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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■久米宏がワイドショーの嫌韓報道を真っ向批判!「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」「韓国叩くと数字が上がるから」 エキサイトニュース 2019年8月21日

 

久米宏がワイドショーの嫌韓報道を真っ向批判!「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」「韓国叩くと数字が上がるから」

エキサイトニュース  2019年8月21日

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_9765/


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TBSラジオHPより


日韓の対立をめぐって、国際社会では日本の責任を問う声が日に日に大きくなっているというのに、日本のマスコミ、特にテレビは相変わらず韓国攻撃一色。


ヘイトまるだしの解説やコメントが連日、垂れ流される一方、「日本政府はもっと慎重に対応すべき」「国民ももっと冷静になるべき」という当たり障りのない意見すら口にできない状況になっている。


だが、そんななか、あの久米宏がテレビの異常な嫌韓報道を真っ向から批判した。


久米は17日に放送された、自身がパーソナリティを務める番組『久米宏 ラジオなんですけど』(TBSラジオ)のオープニングトークで、「このところテレビ、お盆休みということもあって、相変わらず観ているんですけども、ちょっと気になるのありまして。これはニュースと言いますか、ワイドショーのような番組で、日韓関係を取り上げているワイドショーがかなりあって」と切り出し、こうつづけたのだ。


「で、中身がですね、韓国に対して厳しい意見をお持ちの専門家の方をゲストに呼んだり、韓国に冷ややかな見方をしている専門家の人をゲストに呼んだり、あのー、揶揄するようなね、韓国を。(揶揄)するような人たちがひな壇ゲストに並んでいたりするワイドショーがわりと多くて、どうもね、テレビが反韓国キャンペーンをやっているような匂いが、僕、少しだけするんです。それってどうなのかなって」


テレビのワイドショーが反韓国キャンペーンをやっている──。

この久米の指摘は言うまでもなく正しい現状認識だ。


実際、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)ではマンガ家の黒鉄ヒロシが「断韓」という文字を掲げて国交断絶を訴えたり、『ひるおび!』(TBS)では安倍応援団コメンテーターの八代英輝弁護士が、輸出規制問題の報道についてハンギョレ新聞と中央日報朝日新聞を「反日三羽烏みたいなもん」と言い出したり、完全に暴走状態。


しかも、久米の言うとおり、こうしたワイドショーに「専門家」として引っ張りだこになっているのは、『韓国人に生まれなくてよかった』(悟空出版)などというヘイト本の著者である武藤正敏・元在大韓民国特命全権大使


コメンテーターも解説者も一緒になって“韓国が全部悪い”と連呼しつづけているのである。

そして、久米は、こうした「反韓国キャンペーン」状態にあるテレビのワイドショーについて、このように批判した。


「あの、国民がやや暴走するようなときに、それを抑えるのがじつはマスコミね、テレビとか新聞とか雑誌の役割じゃないかと、僕は思っているんですけど、どうも国民の感情が暴走しそうなのを、逆に煽ってるんじゃないかって、僕から見ると見えるんですけど」


「世論をね、なだめるような仕事をするのがマスコミの仕事じゃないかと思うんですけど、どうもね、最近ね、必要以上に韓国を非難している」


本来は、世論が暴走しているときには冷静に「なだめる」のがマスコミの仕事であるのに、いまの状態は、テレビが国民の感情を煽っているのではないか。


そう久米は批判したのだ。

まったくそのとおりだろう。


国内世論は完全に「韓国が悪い」「関係修復を望む言説は反日」という風潮一色に染まり、「和解」や「慎重な対応」を求めただけで「反日」と攻撃を加える、まるで戦争前夜のような空気に支配されている。


「世論をなだめる」というマスコミの役割を捨てているのだ。

一体なぜ、テレビはこんな報道をつづけているのか。久米の見立てはこうだ。


「もしかするとね、いま韓国を叩くとね、数字が上がるんじゃないかってね。(中略)そうじゃなきゃ、連日やってるワイドショーもあるんですよ。毎日、韓国叩きやってるんですよ」「これ、たぶんね、数字がいいんじゃないかなって。民放ってやりかねませんからね。数字が良ければなんでも」


悪しき視聴率至上主義の弊害──。


久米は加えて「数字が良いってことは、つまり、韓国叩きをやると喜んでテレビを観る人が多いってことにつながっていくわけですから、これはこれでまたね、もしかするとマスコミが国民を煽ってるんじゃなくて、国民がマスコミを煽ってるっていうね」とも述べたが、「嫌韓」という国民の劣情を、視聴率が取れるからといってテレビが煽動していることに間違いはない。


いや、そもそもは安倍政権が「歴史修正」と「報復」にこだわって、国民の嫌韓感情にお墨付きを与えている状況があり、テレビも心置きなく韓国叩きに精を出していると言うべきだろう。

