子宮頸がんワクチン反対派の大学教授、副作用薬メーカーから多額寄付受領
biz-journal 2018.05.19
https://biz-journal.jp/2018/05/post_23385.html
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米国で、Dollars for Doctorsというサイトが話題になっています。
直訳すれば「医師に渡されたドル」です。
医師が製薬会社から受け取ったお金を公表する制度ができ、米国のNPOがそれをまとめているサイトで、「あなたの主治医は製薬会社からお金をもらっていますか?」という書き出しがショッキングです。
同サイトによると、過去1年間で2,000億円が全米の医師に支払われたとのこと。
ほとんどが、いわゆる研究費ではなく、講演料、旅費、食事代、贈り物、印税などでした。
医師は、基本的に病院から給料をもらっていますから、製薬会社から受け取ったお金は、(違法かどうかは別にして)薬を処方したことに対する謝礼、つまりリベートということになります。
処方箋は、高度な専門的判断に基づいて、医師が患者の利益のために書くものです。
したがって医師の労働に対価が支払われるのは当然としても、さらに商品を販売する会社からリベートを受け取っているという事実は、企業の利益も考慮していることを意味しています。
このように社会の利益を遂行すべき仕事に携わる人が、特定の企業または人に対する利益も配慮している状態を「利益相反」といいます。
英語の頭文字から「COI」とも表現します。
私自身がこの言葉に最初に接したのは、今から40年ほど前、学術論文を初めて米国の専門誌に投稿したときでした。
COIの有無を論文中に書けという指示で、日本語訳もまだなかった時代、何を書けばよいのかわからず困ったのを覚えています。
利益相反が混乱に拍車
最近では、世界中のほぼすべての専門誌で、論文の最後に利益相反の有無を記載することを著者に求めるようになりました。
たとえば日本の製薬企業が開発した中性脂肪の薬に関する論文には、同社から支出された費用で調査が行われ、著者の1人には米国の学会で発表した際の出張旅費が支払われたと書かれていました。
同じく日本の製薬会社が製造・販売する高コレステロール治療薬に関する英文論文のひとつは、3人の大学教授が執筆者として名前を連ねています。
論文の最後に、「著者の全員が、製薬会社よりコンサルタント料、講演料、それに旅費を得た」と書いてありました。
この論文は、薬の効果や副作用を論じたものではなく、「この薬の服用とともに、生活習慣改善の努力を長く続けた人ほど、検査値は良くなっていた」という、当たり前のことを結論したものでした。
学術論文として意味不明であり、単に薬を宣伝するための研究ではなかったのか、著者として名前を連ねた人たちには、社会に向けて説明する責任があるでしょう。
日本の製薬会社が開発したある糖尿病治療薬に、副作用で膀胱がんが増えるとの指摘が海外でなされたことがあります。
その指摘に対し、長期間にわたって観察を続けたところ膀胱がんは増えていなかった、と結論した論文が発表されました。
その著者として5人の名前が載っているのですが、うち筆頭著者は製薬会社から講演料と旅費の支給を受け、また他の4人は全員が同社の現社員か元社員である、と論文の最後に記されていました。
世界各国で発行されている医学専門誌の投稿規定によれば、企業との間で金銭授受があっても、論文内に明記しさえすればよいことになっていますので、どの論文も国際的な規範に従って正しい処理がなされていたことになります。
しかし、明記さえすれば済む話なのでしょうか。
子宮頸がんワクチンの副作用は本物か、というテーマを追いかけた良書があります。
それによると、ワクチン接種に反対している人たちの主張のひとつは、接種を勧める研究者がメーカーと癒着しているからだそうです。
ところが、反対派の中心になっているある大学教授が、ワクチンの副作用に使う薬のメーカーから多額の寄付を受けていた事実も暴露されました。
利益相反が世の中の混乱に拍車をかけているのです。
英国のケンブリッジ大学が編纂している英英辞典によれば、COI(利益相反)とは「結果について忖度が働き、フェアな判断ができない状態」だそうです。
何やら、今世間を騒がせているさまざまなドタバタ劇にも関係ありそうですね。
(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)
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子宮頸がんワクチン反対派の大学教授、副作用薬メーカーから多額寄付受領
biz-journal 2018.05.19
https://biz-journal.jp/2018/05/post_23385.html
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