■アマゾンの納税額が楽天より圧倒的に低い理由
東洋経済 2019/11/11
https://toyokeizai.net/articles/-/308929
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2000年に日本で業務を開始したアマゾンジャパンが、日本でいくら納税したかがわかる年が1年だけある。
2014年だ。
官報に、アマゾンジャパン株式会社とアマゾンジャパン・ロジスティクス株式会社の2014年12月期の決算公告が発表されている。
アマゾンジャパン株式会社の売上高は316億円強で、法人税が4億5000万円強。
さらに、アマゾンジャパン・ロジスティクス株式会社の売上高は582億円で、法人税が6億円強。2社を合計すると、売上高が899億円強で、法人税が約10億8000万円──となる。
・なぜ「アマゾンの納税額」は少ない?
ここで、「おやっ!??ちょっと変だぞ」と気づいた方もいるだろう。
「アマゾンの日本での売上高が、900億円弱というのは、数字が一桁少ないんじゃないのか」と。
そう思った人は、かなりのアマゾン通である。
米アマゾンが発表する年次報告書によると、2014年の日本での売上高は79億1200万ドル(8700億円)と記載されている。
米アマゾンの年次報告書の記載と比べると、決算公告に記載された売上高は、ほぼ10分の1に減少している。
法人税などの税金は、売上高から販売管理費などの諸経費を引いて最後に残った税引き前利益にかかるものだから、売上高が低くなれば、その分純利益も低くなり、納税額も低くなる。
アマゾンの年次報告書によると、8700億円の売上高を上げている日本において、納税額が10億8000万円に過ぎないというのだ。
単純計算とはいえ、売上高が8700億円となると、法人税額が、100億円を超える可能性もある。
実際、同じような売上規模の小売業者である高島屋の法人税はこの年、136億円強に上る。
また、日本の同業者である楽天は、同年の売上高は5985億円で税引き前利益が1042億円に対し、法人税は331億円を支払っている。
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■アマゾンの納税額が楽天より圧倒的に低い理由
東洋経済 2019/11/11
https://toyokeizai.net/articles/-/308929
■デジタル課税のルール
米による骨抜き許されぬ
毎日新聞2020年2月5日
https://mainichi.jp/articles/20200205/ddm/005/070/110000c
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米国のグーグルやアマゾンなどはネットでのサービスを通じ、国外で巨額の利益を得ている。
なのに現地では税金を少ししか払っていない。
現状では、法人税を課せるのは工場などがある国に限られるからだ。
ルール案は、工場などがなくてもネットの利用者がいる国では課税できる仕組みにする。
税の公平な負担に向けて必要な対応である。
とはいえ国際的な課税は各国の利害が衝突しやすい。
合意を実効性ある内容にできるか、難題は多い。
とりわけ問題なのは米国が今回、ルールに従うかは企業の判断に任せる「選択制」を提案したことだ。
巨大IT企業が現状維持を選ぶと、ルールが決まっても骨抜きになってしまう。
日本や欧州など多くの国が懸念を示したのは当然だ。
ただ、却下すると、米国が議論から抜けて、議論自体が成り立たなくなる恐れがある。
今後の検討課題とせざるをえなかった。
米国はもともと「デジタル課税は米国狙い撃ち」と反発してきた。
ルール案は米国に配慮して、対象をITに限定せず、高収益のグローバル企業に広げた。
しかし、政治力の強い米製薬企業の税負担も増す可能性があるため、米国は今度は選択制を持ち出したようだ。
トランプ米政権はこれまでも貿易や地球温暖化問題で国際協調を軽視してきた。
今回も米国の利益を優先したとみられても仕方がない。
世界経済を混乱させる恐れもある。
欧州各国は以前から巨大IT企業への独自課税を検討してきた。
ルールが決まれば見送る方針だが、骨抜きにされると発動を辞さない構えだ。
米国は報復関税を示唆しており不毛な対立に突入しかねない。
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デジタル課税のルール
米による骨抜き許されぬ
毎日新聞 2020年2月5日
https://mainichi.jp/articles/20200205/ddm/005/070/110000c
■上位企業による寡占とは 競争原理失う恐れ
