■日本の人口減少を招いている残念すぎる真実~次世代を作ることに価値を置いていない~
2018/06/19 出口治明 :ライフネット生命保険株式会社創業者、 APU(立命館アジア太平洋大学)学長
https://toyokeizai.net/articles/-/222801
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・「人口減少」や「少子高齢化」を考える
日本社会が直面している大きな課題である「人口減少」や「少子高齢化」をどう考えたらいいでしょうか。
拙著『教養が身につく最強の読書』でも触れていますが、さまざまな識者の意見をただ「ああそうか」と読むだけではなく、自分の頭で考えるための本を紹介します。
・『人口論』
まず、1冊目はこちらです。
定番といいますか、必読の古典、『人口論』(マルサス/永井義雄<訳>中公文庫/1973年)です。
この本は、18世紀の終わり、フランス革命後の時代に英国で著された古典で、読者のみなさんも名前ぐらいはご存じだと思いますが、実際に読んだ人は少ないのではないでしょうか。
古典は、結論は簡単なのです。
マルサスの場合も、食糧は算術級数的にしか増えないけれども、人口は幾何級数的、すなわちネズミ算的に増える、ということを言っているわけです。
・『国富論』
たとえば、ほぼ同じ時代に生きたアダム・スミスの『国富論』に書かれた「見えざる手」「市場主義」というコンセプトは誰でも知っていますが、果たしてみなさんはそのコンセプトを生み出すに至るまでのプロセスをどこまで理解しているでしょうか?
少子化とはとどのつまりは人口問題です。そこでマルサスの『人口論』では、マルサスが200年前、どのような事実とデータに基づき、どういう思考プロセスでこうした結論に至ったのかを体得する必要があるでしょう。
国富論も同様です。
経済と人口は相関関係がとても強いので、この機会に『国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究』〈上・下〉(アダム・スミス/山岡洋一<訳> 日本経済新聞社出版局/2007年)にもぜひ手を伸ばしてください。
『人口論』の初めには、こうあります。
「人口の原理について、将来の社会の改善に役立つように、ゴドウィン氏、コンドルセ氏、およびその他の方々の論考にふれつつ、論じる」。
序文によればマルサスの人口論は、ゴドウィン氏の著作に収められた論文の主題「貪欲および消費」について、マルサスが友人(父ダニエルを指す)と語ったことから生まれた本だそうです。
さて、マルサスが200年前に導き出した結論はどうでもいいのです。
マルサスの思考のパターンをよすがとして、現代の人口問題を考えるツールにすればいいのです。
そこで、次に読むことをオススメする本は『人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか』(河野稠果 中公新書/2007年)です。
この本は、現代日本のマルサスであると言っても過言ではありません。
人口問題が現在、どこまで解明されたかが克明に書かれています。
実にシャープで読み応えがあります。
これらの本を読むと、人口問題を考える視座がしっかりしてくるでしょう。
そして、人口問題を自分の頭で考えるための思考の枠組みが構築されることでしょう。
・「人間は本当に賢いのか?」
以上のラインナップをすべて読破した後で、ぜひこの本を読んでほしいと思います。
『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』(中公新書)で有名な本川達雄さんの『生物学的文明論』(新潮新書/2011年)です。
・『生物学的文明論』
前半の章では、自然界で、互いに与え、与えられながら共生している動物や植物たちの生きざまを紹介しながら、著者は、「人間は本当に賢いのだろうか?」と疑問を投げかけます。
生き物が末永く生き続けるためには、とても多くの雑多な生き物が共に存在し、その生態系の中で互いに自然な形で支え合っていかなければなりません。
特定の種が急速に支配しようと勢力を拡大しすぎると、お互いの負担になりすぎ、絶妙なバランスで保たれていた生態系が崩れてしまい、結局はみな死滅してしまうことになるのです。
この本では、心臓時計で時間というものを捉えてみたり、脳のないナマコがいかに「いい暮らし」をしているかなどの面白いエピソードを紹介したりしながら、生物学の視点を通して現代文明を批判的に論じています。
「生物は、子供を産んでなんぼ、というものです。(中略)とはいえ、なまなましい生殖活動ができなくなるのが老いというものです。そこで、直接的な生殖活動ができなくても、次世代のために働くこと―─これを広い意味での生殖活動と考え、これに老後の意味をみつけたいのです。(中略)志としては、次世代の足を引っ張らないという姿勢をずっと持ち続けていれば、うしろめたさの少ない老後を過ごせるのではないかと思うのです」
「そもそも少子化とは、次世代を作ることに、それほど価値をおかないからこそ、そうなってしまうのでしょう」
洋の東西を問わず、沈む船から救命ボートをおろすときは、「子供、女性、男性、高齢者」の順にボートに乗るのです。
僕たちは、すべて「次世代を育てるために」生きているのです。それが動物としての人間の務めなのです。
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日本の人口減少を招いている残念すぎる真実
次世代を作ることに価値を置いていない
「次世代のために働くこと―─これを広い意味での生殖活動と考え、これに老後の意味をみつけたい」
2018/06/19 出口治明 :ライフネット生命保険株式会社創業者、 APU(立命館アジア太平洋大学)学長
https://toyokeizai.net/articles/-/222801
■衝撃…!少子化の根本原因は、50年前の「国の政策」にあった (週刊現代2019.3.2)
・GHQ、禁断の「産児制限」
・「家族計画」の名の下に
『アメリカにとって、日本の人口増は絶対に食い止めなければならない「課題」だった』
『アメリカは、中長期的に日本の出生数を抑え、人口の増加に歯止めをかけるべく、中絶の合法化や避妊知識の普及などを陰に陽に働きかけていた』
『当時の吉田茂内閣はこのGHQによる産児制限の誘導を受け入れ、「家族計画」を国民へ広めるべく務めるようになる。そして、それに一役も二役も買ったのが当時の新聞だった』
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60028?imp=0
■日本の少子化は「人災」だった(上)戦後ベビーブーム突如終焉 (産経新聞2016.2.20)
『戦後、占領政策を実施した連合国軍総司令部(GHQ)が、堕胎や避妊による「産児制限」を仕向けていたのだ。日本の少子化は、GHQによって引き起こされた“人災”だったともいえる』
『そこで、GHQは日本人自身の手で産児制限を普及させることにした』
『第二次大戦が終わってなお、日米間で国家の存亡をかけた「静かなる戦争」が続いていた』
https://www.sankei.com/premium/news/160206/prm1602060029-n1.html