツイート。

筆者が注目したのは、新聞労連の南彰委員長のツイートだ。南委員長は「全国の記者からやり場のない怒りの連絡が1日中押し寄せる」という。

 

◯懇談に現場の記者達から怒りの声


首相とメディア幹部の懇談について、どのような意見が現場の記者からよせられているのか。筆者が南委員長に問い合わせると、以下のような意見があったとの回答を得たので紹介しよう。


・「あんな立ち話のぶら下がりでお茶を濁されているときに、悔しくないのか。飯食っている場合じゃないだろ」


・「首相は超余裕でニヤニヤする始末で馬鹿じゃないのか」


・「なんで各社の政治部長は止めないのか。1社が行かないと言い出すだけでも雰囲気が変わるはずなのに」


・「首相が疑惑の渦中にあって、政権の屋台骨が揺らいでいるまさにこの瞬間に、各社の官邸キャップが首相とメシを食うとは一体どうなっているのか。オフレコの会食の誘いなんか断固拒否し、『会見を開け』と要求するのがスジだ」


・「権力機構が腐っているときに、ジャーナリズムまで信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかもうやりきれない」


・「現場の総理番は、総理を取り巻く首相秘書官ににらまれながらも、総理に立ち止まるよう質問をぶつけたりしている。そうやって疑惑を説明させようと必死にやっているときに、よりによって官邸キャップがそろって懇談するなんて本当に泣けてくる。こんなことをしていたら信頼されるはずがない(※涙声)」


・「番記者ならともかく、疑惑の最中にキャップ連中呼び出されて飯とか喰ったら飼い慣らされてるように見えるの、なんで社の上層部はわかんないのかな?メディアの信頼は失墜する。ほんと、ふざけるな」

出典:南委員長のもとに寄せられた記者達の声

 

◯権力に忖度するメディア上層部による言論封殺


筆者も仕事柄、大手メディアの記者らと接することがよくあるのでわかるのだが、記者達も、読者や視聴者のメディア不信を痛感しているし、思い悩んでいるところもある。

ジャーナリストとしての社会的責任を全うしようとしている、真面目な記者達も少なくない。

一方、日本の「報道の自由」を脅かしているのは、安倍政権のメディアへの圧力だけではなく、政権に忖度し、記者達の報道に介入しようとするメディア上層部の振る舞いなのだ。

メディア上層部の政権との癒着については、2016年4月に来日、日本での「表現の自由」を調査したデビット・ケイ国連特別報告者も、その報告書の中で言及している。

訪問中に特別報告者が面会した多くのジャーナリストは,報道を政府の政策上の意向に合わせるための政府による干渉があり,またそれが(メディア)経営により助長されている旨説明した。

特別報告者は,政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性についての不満の声を聞いた

出典:デビット・ケイ訪日報告書より


記者達からの訴えに、当初、ケイ特別報告者は「それは日本のメディア内部の問題ではないか。私は、権力による表現の自由への圧力について調査しに来たのだが…」と、大いに困惑していたが、それは当然だ。

「権力の監視」がジャーナリズムの重要な役割として広く認識されている米国の出身であるケイ特別報告者にとって、主要先進国の一員であり民主主義国家を標榜する日本で、まるで独裁政権下の官製メディアのような自主規制があることは、奇異に映ったのであろう。

だが、上記の報告書で言及したように、「政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性」が、日本の報道の自由を妨げる、特有かつ深刻な問題であることをケイ特別報告者も認めたかたちだ。

 

◯メディア上層部はジャーナリズムを問い直せ


何のためのメディアなのか。

民主主義社会におけるジャーナリズムの役割とは一体何か。

以前、筆者はフランスのメディアで働く友人にこう聞かれたことがある。

「なんで日本のメディア幹部達は首相と一緒に御飯食べるの?」「フランスでも、たまにそういうのいるけど、恥知らずと軽蔑されるよ」。

全く、友人の言う通りだ。

日本のメディア上層部は本当に危機感が足らない。

メディアと政権が癒着しているからこそ、数々の疑惑や不祥事を抱えながらも、安倍政権が「憲政史上最長の政権」となったのではないか?

各メディア上層部は、今回の懇談に対する、現場の記者達の怒りの声に耳をかたむけ、日本のメディアのあり方を問い直すべきだろう。


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安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者達から非難轟々
Yahoo!ニュース 2019/11/28
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20191128-00152737