そんな国家ぐるみで「嫌韓」感情が醸成されつづけるなかで、「テレビがやっていることは『反韓国キャンペーン』だ!」とはっきり物申した久米。


放送人として至極真っ当な批判だが、しかし、電波にのせてこうした当然の批判をおこなっているのは、久米と、あとはジャーナリストの青木理くらいだ。

それほど放送メディアのなかでは「『嫌韓』批判」がタブーになってしまっているという証拠だろう。


メディアがタブーにする問題にも、しっかり切り込む。

現に、久米といえばこれまでも、メディアがこぞって期待・歓迎ムードを煽っている東京五輪に対しても、“最後のひとりになっても反対する”と明言。


「東京都民が決めたんじゃないんですよ。勝手に決めたのを上から押し付けていいのかってこと」「福島の復興のためだって言ってますけど、福島の人はよろこんでいるのか、東京での五輪を」と猛烈に批判。

五輪そのものに反対しているだけでなく、上が決めたことを押し付け、国民がその決定に唯々諾々と従う、この国のあり方にNOの声をあげてきた。


さらに、先月に『あさイチ』(NHK)に登場した際にも、「僕はやっぱりNHKは独立した放送機関になるべき」と言及し、こう述べた。


「人事と予算で、国家に首元を握られている放送局があっちゃいけないんですよ。そういう国は先進国とは言えないです。絶対、報道機関は独立していないといけない」


「アンチ政府、アンチ国家の放送局、新聞があってしかるべきなんですよ。だいたいみんな同じになって。すっかり流行語になった忖度みたいなところで、よくないと思いますよね」


N国(NHKから国民を守る党)とはまったく違い、権力と対峙するためにNHKは独立機関にならなければならないと当のNHKの番組で堂々と説く。

タブーを恐れないその姿勢は、今回の嫌韓報道への批判にも貫かれている。


久米は、テレビの報道を「反韓国キャンペーン」と表現したあと、こう口にした。


「いまラジオ聴いてる方でね、『バカヤロー』って声が聞こえてきているんですけどね(笑)」「『何を言ってるんだ、久米のバカヤロー。韓国のマスコミはもっとひどいぞ。もっと反日キャンペーンをやってるんだ』っていう反論があると思うんですけど、向こうがやったらこっちもやるっていうのは、これはね、昔から言うの。『子どものケンカ』って言うんですよね(笑)」


リスナーから起こるであろうリアクションにもしっかり釘を刺す。

そして久米は、最後にこのように投げかけたのだ。


「隣の国とは仲良くしたほうが、絶対にいいんですよ。両方の国にとって、経済的にも、すべてプラスになるのね。まあね、国民が煽るのも良くないし、マスコミが煽るのも良くないし、ましてや政治家が煽るなんてことはとんでもない話だと、私は思います」


マスコミはもちろんのこと、政治家が隣国に対する嫌悪感情を煽るなどもってのほかだという、ごくごく常識的な久米のような意見が、テレビではまったく見られない異常。

 

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久米宏がワイドショーの嫌韓報道を真っ向批判!「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」「韓国叩くと数字が上がるから」
エキサイトニュース(リテラ)2019年8月21日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_9765/

 

■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~ 論座(朝日新聞)2020年09月02日

 

■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~

論座朝日新聞)2020年09月02日

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020090200011.html


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・ジャーナリズムは何をしてきたのか?


安倍政治の巧みなメディア操作によって報道機関が分断されたことについて、「安倍政治に敗北したメディア(上)」「安倍政治に敗北したメディア(中)」で縷々触れてきた。


その結果、何が起きたのか? 

なにより深刻なのは、ジャーナリズムの要諦(ようてい)である権力監視の役割が十分に果たせなくなったことである。


いわば、権力に報道が取り込まれていったのである。

そんななか、長期政権の驕(おご)りとしかいいようがない公文書の改ざんというあり得ないことがおきた。


森友・加計学園問題や「桜を見る会」の疑惑についても、国民に納得がいく説明はいまもってされていない。

新型コロナウイルス対策は後手に回り、失策つづきである。


ジャーナリズムは安倍政権下で何をしてきたのか。安倍政治の単なる広報機関だったのか。

安倍政治が幕を閉じるにあたり、報道のあり方もまた厳しく問われている。

 

・賭けマージャン事件で語るべきことは


今年5月、黒川弘務・前東京高検検事長新型コロナウイルスが感染拡大するなか、新聞記者らと賭けマージャンをし、それが発覚したことで辞職した。


黒川氏は安倍政権による脱法的な法解釈変更で、定年延長していた。

内閣法制局長官日銀総裁NHK会長など、安倍政権は独立性がきわめて重んじられる要所の人事を恣意(しい)的に行なってきた。


黒川氏の定年延長も、検察ナンバーワンである検事総長への布石といわれ、「官邸の守護神」と揶揄された。

検事長が、コロナ禍による緊急事態のなか、賭けマージャンに興じるのは言語道断だ。


黒川氏のお相手を常習的にしていた産経新聞の社会部記者2人と朝日新聞の元司法担当記者は、どうなのか。

両紙とも「極めて不適切な行為」とし、産経は記者2人を取材部門から、朝日は元記者を役職からはずしたうえで、それぞれ停職1カ月とした。


おわび記事(いずれも2020年5月22日朝刊)をみると、産経は「取材対象に肉薄することは記者の重要な活動」として自社記者をかばうかのような記事を書いた。

しかし、ここで語るべきは、「権力と報道の距離」の問題ではないか。


これについて、両紙のおわび記事ではほとんど触れられていない。

権力と距離を保つことは、報道倫理の最重要事項のひとつである。


問題は、産経は取材対象に肉薄し、特ダネや独自ダネを書いたのか、ということだ。

黒川氏が検事長時代に指揮をとった総合型リゾート(IR)の汚職報道は、自民党議員(現在は離党)の逮捕者もでたが、読売新聞がリードしていた。


最前線の記者の苦労はわかる。「きれい事ではすまされない」という声も聞こえる。

しかし、理想と現実の狭間で闘うことも、記者の役割ではないか。

 