日本経済新聞 2021年5月16日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB062UV0W1A500C2000000/?n_cid=SNSTW005
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上位企業による寡占
ある産業において、少数の大企業の市場シェアが高い状態。
企業にとっては、規模の大きさを生かして有利な条件で商品やサービスを調達できたり、張り巡らされた流通網を生かして効率的に配送できたりといった利点がある。
もっとも経済全体で見ると、競合他社が少ないために商品やサービスの価格を下げるインセンティブが乏しくなるなど、競争原理を失わせ消費者の便益を損ねるといった弊害も多い。
各国の競争当局は企業同士が話し合って価格を高く設定したり、資本力を背景に取引先に圧力をかけたりといった行為を禁じている。
近年はIT(情報技術)分野で寡占が進み、当局は警戒感を強めている。
米国では連邦取引委員会(FTC)が2020年12月、フェイスブックによる写真共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」の買収について「競合を排除する目的で買収した」と同社を提訴。
日本でも21年4月、公正取引委員会がアマゾン・ドット・コムなど海外勢を念頭にクラウドサービス市場の実態調査に乗り出した。
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上位企業による寡占とは 競争原理失う恐れ
日本経済新聞 2021年5月16日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB062UV0W1A500C2000000/?n_cid=SNSTW005
■巨大IT規制、監視を強めよ
産経Biz 2020.8.8
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200808/mcb2008080500001-n1.htm
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世界の多くの企業が新型コロナウイルスの影響で深刻な打撃を受けている中で、巨大IT企業の業績はおおむね好調だ。
巨額の利益を稼ぎ出す独占的なビジネスモデルに対する監視が欠かせない。
米司法省では、巨大IT企業に反トラスト法に基づく調査を進めている。
日本や欧州の当局も独占禁止法などを通じてIT企業の規制を目指しており、各国が協調した新たな規制が必要だ。
公聴会に呼ばれたのは、「GAFA」と呼ばれるグーグルやアマゾン・コム、フェイスブック、アップルの大手IT企業の経営トップだ。
議員らは各社が競争を制限し、寡占状態の中で巨額の利益を得ていると批判し、出席したトップたちは防戦に追われる場面が目立った。
巨大なIT企業をめぐっては、その事業形態や取引条件などが不透明だと批判されている。
利用者向けの巨額な広告料収入などによる収益構造も判然としていない。
このため、米司法省は競合他社の参入を妨げている恐れがあるとみて調査している。
こうしたIT企業は世界市場で事業を展開しており、その活動に対する規制も各国が協調しなければならない。
各社が独自に集めている顧客データなどの利用動向を含め、国際的な監視網の構築が不可欠といえよう。
一方、こうしたIT企業に対するデジタル課税は、米政府の反発で協議が難航している。
先月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも具体的な進展はみられなかった。
年内合意の目標達成は微妙な状況だ。
国際デジタル課税をめぐっては、国内に拠点がない企業にも当該国が一定の課税ができるルールでいったんは合意した。
だが、自国企業を守りたいトランプ政権がルール運用の変更を求め、対立が生まれている。
米政府はデジタル課税についても国際的な協調を優先すべきだ。
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巨大IT規制、監視を強めよ
産経Biz 2020.8.8
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200808/mcb2008080500001-n1.htm
■【米マイクロソフト“分割回避”の裏事情】
日経クロステック(日経BP)2001.09.10 小林雅一
https://xtech.nikkei.com/it/free/ITPro/USIT/20010909/1/
