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日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

■「安倍外交は思考停止状態の“葛藤なき対米従属”自ら進んで愚鈍化している」 exciteニュース 2016年6月5日 週プレNEWS

 


■「安倍外交は思考停止状態の“葛藤なき対米従属”自ら進んで愚鈍化している」

exciteニュース 2016年6月5日 週プレNEWS

https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_20150523_48231/


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憲法改正集団的自衛権の行使容認、原発再稼働など、ここ数年、日本が直面する諸問題について「戦後の歩み」という視点から分析し、警鐘を鳴らす内田樹(たつる)氏と白井聡氏の対談本『日本戦後史論』(徳間書店)が注目を集めている。


戦後70年の節目で大きな政策転換を図ろうとする日本の「今」を、世代の異なる人気論客のふたりはどう捉えているのか?

 

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―まずは、おふたりがなぜ日本の政治や社会が置かれている今の状況に強い危機感を感じ、怒りを露(あらわ)にしているのかというあたりから伺いたいのですが?

 

白井 ともかく起きることすべてに腹が立つので、自分が何に怒っているのかわからなくなりそうなんですが、きっかけは、やはり4年前の3・11東日本大震災です。

で、その3・11と絡めて話すと、最近、第2次世界大戦中の本土空襲に対する政府の対応について書かれた『検証 防空法 空襲下で禁じられた避難』(法律文化社)という本を読んだんですね。戦前の政府は、対米戦が始まる前から本土空襲を想定して「防空法」という法律をつくるのですが、その基本精神は「国民は逃げてはいけない」ということなんです。

なぜかというと「初期消火が国民の義務」だからです。政府は焼夷(しょうい)弾の威力をよくわかっていながら「焼夷弾なんて怖くない。国民は逃げずに都市にとどまって、勇猛果敢に火と戦え」と。学童疎開が行なわれましたが、それは若い命を救うためではなくて、あくまで「消火の足手まといになるから」というロジックでなされたのです。

しかも、「すぐに飛び出して初期消火ができるように、防空壕(ごう)は家の床下に穴を掘って造るように」としたのです。でも、家が空襲で燃えれば、防空壕に避難した人が蒸し焼きになって死んでしまうことなどわかるはず。戦前の政府は国民の命を守るのではなく、この「防空法」で彼らに逃げることを許さず、都市に人間を閉じ込めて蒸し焼きにしたのです。
この本を読んでいると、今の福島が置かれている状況を連想せずにはいられません。本当は原発放射線がどんなに恐ろしいものかわかっていながら、安倍政権は国民や国土ではなく「政府そのもの」や「国」を守るために現実を否認してでも前に進もうとしている。やっていることは戦前の防空法と同じです。

表向き、日本という国は1945年の敗戦によって大日本帝国とはまったく違う国に生まれ変わったことになっているけれど、3・11以降、本当はそうじゃないということが明らかになった。戦時中、国民は国家の奴隷のような状態だったわけですが、今もその状態を脱していないと思うわけです。ところが、国民は自分たちが奴隷状態であることに腹も立てず、気づきもしない。
それどころか、それに気づいて怒り始めた人に対して、「バカじゃないの」と指さして笑い合うことを娯楽にする連中が増殖している。僕はそんな国民に呆れ果てています。

 

内田 現状に対する認識はほとんど同じです。でも、市民的自由と民主主義という、近代市民社会の価値観が支配的だった時期もあったと思います。

例えば、高度成長の駆動力になっていたのは「今度はアメリカに勝つ」という、戦中派の戦闘的なメンタリティでした。「軍事で負けた戦いを経済の舞台でやり返す」という気持ちが確かにあった。

その一方で、戦後日本の外交戦略は一貫して「対米従属を通じて対米自立を実現する」という屈折したものでした。アメリカから自立するためには、とりあえず徹底的にアメリカに従属しなければならないという複雑な方程式を戦後日本は選ぶことを余儀なくされた。

だから、日本の戦後は「葛藤の70年間」だったと思います。ただ、この葛藤が生産的に機能したという側面もあった。人間は葛藤の中で成長するものですから。

それがこの10年で大きく変わり、葛藤を忌避して、シンプルな物語を好む人たちが社会の前面に出てきた。対米従属と対米自立の難しい案配ができなくなった。

政治的な右傾化というよりはむしろ「精神的な幼児化」ということじゃないかと思います。建前と本音を巧みに使い分けしながら、アメリカに面従腹背して国益をじりじりと確保するという複雑な芸当をする能力を日本人が失った。

日本政府が外交能力を失い、日本人の国際感覚が鈍麻して、ベタでわかりやすいストーリーにすがりつくようになったのです。その結果、外交は思考停止状態の「葛藤なき対米従属」になっている。

 

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安倍外交は思考停止状態の“葛藤なき対米従属”。自ら進んで愚鈍化している」
exciteニュース 2016年6月5日 週プレNEWS
https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_20150523_48231/