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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する 週刊現代(講談社)2020.04.01

 


■「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する

週刊現代講談社)2020.04.01

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71458


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・想像よりもはるかに深刻だった


ロンドンで緊急事態宣言が発令され、イギリス全土の都市がロックダウン状態になってから、すでに1週間が経ちました。

ロックダウン、都市封鎖というのは一体どのような状況か。

その影響というのは、日本人が想像するより何倍も重いものです。

しかしロックダウンを実行しなければ、感染が抑制されず国が破壊されます。

ですから、もう他に選択肢はないのです。

イギリス政府は首相のボリス・ジョンソンによる13日のスピーチの後、学校閉鎖を決定し、パブやレストランも閉鎖させ、大規模イベントを禁止しました。

しかし、それ以前は「要請」にとどまっていた外出制限は効果が薄く、学級閉鎖後の週末は連休があったこともあり、観光地には多くの人が溢れ、パブに繰り出す人も大勢いました。

多くの人は、ロックダウンの怖さや新型コロナウイルスの恐ろしさをまったく理解していなかったのです。

学級閉鎖に関しても、子供の安全性よりも、学校が閉まってしまうことで仕事に行けなくなることや、子守がなくなることに怒っている親のほうが多かったのです。

若い人が犠牲者になり始めて、やっとその深刻さに気がつく人が増えてきました。

 

・スーパーから品物は消えた


23日のボリスの演説後、ロックダウンとなったイギリスで起こったことは、社会の破壊でした。

まず起こったことは、店での買い占めです。

日本で起きている買い占めのレベルではありません。スーパーから、本当に全ての商品が消えるような状態です。

人々が通勤しなくなったロンドンの中心部や、超高級住宅地のスーパーにはたくさんの商品がありましたが、それは都心に誰も通勤しなくなったわけですから、当たり前です。

「近くのスーパーから物がなくなって大変だ」と私がTwitterでつぶやくと、他のイギリス在住者から「えー、私の住んでるところはそんなことはないわ。あなた、何の話をしているの?」というようなコメントが飛んでくることもありました。

しかし、大半の人々が住んでいる郊外や家族連れの多い住宅地では、本当にスーパーから物が無くなってしまいました。

スピーチから1週間以上経っても、相変わらずです。改善したところもありますが、全部ではありません。

例えば、スーパーには朝7時の開店前からすでに長蛇の列ができています。

お年寄りや障害がある人が並ぶのは不可能です。

もちろん、並んでいる人同士は距離を空けていませんから、感染のリスクも大変高くなっています。

 

・「パスタはもう10日も見ていない」


8時の開店直後、なんとか店に入ることができても、もう商品がないことさえあります。

開店後の1時間を、お年寄りや医療関係者のみが入店できるように制限している店もありますが、1時間だけですから十分な買い物はできませんし、そもそも必要なものが揃っていません。

医療関係者の多くはシフト勤務ですから、この時間に合わせて買い物に行くことができない状況です。

介助が必要なお年寄りの場合は、ヘルパーがその時間に来れないという人も多いので、やはりなかなか買い物に行けません。

それ以外の時間は、ずっと長蛇の列で、商品はあっという間になくなってしまいます。

トイレットペーパーだけでなくありとあらゆる紙類、消毒液、洗剤、米、パスタ、パン、スープ、バター、卵、肉類……。

パスタはもう10日も見ていないという人もいますし、卵を2週間食べていないという人もいるのです。

買い物ができない人のために、地域の人たちが集まって代行してあげることもありますが、1回に買える商品が2つだけなどに制限されていることも多いので、頼まれたものを買えないことも珍しくありません。

地域に知り合いがいない人や、スマホやネットを使わない人は、そうしたボランティアを探すこともできません。孤立している人は、食べ物が入手できず、どんどん飢えてゆくのです。

 

・「買い占めはやめよう」の声も空しく


ネットスーパーも、もう10日近くクラッシュしている状態です。

運よくなんとかシステムに入れても、なんと2時間も3時間もシステム上で順番を持たなければ買えません。

カートに物を入れても、今度は配達のスロットがほとんどなく、2ヵ月先まで埋まっていたりします。

個人が経営する小規模な八百屋や個人商店には物資が入っていたりしますが、 そういった店が近くになく、大型スーパーやネットスーパー頼みという人も多いのです。

このような苦しい状況の中でも、イギリスでは、買い物ができない人々に対する政府や市役所による配慮は全くありません。

軍隊による配給もありませんし、炊き出しもないのです。

「買い占めはやめましょう」という掛け声こそテレビや新聞には出ていますが、状況は一向に改善されません。

感染病棟で働く医療関係者に対しても、政府から食料の配給があるわけではありませんし、長時間危険にさらされて勤務する傍ら、食べ物を自分で調達しなければならないのです。

政府が病院の横に温かい食事ができる食堂を用意したり、お弁当を配ったりしていた中国とは大違いです。

クルーズ船で対応にあたった自衛隊にも、美味しそうな食事が提供されていました。

でも、イギリスではそういった配慮はありません。

 