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4年にわたる米マイクロソフトに対する独禁法訴訟で,司法省は米国時間9月6日に分割要求を取り下げた。
形勢逆転の背景には,同社の強力なロビー活動がある。
連邦地裁で事実上の敗北を喫して以来,マイクロソフト社はおびただしい数のロビイストを雇い,大金を惜しげもなく費やして政治家に働きかけた。
米Center for Responsive Politicsの調査によれば,マイクロソフト社の政治献金とロビイストへの献金は,2000年だけで1200万ドルにも達した。
政治献金の約2/3は,共和党に流れたとされる。この裁判が始まる前年の1996年に,マイクロソフト社の政治献金はわずか10万ドルだった。
マイクロソフト社のロビー活動はワシントンの中央政界に留まらなかった。
司法省と一緒に同社を告訴した20州の政界にも強く働きかけた。
地方政界の名士をロビイストに雇い入れ,彼らのはからいで州政府の司法長官に接触したとされる。
その影響かどうかは不明だが,司法省に先だって,テキサス,サウス・カロライナ,ニュー・メキシコなどの州政府は次々と訴訟を取り下げた。
司法省とマイクロソフト社はこれから,和解に向けた交渉に入る。
ただブッシュ政権は産業界寄りだけに,マイクロソフト社のビジネス慣行を本気で変える意思があるのかどうか,最初から疑ってかかる向きもある。
当面の争点となるのは,9月末にもバンドルされたパソコンが発売されるWindows XP。2001年6月に巡回控訴裁が下した裁定に従えば,パソコン・メーカーはWindows XPのデスクトップ画面に,マイクロソフト社のライバル企業のソフトウエア(アイコン)を自由に置くことができる。
ただ一筋縄ではいかない。
控訴審の裁定を受けて数社のパソコン・メーカーが,米America Online(AOL)のインターネット関連ソフトのアイコンをデスクトップに標準で置くと発表したが,マイクロソフト社はさっそく対抗措置に出た。
もしAOL社のソフトウエアなどのアイコンをデスクトップに置くのなら,マイクロソフト社のInternet Explorer,Media Player,MSN Internetも標準装備しなければならない,という条件をつけたのだ(デスクトップにアイコンも配置しない場合は,上記三つのアイコンの追加は免除)。
マイクロソフト社のライバル企業関係者は一様に,いわゆるConductive Remedy(分割の代わりとなる,独禁法に基づく実行勧告)のような手ぬるい手段では,マイクロソフト社のビジネス慣行は改まらないと主張する。
和解になるにせよ,裁判所が勧告を言い渡すにせよ,マイクロソフト社は合いも変わらず課せられた制約をノラリクラリとかわしてしまうというのだ。
米国の行政府スタッフは政権交代とともに入れ替わる。
IT業界の表も裏も知り尽くしたマイクロソフト社を,きちんと見張れるほどのスペシャリストがいるかどうか怪しい,とライバル企業は懸念している。
実際のところ,現在の司法省が本当に願っているのは,早期決着以外にない。
「司法省のベトナム戦争」と言われた,米IBMとの独禁法訴訟の二の舞を踏みたくないからだ。
1979年に始まった「司法省対IBM」の戦いは何と13年も続き,これによってIBM社は疲弊し,産業界におけるリーダーシップは弱まった。
当時CEOだったFrank Caryによれば,在任期間中に彼は500日を裁判証言の準備に費やし,部下が作成した書類の重さは全部で推定5万トンに上ったという。
企業経営どころの話ではなかったのだ。
現在の米IT業界は,レイオフが相次ぎ,リセッションに怯えている。
こんなときに共和党政権が,業界の旗頭とも言えるマイクロソフト社を,IBMと同じ運命に追い込むとは考え難いのである。
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【米マイクロソフト“分割回避”の裏事情】
日経クロステック(日経BP)2001.09.10 小林雅一
https://xtech.nikkei.com/it/free/ITPro/USIT/20010909/1/
■米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴
https://www.bbc.com/japanese/57250629
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米首都ワシントンの司法長官は25日、米アマゾンが小売大手としての地位を乱用して商品価格を引き上げ、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして提訴した。