・安倍政権の「メディア選別」は常套手段


ここで「権力と報道の距離」について、あらためて考えたい。

読売は昨年末から年始にかけて、IR汚職報道で確かに精彩を放った。


一方で、権力との距離の近さもしばしば指摘されてきた。


第2次安倍政権発足後のきわめつけは、憲法施行70周年にあたる2017年、安倍首相に単独インタビューして憲法改正について縦横に語らせ、憲法記念日の5月3日に特大記事を載せたことだ。


改憲という国家の根幹をなす重要テーマは、オープンな場で記者会見し、多様な質問を受けるのが、まっとうな対応だろう。


その後、野党議員が衆院予算委で安倍首相に改憲発言の真意をただすと、「自民党総裁としての考えは読売新聞に相当詳しく書いてある。ぜひ熟読してほしい」と安倍首相は答えた。


国会で説明を求められ、「新聞を読んでくれ」とは、前代未聞の答弁である。

安倍首相(権力)と読売新聞(報道)の距離が厳しく問われる場面であった。

 

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■安倍政権の権力を監視できなかったメディア~問われる「権力と報道の距離」~
論座朝日新聞)2020年09月02日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020090200011.html

■日本のメディアは大丈夫か ~政府から独立した日本版FCCの創出を急げ~ 論座(朝日新聞)2018年08月26日

 


■日本のメディアは大丈夫か

~政府から独立した日本版FCCの創出を急げ~

論座朝日新聞)2018年08月26日

https://webronza.asahi.com/national/articles/2018082300001.html?page=1


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報道の自由度国際ランク11位から72位へ急落の意味

 


長らくメディアにかかわってきた者として、日本のメディアは大丈夫か、という思いを今日ほど強くした日々はない。

日本の報道の自由度の国際ランクはここ数年、後進国並みの70位前後をウロウロしている(昨年72位、今年67位)。


アジアでも台湾(42位)、韓国(43位)よりはるか下で、昨年はモンゴルの下になった。

日本の言論機関とジャーナリズムは大丈夫なのか。


われわれはいつの間に、民主主義先進国の自負をなくしてしまったのだろうか?

もともとランクが低かったわけではない。


9年前の政権交代時の民主党・鳩山政権時代の国際ランクは11位と、北欧諸国に肩を並べたことがあった。


記者クラブ制度の自由化と改革、記者会見へのフリーランスの参加、官庁の情報公開進行のほか、原口総務大臣(当時)の下で電波規制当局を総務省からはずす日本版FCC(米国の連邦通信委員会がモデル)の創設、メディアの集中を規制するクロスオーナーシップ廃止など、先進国として遅れていた電波監理と放送制度の諸改革を戦後初めて実行する法案の国会提出が行われた時代でもある。


言論の障壁をなくすのだから、新聞記者やメディアにとっては希望の時代だった。

しかし鳩山政権が試みたメディア改革の試みは、その後の相次ぐ政権交代の連鎖の中で挫折した。


この夏に経験した命の危険のある猛暑と大災害と共に、メディア自身も崖から転がり落ちる危機の時代に至っていることを実感したのだ。


72位に急落した昨年以来、安倍政権は国民世論の現実から目を背け、モリカケとか一部の政財界、人事権を握った高級官僚らの限られた仲間の人々の得になるような政治を推進していることが誰の目にも明らかになっているのに、国会で多数派を占めている自民党は自分たちの間違いを糺(ただ)せないでいる。


役所の文書改竄は当たり前、国会でも平然と嘘をつく、国民に奉仕すべき政治家、公務員という人々が、私利私欲で動いているように見える。

 


(中略)

 


報道の自由を守るには権力側こそ忖度する必要がある

 


