■日本の「医療崩壊」は偽善の政治的産物?
ビッグローブニュース(JBpress)2021年1月21日
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0121/jbp_210121_5832863708.html
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東京慈恵会医科大学外科統括責任者で対コロナ院長特別補佐・大木隆生教授(血管外科医)は、大事なことはコロナによる死者を減らすことだという。
重症化した人が最終的にICUに入ることができ、人工呼吸器やECMOを使えるなら、救えるはずの命が救えない事態は防げるわけで、このための手段を講じるべきだと主張する。
東京都はベッド4000床のうち三千数百が埋まっており使用率は9割、ICUベッドも250床のうち129床(1月10日)が埋まっており5割超と述べてきた。
ところが教授の調査では、ベッド数自体は都内に10万6240床、また都内のICUとHCU(準集中治療管理室)は2045床あり、これを分母とすると、使用率は3.3%と6.5%でしかないという。
ベッド4000床とICU250床は東京都が慈恵医大(8床)などの医療機関に問い合わせて出てきた数値でしかないが、国民はベッド使用率9割、ICU使用率5割超に仰天し、政府は国民の反応も考慮して緊急事態宣言を発出するなどしている。
日本全国のICUは1万7377床で、重傷者数は850人で、使用率は4.9%であり、大木教授は50%を目安に、オールジャパンの態勢を構築すべきだと主張する。
米国ではICU患者が2万人強(日本の人口に換算して8000人)、英国ではベッドの28%がコロナ患者に使われ(日本に換算すれば2万8000床)、ICU1380床(日本換算2117床)のところに1300人の患者で埋まっているが、米英とも医療崩壊には至っていないと教授は述べる。
そもそも2類感染症相当は致死率が高く、未知で、治療法がない病気を念頭に置いているが、1年が過ぎ、治療薬もいくつか見つかり、ワクチンも開発され接種が始まっている。
そこで、大木教授は「第2類から格下げすれば、国民に向けて、正しく恐れ、十分に注意しながら経済も回そうというメッセージになる」「より多くの病院が新型コロナの治療に参加できる」と語る。
日本にはICUを完備しコロナ患者の受け入れ可能な病院が1000ほどあるが、2類相当指定で310の病院しか受け入れていないし、2類相当を外せば残り700弱の病院もコロナ患者の受け入れが可能となるという。
慈恵医大でも660人の医師がおり、ナースは1000人ほどいるが2類相当が障害となって、新型コロナに直接対応している医師は数十人、看護師は60人だという。
「日本医師会の会員大多数は勤務医ではなく開業医で、新型コロナの治療にはほとんど参画できていない」が、指定が外れれば「在宅、ホテル療養している患者のケアに、もっと積極的に関与できます」と教授は語る。
・医療崩壊は医師会や専門家の演出か?
ここで、日本医師会(以下日医)や政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(以下分科会)の見解を見てみよう。
前出「週刊新潮」には「『悲壮の仮面』の裏で『コロナ患者』を受け入れない〝顔役″」の記事もある。
これによると、日医の執行部の大半は開業医で勤務医の意見はなかなか尊重されないという。
そして「日医が開業医の既得権益を守っている結果、コロナの負担が大病院に集中してしまっている。(中略)現状、軽症でもコロナや発熱患者を受け入れない開業医がほとんど」と、医療関係者が語っている。
別の病院関係者は中川会長がいうべき言葉は「医療崩壊の危機だから〝自粛″しましょう」ではなく、「開業医もコロナやグレーの患者を受け入れましょう」というべきだと語る。
「民間病院はコロナ患者の受け入れが少ない」と記者会見で指摘された時、中川会長は「コロナ患者を診る医療機関と通常の医療機関が役割分担をした結果だ。
民間病院は面として地域医療を支えている」と「苦しい言い訳をした」そうであるが、会長自身が開業医だと明かす。
同様に、分科会の尾身茂氏が理事長を務める独立行政法人「地域医療機能推進機構」が東京都内で運営する5つの病院の病床数は1532床、首都圏に緊急事態宣言が発出される前日(1月6日)時点でのコロナ患者専用の確保病床数は84床、受け入れコロナ患者は57人となっていた。
厚労省関係者によると、がん研有明病院は昨年末まではコロナ患者を受け入れない方針できたが、今は40床、病床比率で5.8%をコロナ患者用にし、東海大付属東京病院は入院患者すべてを他へ転院させた上で全99床をコロナ病床にしたという。
対して、分科会長傘下の病院のコロナ用病床は5.5%で、有明病院の比率よりも低い。
厚労省関係者が「〝首都圏は感染爆発相当″などと国民の不安を煽っている彼は、実はコロナ患者受け入れに消極的」と述べ、5.5%を「非協力的な証拠」だと語る。
・おわりに:政府が主導できないもどかしさ
中川会長や尾身分科会長のような利益代表ではなく、こうしたときにこそ、本来は最高の知能集団であり、政府の諮問機関でもある日本学術会議がすすんで提言などを出すべきなのではないだろうか。
菅義偉政権になってからもコロナは収まるどころか、拡大の勢いを増している。
そこで、強制力を持つ罰則が考慮に挙がっており、国会の開始(1月18日)をもって提案された。
法案の成立施行までには紆余曲折が予測され、この間、最高責任者が即座に決心できない状況が続いているわけである。
1次感染時は適用法律の改正までに約40日を要したが、今次の法改正もその轍を踏んでいる日本である。
新型コロナウイルスの位置付け見直しはすでに昨年8月頃から出ていた。
しかし、いまだに行われていない。
総合的な観点からの検討が必要なことは言うまでもないが、緊急事態条項などの欠落から派生して、政治(政府ではない)の機能不全がもたらす国家の危機ではないだろうか。
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■日本の「医療崩壊」は偽善の政治的産物?
ビッグローブニュース(JBpress)2021年1月21日(木)
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0121/jbp_210121_5832863708.html
■山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信(2020年1月8日)
大隅先生、大村先生、本庶先生との声明
https://www.covid19-yamanaka.com/index.html
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声明
過去一年に渡るコロナ感染症の拡張が未だに収束せず、首都圏で緊急事態宣言が出された。
現下の状況を憂慮し、我々は以下のような方針を政府に要望し、実行を求める。
・PCR検査能力の大幅な拡充と無症候感染者の隔離を強化する
・ワクチンや治療薬の審査および承認は、独立性と透明性を担保しつつ迅速に行う
・今後の新たな感染症発生の可能性を考え、ワクチンや治療薬等の開発原理を生み出す生命科学、およびその社会実装に不可欠な産学連携の支援を強化する
・科学者の勧告を政策に反映できる長期的展望に立った制度を確立する
2021年1月8日
大隅 良典
大村 智
本庶 佑
山中 伸弥
(五十音順)
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■山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信(2020年1月8日)
大隅先生、大村先生、本庶先生との声明
https://shard.toriaez.jp/q1541/749.pdf