・2週間前には想像さえしなかった


イギリスは先進国であるにもかかわらず、このままでは餓死する人が出る可能性があるということです。

21世紀に、餓死です。医療関係者ですら配慮されていないのです。

2週間前には、誰も想像さえしなかったことです。事態はこんなに急激に変わるのです。

普段はプラスチックのストローの撤廃に熱心な人々や、慈善活動に精を出している富豪や有名人たちにも、その日の食べものを入手できない人々に何らかの支援をしよう、という動きが全くありません。

莫大な資産を相続し、アメリカに移住したハリー王子とメーガン妃も、何の寄付もしていません。

医療スタッフの命やお年寄りの人権よりも、イルカの権利や紙ストローの方が重要なのです。

彼らにとっては。

さらに、ロックダウンで激変しているのが人々の雰囲気です。

イライラして切羽詰まっている人が増え、車の運転が荒くなりました。

そもそも車で出かけられる行き先も、ほとんどないのですが。

スーパーでは、場所によっては小競り合いがあったり、店舗内で殴り合いが発生しています。

もちろんおとなしい人たちが多い地域もありますが、すぐに争いが始まってしまうところもあるのです。

日本では、東日本大震災の直後でも店舗で殴り合うような人はいませんでしたが、イギリスでは社会の状況が違います。

買い物に行くのにも、命の危険を感じることがあります。

 

・飲食、小売が壊滅する


さらに激変したのが、私のような東洋人に対する態度です。

今のところ、あからさまな差別や嫌がらせは私自身は体験していませんが、やはり店舗や道で、なんとなく視線を感じるようになりました。

特にマスクをして外出すると、明らかに注目を浴びます。

感染者が出歩いている、と考える人もいるようです。

外国人や、特に東洋人に対しては大変寛容なイギリスの人々も、新型肺炎の状況が悪化するにつれて変わってきています。

イギリスには日本と違って、街中に薬物中毒者などもいますから、新型肺炎の騒動で刺激された人に、外国人が危害を加えられることもないとは言えません。

イギリスは、欧州でも有数の薬物中毒者が多い国なのです。

私は感染を防ぐためだけでなく、無用な危険を避けるためにも、なるべく外出しないようにしています。

どうしても外出しなければならない際には、サングラスやマフラーで顔を隠すようになりました。

もちろん大半は善良な人達なのですが、万が一の危険は避けなければなりません。

学校は、無期限で閉鎖になっています。

いつ再開するか、見通しは立っていません。

在宅勤務で仕事をしている人々は、一日中子供と家にいることになりましたが、彼らも普段は学校や子守に子供の世話を頼んでいます。

オンラインラーニングに切り替えた学校が多いのですが、仕事をしながら子供の勉強をみるのは大変です。

表に出られず生活が激変した子供達は、ただでさえ大変なストレスにさらされています。

さらに、これを機に解雇されてしまい収入が途絶えた親が大勢います。

特にサービス業や飲食業の場合は、ビジネスが全くなくなってしまいましたから、従業員を解雇せざるを得ません。

飲食業の70~80%が、あと2、3ヵ月で倒産するとも言われています。

飲食業のほとんどが消滅するという予想です。

小売も多くが消えるといわれています。

これは国家の崩壊です。

 

・治安が悪化し始めた


イギリス政府は、現在雇用されている人や、 過去3年間営業してきた自営業の人に対しては所得保証を打ち出しましたが、 あくまで短期間です。

すでに解雇されてしまっている人や、最近開業した自営業の人には保証がありません。

政策が発表される直前に解雇されてしまった人たちは、絶望的な状況にあるのです。

その結果でしょうか、イギリスでは児童虐待やDVに走る人も増えてきています。

これがあと3ヵ月も、半年も続くの? あと1年? 私立の学校の学費はどうなるの? 私はもう失業しているの。もう廃業するほかない。

どうやって学校に行けない子供の教育と仕事を両立すればいいの?

こんな悲鳴に近い悩みを打ち明ける親がいます。

治安も悪化しています。

住宅地では強盗や空き巣が出てきていますし、 先日、普段はかなり安全なはずの地域を歩いていたら、車のガラスが割られていました。

そんな光景を見たのは初めてです。

収入が途絶えて切羽詰まり、犯罪に走る人も増えるでしょう。

すでに国立病院の医療関係者の車が、病院の駐車場で車上荒らしに遭っていますし、シフト勤務で深夜など不規則な時間に通勤する医療関係者たちが、強盗に襲われる事件も発生しています。

また、医療関係者や警官の子供達が預けられている学校や、老人ホームに食料を配達する業者の車や倉庫が襲われ、食べ物がすべて盗まれてしまうという事件も何件か発生しています。

トイレットペーパーを配送する業者の車も襲撃されました。

イギリスは日本に比べると普段からとても治安が悪く、住人が在宅でも空き巣に入る泥棒が大勢います。

ロンドンにおける殺人の件数は、東京の3倍です。

ロックダウンの継続により経済環境が悪化すると、治安はさらに悪化するでしょう。

アメリカでは銃や弾丸を買い求める人が激増しましたが、イギリスでは誰も驚いていません。

むしろ、「ここでも銃が買えたらよかったのに」と言う人がいるほどです。

 

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「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する
週刊現代講談社)2020.04.01
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71458