政権に批判的で都合の悪いテレビキャスターを降ろすのは実は、簡単なことなのだ。

政権側は総務省を通じて電波の免許更新時の許認可権を手にしている。


さらに放送法4条の「偏向しないこと」という条文を盾にして放送法違反による電波取り消しを匂わせれば、放送局幹部をひれ伏させることができる。

高市総務大臣(当時)が国会でしきりに放送法の「偏向」条文に関するコメントをし、「停波」発言をしていたことを思い出す。


偏向報道疑惑で民放が政府から睨まれると電波の免許更新ができなくなるので、テレビ局の死活問題になる。

また公共放送NHKともなれば年度予算の国会承認が必要なので、多数派与党の顔色を常時気にせざるを得ない。


実際に電波免許取り消しの先例はないものの、総務省から「偏向報道」の指摘を受けるのは避けたいのが、放送局幹部の本音だろう。

そこに政権に対する忖度の余地が働いて、放送内容の自粛や自己規制が起こる。


実をいえば、今のような政府に都合の良い放送システムの下では、放送の自由を守るには政府権力側の配慮こそ不可欠なのだ。

権力側は免許を取り消すという“剣”を隠し持っている。


だからこそ権力者は鎧の下に隠した剣をひけらかすことなく、言論の自由を守る配慮と逆の忖度を働かさなければならない。

日本の報道システムには「報道の自由」を守るうえで、大きな法的欠陥があるのだ。


そこを自覚することで、権力を握る側は、言論の自由を守るための十分な教養と配慮、理性が求められている。

忖度が必要なのは言論機関の側ではなく、政権与党の側なのだ。


権力者が近代国家の憲法に無知で、言論の自由の歴史的意味を理解できなければ、言論の自由を守ることはできない。

欧米では言論の自由がどのような苦節をへて近代憲法に書きこまれたかを、日本の為政者はもっと学ばなければならない。


これは官僚の人事権と似た問題でもある。

内閣府に人事権を奪われた財務省幹部が国会で安倍政権への忖度発言を繰り返したのと同じように、政権の側が憲法言論の自由を守る気がなければ、堂々と圧力をかける土壌が日常化する。


圧力をかけられたテレビ局では忖度番組がはびこることになる。

 

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■日本のメディアは大丈夫か
~政府から独立した日本版FCCの創出を急げ~
論座朝日新聞)2018年08月26日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018082300001.html?page=1

■憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~ 週刊現代(講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)

 

憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~

週刊現代講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252


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田原: 日本が核を持つのに、一番反対したのはアメリカなんだよ。僕はキッシンジャーに、そのことを何度か聞いたことがある。絶対反対だと。


矢部: ところが、いまはむしろ、持たされる可能性が高い。


田原: トランプがそう言ってるじゃない、大統領選挙のとき。


矢部: ですよね。1970年代にヨーロッパで起きたことですが、中距離核ミサイルを持たされて、ソ連とヨーロッパが撃ち合いの状況をつくられてしまった。でもアメリカはその外側にいて、自分たちは絶対安全と。そういう体制が今後、日本・韓国と中国・北朝鮮の間でつくられてしまう可能性があります。

あと、今日はもう一つ、田原さんにどうしてもお話ししておきたいことがあるんです。安倍首相が2015年に安保関連法を成立させて、集団的自衛権の行使が認められるようになりましたよね。もう、あれで自衛隊は海外へ行けるわけですから、米軍側の次の課題っていうのは憲法改正とかじゃなくて、違うフェーズに移っているということを、いま調べているんです。具体的には全自衛隊基地の共同使用なのですが。


田原: どういうこと?


矢部: 要するに、すべての自衛隊基地を米軍と自衛隊が一緒に使って、米軍の指揮の下で共同演習をやるようになるということです。たとえば静岡県にある富士の演習場というのは、もともと旧日本軍の基地で、戦後、米軍基地として使われていました。それが1968年、自衛隊に返還されたのですが、その際、年間270日は米軍が優先的に使うという密約が結ばれていたのです。


田原: いまでもその密約は続いているの?


矢部: ええ。年間270日ですから、日本に返還されたと言ってたら、事実上、米軍基地のままだったわけです。


田原: 本当は米軍基地じゃないんでしょう? 残ってるわけか、少し。


矢部: ちょっとだけ残っているんですよね。全部米軍基地だったのを少しだけ残して、いちおう日本に返したのですが、密約で270日間は自分たちが使うと。そうすれば、基地を管理する経費がかからないし、米軍基地じゃなくて自衛隊基地のほうが周辺住民の反対運動も少ないので、はるかに都合がいいんです。

下手したらね、たとえば辺野古ができたあと、普天間を日本に返して自衛隊の基地にする、でも米軍が優先的に使いますよ、ということだってあり得るわけです。ですからこれから日本では、米軍基地の返還が進み、表向きは自衛隊基地なのにその実態は米軍基地、というかたちがどんどん増えていくかもしれません。


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憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~
週刊現代講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252

■鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄……。今こそ聞きたい、日本の「自立」を追求した政治家たちの言葉 ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)2019.07.26

 


鳩山一郎石橋湛山田中角栄……。今こそ聞きたい、日本の「自立」を追求した政治家たちの言葉

ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)2019.07.26

https://hbol.jp/197871

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・トランプ安保破棄発言こそ対米自立の好機


6月のG20直前、Bloombergが「トランプ大統領は日本との安保条約を密かに破棄すべく熟考中」と配信した。(参照:Bloomberg


菅義偉官房長官が慌ててトランプ発言を否定したが、その直後にトランプ大統領は「日本が攻撃されれば、アメリカは第三次世界大戦を戦い猛烈な犠牲を払うことになるが、日本はアメリカが攻撃されているのをソニーのテレビで見物するだけだ」と発言した。


トランプ大統領日米安保条約破棄発言は、決して気まぐれや思いつきではない。

同種の発言は3年前の大統領選当時にもあったし、欧州各国にも「アメリカに頼むなら応分の負担をしろ」と言明している。


月刊日本』8月号では、こうしたトランプ大統領の「日米安保条約破棄」発言を奇貨として、我が国は自国の安全をどう確保すべきか、虚心坦懐に考えるチャンスだとして、「トランプ安保破棄発言 対米自立の好機」という特集を組んでいる。


