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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■「東日本大震災:トモダチ作戦」東電を訴えた米兵はどれほど被ばくしたのか?~「トモダチ作戦」の悲劇、総額50億ドルを求める裁判~ 週刊現代(講談社)2017.9.13(山田敏弘)

 


■「東日本大震災トモダチ作戦」東電を訴えた米兵はどれほど被ばくしたのか?~「トモダチ作戦」の悲劇、総額50億ドルを求める裁判~

週刊現代講談社)2017.9.13(山田敏弘)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52812

 

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・総額50億ドルを求める裁判

 

2011年3月に起きた福島第1原子力発電所の大規模事故。

発生直後から米軍は被災現場に駆けつけて災害救援活動「トモダチ作戦」を展開、日本国民の多くから「素晴らしい友情をみせてくれた」と高く評価された。


ところが、放射能汚染を出した凄惨な事故であっただけに、ことは「友情」のひと言では済まなかった。

2012年から、トモダチ作戦に従事した多数の米兵やその家族が、被ばくによる損害賠償を求めて東京電力を提訴しはじめたのだ。


2017年8月18日、新たな訴訟が明らかになった。

当時同作戦に参加して被ばくしたという157人が、カリフォルニア州南部地区の連邦裁判所に、今後の治療費や検診などに充てるための基金設立費用と損害賠償費として50億ドルを求めて提訴した。


今回の原告は、2013年に同様の訴えを起こしている239人の裁判と、今後、併合する可能性があるとも言われている。

福島原発事故から6年以上が経った今も、トモダチ作戦の”後始末”が続いている、ということだ。


筆者は2011年3月、震災直後に米軍に従軍して現場に入っている。

実はそこでは、驚くほど神経質に放射線量をチェックする米軍の姿を目の当たりにした。


そんなこともあって、米兵たちが被ばくしたとして東京電力を訴えたニュースには正直驚かされた。

彼らの訴えを否定するものではないが、当時の米軍がどのように、事故直後の混乱の中で目に見えない放射線と対峙していたのか。

 

 


(中略)

 

 

・「証拠はない」との調査結果もある

 


81ページに及ぶ訴状によれば、今回、カリフォルニア州南部地区の連邦裁判所へ訴えた原告団は、主に3月11日の直後にトモダチ作戦のために福島県の沖合洋上にいた原子力空母ロナルド・レーガンに乗船していた海軍兵たちだ。


原告らは被ばくによって「白血病や潰瘍、胆嚢除去、脳の癌や脳腫瘍、睾丸癌、機能不全性子宮出血、甲状腺疾患、胃腸障害、出生異常、死」などの影響が出ていると主張している。

原告団は、米軍の責任は問うていない。米軍のこれ以上ないぐらいの放射線対策を知っていればそれも当然だと言える。


事実、福島原発の北東160キロにいたロナルド・レーガンに乗船し取材をしていた知人の米国人記者は、当時、空母でも松島同様に常に放射線のチェックが行われていたと話していた。


米軍は3月14日に、ロナルド・レーガンが航行する地域の空気中に低レベルの放射線を検知し、直ちに位置を変えたが、後の米議会の調査でも、当時のジョナサン・ウッドソン衛生問題担当国防次官補が、「被ばくのレベルはかなり微量」とし、「被ばくで病気になったとする客観的証拠はない」との調査結果を出している。

 


・悲劇で終わるのか

 

原告団の主張は、東京電力が事故について正確な情報を教えなかったために被ばくした、ということだ。


訴状によれば、事故前から東電は事故対策を怠ってきたと指摘し、さらに事故直後、当時の菅直人首相が述べた、メルトダウンが起きたのは東電の言う12日ではなく、事故から5時間後だったという発言に照らし、東電がその事実を直ちに公表しなかったために自分たちは被ばくしてしまったと主張している。


また海に流れ出た汚染水からもロナルド・レーガン放射能汚染を受けたという(ちなみに訴状には細かな被ばく量などは記載されていない)。

原告たちが訴えるようながんなどの重篤な病気が、福島県周辺でも増えているという報告は聞かない。ゆえにその主張に疑問を覚える人がいても不思議ではない。


少なくとも、ここまで見てきた通り、米軍関係者が原発周辺の陸上にいた人たちよりも深刻な被ばくをしたというのは考え難いのではないか。

もっと言えば、当時ロナルド・レーガンでは5000人ほどがトモダチ作戦に従事しているが、数年で重病なるほどの被ばくが起きていたなら、原告団以外の米兵にも健康被害が出ているはずだろう。


筆者は当時、福島原発事故が発生した瞬間からしばらく第1原発やその周辺を離れずに事故対策に追われた作業員ら何人もインタビューをしているが、その中に、その後深刻な病気を患ったという人はいない(あくまで現状で、だが)。


事故直後、普通の作業着で原発のすぐそばで電源復旧工事に駆り出され、3号機が水素爆発してピンク色のキノコ雲が立ち上るのを目の前で見たエンジニアもいるが、彼も今のところ、重篤な病気になることなく暮らしている。


もちろん、原告らの病気とトモダチ作戦の因果関係がどこまで証明できるのかは分からないが、それを検証するには相当時間が必要になるだろう。

多くの海軍兵らや家族による東京電力への訴訟は、先の長い戦いになりそうだ。


そのためにも、筆者はここで当時の米軍が極めて綿密な(言い方を変えれば、神経質なほどの)線量チェックを行っていたという事実を明かしておきたい。

5年以上にわたり続くトモダチ作戦の後始末。

 


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■「トモダチ作戦」東電を訴えた米兵はどれほど被ばくしたのか?
週刊現代講談社)2017.9.13(山田敏弘)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52812