訴状では、アメリカのオンライン販売の最大70%を支配するアマゾンが商品価格の上昇をもたらしているとしている。
「アマゾンのオンライン小売販売プラットフォームは、アマゾンの反競争的なビジネス慣行から恩恵を受け、それに守られている」
コロンビア特別区(首都ワシントン)のカール・ラシーン司法長官が提出した訴状は、アマゾンが自社サイトの第三者販売業者に対し、商品価格の最大40%の手数料を請求し、他のプラットフォームで商品をより安く販売することを阻止していると非難している。
「アマゾンは消費者が最良の商品を最安値で入手できるようにするどころか、アマゾンのオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品と、競合他社のオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品の両方について、オンライン販売市場全体の価格を人為的につり上げている」
これに対し、アマゾンの広報担当者は、「(ワシントン)DCの司法長官は全く真逆のことを言っている」と反論した。
「アマゾンは幅広い品ぞろえを低価格で提供していることに誇りをもっており、他店舗と同様に、顧客に対して価格競争力のないオファーを強調しない権利を有している」
・「反競争的」慣行の停止求める
今回の訴訟はアマゾンの「反競争的」慣行の停止と、損害賠償や救済措置を求めるもの。
しかし、適用範囲はコロンビア特別区での違反行為に限定される。
アマゾンは、この救済要求によって「より高額での商品の提供を余儀なくされ、奇妙なことに反トラスト法の中心的な目的に反することになる」と付け加えた。
同社は2019年、販売業者が同社プラットフォーム以外でより安い価格で商品を販売することを禁止する契約条項を廃止した。
だが、ラシーン司法長官は「事実上同一の代替規約」をつくっていたと主張している。
欧州委員会は昨年11月、アマゾンが外部の販売者から集めたデータを自社ブランド商品の販売促進に利用していたとして、EUの競争法(独占禁止法)違反で提訴している。
アマゾンは自社のプライベートブランド商品は反競争的であるどころか、顧客にとって良いものであり、より多くの選択肢を提供しているとした。
「アマゾンほど中小企業を大切にし、過去20年にわたって中小企業を支援してきた企業はない」と、アマゾンは当時主張していた。
・パンデミック下で売上急増、監視が強化
今回の訴訟は、新型コロナウイルスのパンデミックの中で、売上や会員数が急増したハイテク企業に監視の目が向けられるようになったことが背景にある。
例えばフェイスブックやグーグルは、アメリカやイギリスの規制当局から、市場における「支配力が強すぎる」と非難されている。
こうした中アマゾンは、新型ウイルス対策のロックダウンにより消費者が自宅待機を余儀なくされたことを受け、売上を急激に伸ばした。
同社の2021会計年度第1四半期の純利益は81億ドル(約8820億円)と、前年同期の3倍以上だった。
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■米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴
https://www.bbc.com/japanese/57250629
■グーグルが握っているあなたの「個人情報」
東洋経済(2018/06/06)The New York Times
https://toyokeizai.net/articles/-/223696
■アマゾンに日本政府のIT基盤を丸投げ
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020092600003.html?page=1
■Googleの検索結果操作っぷりは予想をはるかに上回る…
ギズモード:福田ミホ(2019/11/19)
https://www.gizmodo.jp/2019/11/google-sure-screws-around-with-search-results-a-lot.html
■『デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える』(堤未果:NHK出版:2021年08月31日)
・街も給与も教育も、米の支配下に!?
「コロナ禍の裏で、デジタル改革という名のもとに恐るべき「売国ビジネス」が進んでいるのをご存じだろうか?アマゾン、グーグルをはじめ米中巨大テック資本が、行政、金融、教育という、日本の“心臓部”を狙っている。デジタル庁、スーパーシティ、キャッシュレス化、オンライン教育、マイナンバー……そこから浮かび上がるのは、日本が丸ごと外資に支配されるXデーが、刻々と近づいている現実だ」