今回はその中から、戦後の日米安保体制の中にあって、日本の自立を追求した政治家について論じた同誌編集部の論考を紹介したい。


・モノマネされる安倍総理


「先ほどアメリカのトランプ大統領と電話で会談をしました。私たちの思いは一致しました」

これは安倍晋三総理の言葉ではない。東北出身のお笑い芸人・サンドウィッチマン伊達みきおさんが、テレビ番組で披露した安倍総理のモノマネである。


伊達さん扮する安倍総理は、どんな話題を振られても「先ほどトランプ大統領に電話しました」としか応じない。

元号や景気回復など、直接アメリカと関係のないことを聞かれても、トランプの話しかしないのだ。


司会者から「すぐトランプに電話するやん」とツッコミが入り、番組は笑いの渦に包まれた。

沖縄タイムス」はこのモノマネに注目し、安倍総理の対米従属ぶりを連想させる「爽快な風刺」と指摘した。


しかし、伊達さんに安倍総理を揶揄する意図はなかったのではないか。

単に安倍総理の特徴を忠実にマネしているだけのように見える。


番組の観覧客や視聴者たちも、モノマネが風刺として優れていたから笑ったわけではあるまい。

日頃マスコミに出てくる安倍総理の特徴をうまく捉えているから面白かったというだけだろう。


逆に言えば、国民の間にも、安倍政権を支持しているかどうかはともかく、安倍総理トランプ大統領べったりという印象が広がっているということである。

安倍総理はトランプ政権が誕生して以来、トランプ大統領に徹底的に媚を売ってきた。


安倍総理トランプ大統領の前で見せる顔は、有権者に愛想を振りまく政治家の顔に似ている。

政治家は票のためなら土下座もいとわない。


安倍総理の振る舞いにはそれに近いものがある。

事実、戦後の日本では、アメリカから支持を得た政権は長期政権を築いてきた。


安倍総理もそのことをよく理解しているから、国民よりもアメリカの意向を重視するのだろう。

戦後の日本はアメリカと同盟関係にあるため、どうしてもアメリカの行動に引きずられてしまう。


それは安倍政権に限った話ではない。

しかしそうした中でも、日本の自立を追求した政治家たちがいたことも忘れてはならない。


以下では、その中でも、特に現代的に価値があると思われる政治家たちの言葉を見ていきたい。


まず、鳩山一郎である。

鳩山は第一次鳩山内閣における施政方針演説で、次のように述べた。


「今日わが国の最大の課題は、すみやかにわが国の自主独立を完成いたし、独立国家の国民としての自覚を高め、わが国の自立再建を達成することにあると信じております。このため、政府は、まず、外交においては、世界平和の確保と各国との共存共栄を目標とし、広く国民の理解と支持とによる積極的な自主平和外交を展開しようとするものであります。(中略)変転する国際情勢のもとにあつて、わが国の自主独立の実をあげるためにも、国力の許す範囲において、みずからの手によつてみずからの国を守るべき態勢を一日も早く樹立することは、国家として当然の責務であろうと存ずるのであります。従つて、防衛問題に関する政府の基本方針は、国力相応の自衛力を充実整備して、すみやかに自主防衛態勢を確立することによつて駐留軍の早期撤退を期するにあります。」(1955年1月22日「施政方針演説」)


これはのちに自民党の党是へつながっていく。

自主防衛態勢の確立や駐留軍の早期撤退といった議論は、現在から見ると実に隔世の感がある。


次に石橋湛山の外交戦略を見てみよう。

石橋は総理をやめたあと、「日中米ソ平和同盟」という壮大な構想をぶち上げた。

アメリカとソ連、中国の間にある不信感を拭い去り、地域の平和を確保するために、日米間の同盟関係を日米中ソの四か国間まで広げるべきだと主張したのだ。


「……わが国としては、社会党のように、今にわかに米国を『日中共同の敵』ときめつけるのは、従来の歴史を顧みない突飛な行動で、非常識きわまりないと言わざるをえない。日本としては、米国を仇よばわりする前に、米国とソ連、中国の間を仲介し、現在、日米二国間だけに適用されている安全保障条約を、日中米ソ四国間にまで拡げて、相互安全保障条約の方向に努力することが賢明な策である。こうしてはじめて、東洋の平和を保ちうるのみならず、世界平和をも回復できるのである。私の主張する日中米ソ四国の平和同盟というものは、以上のごとく、実はわが国にとって、ソ連および中国との関係から是非とも必要なのである。」(石橋湛山「日中米ソ平和同盟の提唱」)


最後に注目したいのが、田中角栄である。

田中角栄新潟日報東京報道部記者だった小田敏三氏に対して、「裏安保なんだよ、日中は」と述べ、次のように続けた。


日米安保によって日本は、国防を米国に任せ、自分たちは経済繁栄を享受できた。これからは分からん。米ソ関係が悪いと日本に軍備の強化を要求してくる。米とソ、日本とソ連の間にいる中国の数億の民が壁になったんだ。中国と組んだから軍事費はいまも一%以内なんだ。そうでなけりゃ三%ぐらいだ。米国が要求するから。米国は二等辺三角形の底辺なんだよ。」(新潟日報編『入門 田中角栄』)


