oonoarashi’s blog

日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ(Dr.苫米地 2016年9月15日TOKYO MXバラいろダンディ) https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI

【日銀が円安に追い込んでいるとしか見えない!日銀黒田総裁は反日・売国なのか?】通貨の番人たる一国の中央銀行にとってもっと重要なことは自国通貨価値を維持すること


■これまでとまったく違うヤバい円安が起きている~デフレマインドに支配されているのは日銀だけ~

東洋経済 2022/04/02  小幡績 : 慶應義塾大学大学院准教授

https://toyokeizai.net/articles/-/578849

 

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円安はヤバい。

このままでは、日本経済は破綻への道をまっしぐらだ。


・これまでとまったく違う円安が起きたワケ


3月28日、為替は一時1ドル=125円を突破した。

これは、10年物国債利回りが0.25%に上昇したため、日銀は複数日にまたがって国債を決まった利回りで無制限に買い入れる連続指し値オペを初めて実施すると発表したことによる。

つまり、日銀は、長期金利を抑え込む姿勢を鮮明にし、為替トレーダーは、アメリ中央銀行であるFEDとの方向性の違いが改めて鮮明になったことを嫌ったのだ。


29日、岸田文雄首相は原油価格・物価高騰への総合緊急対策を4月末までに取りまとめるよう関係閣僚に指示した。

そして、30日には、官邸に黒田東彦総裁が呼ばれ、岸田首相と1時間会談した。

これを受けて、円は1ドル=121円台まで戻した。


わざわざ誰もが知っているこの数日の円の大幅下落と乱高下を改めて描写したのは、今回の円の大幅下落は、これまでの円安局面とまったく違うことを改めて示すためである。


それは、ほぼすべての日本の人々が、円安を悪いことだと思っているということだ。

政治家たちまでもが、円安を止めるために躍起になっているのだ。

これは画期的だ。


そして、さらに驚くべきことは、その中で、日銀だけが円安を指向しているということだ。

これは、日本の戦後において初めての状況であり、まさに歴史的転換点なのである。


さらに、さらに、最悪なのは、これはあるべき姿の正反対であることである。


つまり、本来あるべき姿=通貨の番人たる一国の中央銀行にとってもっと重要なことは、自国通貨価値を維持すること、守ることであり、通貨価値を安易に毀損しようとする政治的勢力と戦い、通貨を「ポピュリストたち、経済を理解していない人々」から守り、価値を死守することが、唯一最大の役割なのである。


そのために、中央銀行の政治的独立性が重要なのであり、日本銀行も独立性を獲得するために、悲願だった日銀法の改正を21世紀に入る寸前、1997年になってようやく達成したのである。

 

・「通貨の番人」が自ら通貨価値を下落させようとした


それにもかかわらず、皮肉なことに、日銀自らが通貨価値を下落させることに躍起になり、政治家たちがそれを止めようとしているのである。

これがこの世の終わり、日本経済の終わりでなくて何であろうか。

これがヤバいことは、経済の素人にも一目瞭然である。

具体例も目の前にある。ロシアのウクライナ侵攻が起こる前の世界のリスクといえば、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の「ご乱心」によって「トルコリラの暴落を止めるため」などと称して、中央銀行金利を下げさせて、暴落が大暴落を呼んでいたことだった。


つまり、トルコの破綻が新興国の通貨市場、金融市場に波及することを恐れていたのであった。

通貨価値が下落するとどれだけ悲惨になるかということは、トルコ経済を見ればわかる。

さらに、ロシアもルーブルが暴落し、この防止が最優先で、ウラジーミル・プーチン大統領は、原油天然ガスの支払いにルーブルを強制しようとしたが、これもルーブルの価値を回復するためであった。


そもそも、自国通貨は強いほうが良い。

これは、経済学においては、はっきりと成立している。

そして、実際の経済においても、明白だ。

短期的な雇用維持、あるいは目先の需要喚起として、一時的には自国通貨が弱いことのメリットがある場合があるが、それを続けていれば、国富が目減りし、経済は衰退する。

これは、「日銀は庶民が苦しむ円安政策をすぐ変更すべきだ」でも書いた通りだ。


しかし、事態はより深刻である。本当にヤバいのである。

その理由は、冒頭で述べたように、日銀が、あえて円安が進むような金融政策をとったからである。


無制限指値オペの連日の実行だけでなく、それ以外の通常の国債買い入れを倍増させ、さらに、イールドカーブコントロール政策で明示的に約束している10年物の国債だけでなく、それ以上の満期、20年物などの超長期債までも、買い入れの予定になかったにもかかわらず、急遽買い入れを行ったのである。

 

・日銀だけがあえて円安を指向した


これは、大事件だ。

これを行えば、円が急落することは当然予想されたはずである。


しかし、それでもあえて行ったのである。

しかも、明示的にコミットしている10年国債金利0.25%を死守するだけでなく、それ以上の期間の金利をも低下させようと、積極的にサプライズを起こした買い入れを行ったのである。