この「日中裏安保論」は、池田勇人総理の秘書官だった伊藤昌哉によると、池田の持論だったという。

池田が大平正芳にこの話をしていたので、それが田中に伝わった可能性があるようだ。

小田氏によれば、アメリカから日本に対してベトナム戦争派兵への圧力が強まったときも、田中角栄は「どんな要請があっても、日本は一兵卒たりとも戦場には派遣しない」と述べた。

官僚たちが「アメリカからの強い要請がある」と強く言っても、「そういうときには、憲法9条を使えばいい」と返したという(『週刊新潮』2019年6月20日号)。

安倍総理にはぜひ角栄の爪の垢を煎じて飲んでいただきたいものだ。


・同盟に忠実であることの危険性


もとより、安倍総理が何から何までトランプの言いなりだと言うつもりはない。

たとえば、2018年7月に北村滋内閣情報官は北朝鮮のキム・ソンヘ統一戦線策略室長とベトナムで極秘裏に接触した。


これに対して、アメリカの政府高官は、日本が事前に会談のことをアメリカに伝えなかったとして不快感を示した。

トランプが板門店金正恩と会談することを日本に事前に伝えなかったのも、その意趣返しだったのかもしれない。


とはいえ、安倍政権の北朝鮮外交には一貫性がない。

北朝鮮外交に限らずそうである。


端的に言って、場当たり的なのだ。

安倍政権はどのような国を目指し、国際社会の中でどういう役割を果たそうとしているのか、明確なヴィジョンが見えない。


これに対して、たとえばロシアのプーチン大統領は「ユーラシア共同体」という確かな構想を持っている。

これはヨーロッパとアジアの間で独自の空間を築くとする考え方だ。


この構想は、ほぼ実現したと言っていいいだろう。


また、元CIAのマイケル・ピルズベリーが『China 2049』で強調しているように、中国は「中国共産党革命100周年に当たる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」という100年計画を持っている。


その目標はいままさに達成されつつある。

場当たり的な外交はときに危険をともなう。


アメリカと中国の対立関係が強まっている現在では、なおさらそうである。

仮に米中間で軍事衝突が起こった場合、日本は日米同盟によって中国と戦争しなければならなくなる。


明確なヴィジョンがない安倍政権には、角栄のように憲法を盾にアメリカの要求を突っぱねることはできないだろう。

もちろん現在の米中に戦争の意思はない。


近い将来、米中戦争が起こるとは考えにくい。

しかし、物事には偶然というものがある。


そのことは常に想定しておかねばならない。

かのキッシンジャーは、第一次世界大戦は各国が同盟を破ったからではなく、各国が同盟を忠実に守ったために始まったと述べている。


同盟は自国の安全を確保するだけでなく、自国を危険にさらすこともあるのだ。

トランプが日米安保破棄に言及したことは、日本にとっては幸いである。


私たちは今後の日本のありかたを考えるためにも、一度立ち止まり、日米同盟のありかたについて議論すべきではないか。


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鳩山一郎石橋湛山田中角栄……。今こそ聞きたい、日本の「自立」を追求した政治家たちの言葉
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社)2019.07.26
https://hbol.jp/197871

■外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)


■外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか

Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)

https://news.ameba.jp/entry/20201112-243/


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・菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか

 

安倍晋三前首相が居なくなって、国会論戦も落ち着いてきた。

相変わらず「いつもの野党」は学術会議で責め立てるが、かつての「反安倍」VS.「反・反安倍」のような感情的な対立は影を潜めた感がある。


安倍内閣の頃は、野党が一言でも「モリカケ」を聞こうものなら、テレビはそこだけを執拗に流していた。


野党幹部も、政権のスキャンダルを徹底攻撃する姿勢を良しとしたし、安倍応援団もそうした野党に宗教戦争の如く反撃するのが己の使命であると信じ込んでいるかのようだった。不幸な状況だった。


ところが今は、余裕がある。

菅義偉首相が「全集中の呼吸で」などと大ヒット漫画『鬼滅の刃』のセリフを引用すると話題となる。


本来、国会とは、与野党ともに国の為に穏やかに話しあう場である。

ようやく、「アンチ」と「アンチへのアンチ」以外の議論が介在する余地が出てきた。


野党でも国民民主党は学術会議に一言も触れず、与党に対して提言を行う形で国民に選択肢を示している。

かなり健全ではないか。


さて、識者の間では想定されていた事態だが、アメリカ大統領選挙泥仕合と化している。


ドナルド・トランプ政権が存続すれば政策は継続されるが、ジョー・バイデンに交代すれば新たな方策を日本も考えねばならない。

ここで安倍政権の外交を振り返りつつ、菅内閣が何を引き継ぎ、何を改善したいかを考えたい。

 

・トランプは中国に対決姿勢


まず、トランプは台頭する中国に対決姿勢を示してきた。

これに関しトランプの暴走との誤解があるが、違う。


トランプは議会で超党派を組んで中国と対決している。

仮にバイデン政権になっても、温度差はあろうが、方向性は変わらないだろう。


そもそも、アメリカ民主党といえども、強すぎる中国は好まない。

ただ全面的な対決姿勢かというと、トランプですら違った。


かつて、ロナルド・レーガンソ連を潰すと宣言、自らの任期8年では果たせなかったが、後任のジョージ・ブッシュの時代に実現した。

レーガンとブッシュは、景気回復を成し遂げた後、軍拡競争を挑み、国際協調体制による包囲網を構築、あらゆるインテリジェンスを駆使して、ソ連崩壊に導いた。


では、今の中国が滅び際のソ連のような状態かと言えば、違う。

習近平共産党支配は強固であるし、経済力はアメリカに追い付け追い越せの世界第二位の実力、外交的にはむしろ攻勢をかけているほどだ。


このような中国を潰す力は、今のアメリカには無い。

だからこそトランプは、中国に圧力をかけて、政治的経済的取引を有利に持ち込もうとしていたのだ。


バイデンも、基本路線は変わらない。

中国の方は、仲間がいないトランプよりも、国際協調による対中包囲網を実現しかねないバイデンこそ警戒しているとか。


もっとも中国は、それを黙って見ているほどお人よしではないが。

 

・首輪のついた「弱い日本」から「自立した強い日本」への道は、軍事力を裏付ける経済力の回復だ

 

さて、こうした流れの中で安倍外交はなにをやってきたか。

孤立するトランプの友達でいた。


ただ、それだけだ。

この場合の「友達」とは「仲良し」であって「仲間」ではない。


「仲間」とは何か。

いざという時に、一緒に武器を持って戦う存在のことである。


たとえば、イギリスはアメリカの政権が共和党だろうが民主党だろうが、アメリカの戦いには兵を派遣して戦ってきた。

もちろん、時に独自の判断でアメリカについていかない時もあるが、「原則として一緒に戦う仲間」である。


翻って安倍外交はどうだったか。

トランプは、日本に対等の同盟国にならないかと持ち掛けてきた。


その為に自主防衛を容認する発言をした。

ところが安倍首相は早々に拒否した。


軍事抜きの外交を選んだ。

確かに孤立するトランプは日本を無下にすることはなかった。


では、それが日本の国益となっただろうか。

安倍政権は単に、日本がマトモな軍事力を付けることを嫌がる勢力と戦うのを回避しただけではないか。


では、日本がマトモな軍事力を付けることを嫌がる勢力とは誰か。

国内においては財務省である。


財務省は財布の紐を締めるのが仕事である。

国家予算つまり国の支出は、大半が福祉と地方へのバラマキに消えている。


そのバラマキを支える為に増税と緊縮財政に走っている。

そんな中で、防衛費は額が大きくて抵抗力が小さい。


福祉や土木を削ろうものなら族議員から業界団体までが束になって抵抗してくるが、防衛に関心を持つ国民や政治家は少ない。

財務省からしたら、「防衛費を削れなければ、何を削るか」なのである。


今までの歴代アメリカ大統領は、強い日本を本質的に忌避し、首輪をつけた状態に置いておいた。

では、それが今後のアメリカの国益になるのか。


バイデンが「弱い日本」を首輪につないでおきたいのか、それとも「自立した強い日本」を望むのか。

我が国は、後者こそが日本だけでなくアメリカの国益になるのだと説得すべきであろう。


そして強い日本となるには裏付けが必要だ。

安倍内閣のGDP0.95%の防衛費では合格最低点に達していない。


平時で2%が標準である。

本気で中国を潰すなどと考えるなら、7%も視野に入れねばなるまい。


ただ、精神論だけ言っても裏付けが無ければ意味がない。

では、その防衛費を増額させる財源はどこからひねり出すか。


経済成長以外にありえない。

安倍内閣は8年も政権を独占しながら、景気回復すら達成できなかった。


それどころか2度の消費増税により景気回復を腰折れさせていたところに、コロナ禍である。

今でこそ巨額の給付により国民経済は何とか支えられているが、ではいつまでこれを続けるか。


それとて、今すぐ金融緩和をやめてしまえば、リーマンショック以上の大不況が押し寄せてくるのだ。

 

・米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない


コロナ禍を収拾、そして景気回復を成し遂げねば、外交などできはしないのだ。

古い格言に「外交と軍事は車の両輪」とある。


軍事抜きの外交など、発言力は十分の一だ。


もし菅内閣が本気で外交をやるならば、防衛費GDP2%程度の軍事力を持たねば話にならないし、その為にはコロナ禍とデフレ経済を早々に退治しなければ、軍事力の裏付けとなる経済力が回復しない。


米中対立の中で、我が国の選択肢は二つしかない。


一つは翻弄されるだけの存在。


もう一つは自分の力で生きる国となること。


さて、菅義偉首相の選択はどちら?


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■菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか「仲間」を目指すのか
Amebaニュース(2020年11月12日)SPA!(倉山満)
https://news.ameba.jp/entry/20201112-243/

■深夜・早朝飛行「また来たか」 我が物顔で飛ぶ米軍機 形骸化する制限合意 毎日新聞 2020/10/19

 


■深夜・早朝飛行「また来たか」 我が物顔で飛ぶ米軍機 形骸化する制限合意

毎日新聞 2020/10/19

https://mainichi.jp/articles/20201019/k00/00m/040/133000c


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日本の空を我が物顔で飛び回る米軍機。


全国の米軍専用施設の約7割が集中する沖縄では、普天間飛行場や嘉手納基地周辺だけでなく全域で日米両政府が飛行の制限で合意した午後10時以降も頻繁に騒音が確認され、住民から憤りの声が上がる。


2018年に輸送機オスプレイが正式配備された東京都の米軍横田基地でも騒音が増加し、市民の生活に影響を与えている。

 

・騒音、深夜早朝に年890回


闇夜にプロペラ音がこだましては消え、またこだまする。

20年9月10日、沖縄本島北部にある金武町(きんちょう)の中川地区では深夜まで米軍機の飛行音が響いていた。


午後9時に集落の真上をオスプレイが通過。午後10時半には機体は見えないものの、隣接する米軍キャンプ・ハンセンの方向から約10分間、ヘリコプターのプロペラ音が断続的に聞こえた。


中川地区にある公民館では19年度、防衛省沖縄防衛局が設置した測定器で60デシベル以上の騒音が6214回発生。うち890回は午後10時~午前7時の深夜早朝だった。


騒音発生回数は平均で日に17回、深夜早朝だけでも2・4回。キャンプ・ハンセン内にはヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)が複数あり、離着陸訓練などをする米軍大型ヘリコプターやオスプレイなどが昼夜問わず飛び交う。


金武町は19年度、中川地区にある中川小学校など町内5カ所の公共施設の屋上に「NO FLY ZONE」(飛行禁止区域)と記した表示を施した。


夜間も光が当たれば文字が浮かび上がり、住宅地上空を飛ぶ米軍機のパイロットに注意を促しているが、表示後も訓練は続く。


中川地区に住む男性(45)は「米軍基地があったおかげで生活が成り立ってきた人もいる。でも事故の危険がある以上、飛ばないに越したことはない」と複雑な心情を吐露する。


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深夜・早朝飛行「また来たか」 我が物顔で飛ぶ米軍機 形骸化する制限合意
毎日新聞 2020/10/19
https://mainichi.jp/articles/20201019/k00/00m/040/133000c

 

 

 

 

 

 

■ヘリ低空飛行の苦情、米軍に178件通知 防衛省、歯止めにならず

毎日新聞(2021/4/11)

https://mainichi.jp/articles/20210410/k00/00m/040/217000c


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在日米軍ヘリが東京都心上空で、日本のヘリであれば違法となる低空飛行を繰り返している問題で、防衛省が米軍ヘリによる可能性があるとして、2017年度以降に東京23区の市民らから受けた騒音など計178件の苦情内容を米側に通知していたことが判明した。


同省作成の資料から分かった。

低空飛行を指摘する苦情が多く、毎日新聞の調査で判明した低空飛行と日時や場所が一致するものもある。


苦情の声が上がった後も米軍の問題のある飛行は続いており、通知を含む防衛省の対応が歯止めになっていない可能性が浮上した。

防衛省は各地方防衛局で自衛隊や米軍の飛行に関する苦情を住民や自治体から受け付け、自衛隊に該当しないと確認できた苦情の内容を米側に通知している。


同省が毎日新聞の取材に開示した苦情一覧によると、米軍に通知したもののうち、東京23区内の飛行に関する苦情は17年4月~20年12月の間に213件。

このうちヘリに関するものが178件あり、内訳は世田谷140件▽杉並9件▽新宿8件▽渋谷6件――などだった。


世田谷で多いのは横田基地など首都圏の基地と東京・六本木の米軍ヘリポートの往復ルートになっているうえ、こまめに通報する住民がいたためとみられる。

年度別では17、18年度が8件と29件で、19年度に121件と急増。


20年度(4~12月)は20件だった。

苦情内容は、早朝や夜間の爆音や部品落下への不安のほか「マンションの5階から約50~100メートルのところを低空で飛行しており恐怖を感じる」など低空飛行に関するものが多い。


機体のマークや文字など特定につながる情報を伝えているケースも複数あった。

毎日新聞は昨年7月~今年1月の間に米軍ヘリによる低空飛行を24回、危険を伴う訓練とみられる飛行を3回確認し、2月から動画とともに報道している。


そこで報じた2件の飛行と一致する苦情も寄せられていた。

「低空飛行をしている米軍機を見ると、戦争当時の怖い思い出がよみがえってきて、怖さがこみ上げてくる」。


1件は米海軍シーホークが昨年12月14日午後1時台に渋谷駅周辺や山手線内を低空で旋回するなどした飛行。


住民が同日午後1時33分に渋谷区内で「自衛隊か米軍か不明だが、南から北にヘリが低空飛行してうるさい」と通報していた。

もう1件はシーホーク2機が昨年8月27日午後4時台に東京スカイツリー墨田区)に繰り返し接近した飛行。


住民が同日午後4時15~20分ごろ「浅草4~5丁目あたりで2機のグレーのヘリが低空で旋回飛行し、大変うるさかった。

老人には恐怖」と訴えていた。


一連の問題を巡っては日本政府が事実確認を米側に求めている。


米軍からは「(2月に)報道された飛行から時間がたっており詳細な事実確認は容易ではない」と説明を受けているというが、既に伝えていた苦情の通知に米側がどう対応していたのかは不明だ。

 

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<特権を問う>ヘリ低空飛行の苦情、米軍に178件通知 防衛省、歯止めにならず
毎日新聞(2021/4/11)
https://mainichi.jp/articles/20210410/k00/00m/040/217000c