これは、大事件どころか、「大大大事件」である。

なぜ、こんなことを日銀が行ったのか。


日銀は、これまでも金融政策に失敗したことは何度かある。

もっとも大きなものは、1985年のプラザ合意後の急激な円高に対して、金融緩和を継続したことである。

この結果、国内不動産市場、株式市場、そして実体経済にも、日本の歴史上最大のバブルに拍車をかけることになった。

これは、円高不況と言われ、政治的に「何がなんでも円高を止めろ」、という政治の圧力に抵抗できなかったからである。


これは失敗だが、当時としてみれば仕方がない面もあり、理解できる。

しかし、今回は、政治的な圧力は逆方向なのである。


輸入価格の高騰による物価高を抑える、

そのために円安はなんとしても抑える、という政治的圧力なのである。


しかし、それに抵抗して、円安を指向したのである。

しかも孤軍奮闘して、日本銀行だけが円安をあえて指向したのである。


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これまでとまったく違うヤバい円安が起きている~デフレマインドに支配されているのは日銀だけ~
東洋経済 2022/04/02  小幡績 : 慶應義塾大学大学院准教授
https://toyokeizai.net/articles/-/578849

 

 

 

 

 

 

 

 

■異次元緩和が日本に与えた「二つの深刻な副作用」~元日銀理事が語る「経済の急所」~

毎日新聞 2021年11月19日 山本謙三・元日銀理事、金融経済イニシアティブ代表

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20211110/biz/00m/020/001000c

 


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金融政策の罪と罰(2)


異次元緩和の副作用を巡る議論は、高インフレが起きるかどうかに力点が偏りがちだ。

「8年半やっても物価が上がらないのに、将来の高インフレを心配するのはばかげている」といった議論である。


しかし、副作用は物価だけではない。

土地や株式といった資産価格から、金融システムや実体経済まで広範に及ぶ。


副作用が広範に及ぶのは、考えてみれば当たり前だ。

異次元緩和とは、巨額の資金供給と超低金利を通じて経済に働きかけるものだ。


現在日本銀行は「短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%」という政策金利を掲げている。

これだけの超緩和的な金利を長期にわたって続ければ、副作用も当然大きくなる。


以下、私がとくに深刻と考える副作用を二つ指摘する。

一般の国民には目に見えにくい副作用と、目に見えやすい副作用だ。

 

・第一の副作用「生産性の低下」


まず、目に見えにくい副作用から説明する。

経済の生産性に与える悪影響である。


大量の資金供給と超低金利の継続は、企業の資金繰りを緩和すると同時に、成長性の低い企業の延命にもつながる。

長く続ければ、新陳代謝が遅れ、経済の活性化が妨げられる。


金融緩和は、もともと将来予定している消費や投資を現在に「前借り」してくる政策である。

企業で言えば、投資案件を前倒しして行うといったことだ。


ところが、金融緩和の当初は、高い生産性が見込める投資を前倒しで行ったが、金融緩和が長く続く間に、次第に生産性の低い投資案件が中心になった。

「前借り」の効果が限界に近づいたのだ。


2010年代の後半に日本の生産性低下が加速した主な理由の一つは、長く続けてきた異次元金融緩和ではないか。

異次元緩和が生産性を低下させるリスクは財政面にも波及している。


日銀による国債の大量購入は、いつでも資金調達できる安心感を政府にもたらし、財政規律を弛緩(しかん)させかねない。

規律が失われれば、非効率な支出に歯止めがかからなくなる。


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異次元緩和が日本に与えた「二つの深刻な副作用」~元日銀理事が語る「経済の急所」~
毎日新聞 2021年11月19日 山本謙三・元日銀理事、金融経済イニシアティブ代表
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20211110/biz/00m/020/001000c

 

 

 

 

 

 

■異次元緩和、円安が招く消費悪化リスク

NIKKEI STYLE(日経新聞)2019/5/13 加藤出(東短リサーチ社長チーフエコノミスト

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44558330Z00C19A5000000/


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日銀が異次元緩和を打ち出してから2019年4月で7年目に入った。

円相場は異次元緩和開始前の1ドル=95円程度から円安が進み、足元では110円前後で推移している。


日銀は公式には金融政策の目的は物価の安定であって為替相場ではないとの立場だが、大幅な金融緩和が結果的に円相場の下落につながることを意識しながら政策を運営しているといえるだろう。


こうした実質的な円安誘導策が輸出企業を中心に企業収益を支え日本株の上昇要因となった面はあるが、デメリットがあることも指摘しておきたい。

 

・変化した物価への意識


「消費動向調査」(内閣府)に物価の見通しを尋ねる質問がある。

「上昇する」との回答から「低下する」を差し引いたDIがグラフの赤い線である。


これをみると、16年秋以降上昇傾向が続いている。

同調査で「1年後の物価は上昇する」と回答した世帯に物価上昇率の予想を尋ね、上昇率ごとの回答比率をまとめた表をみてみよう。


16年8月から19年3月にかけて全般に数値が高い方向へシフトしているのが見てとれる。

年率2%のインフレ目標を達成するには人々のインフレ予想の上昇が不可欠と考えている日銀にとっては、これは喜ばしい変化といえる。


このインフレ予想の背景には、日銀の事実上の円安誘導による生活コストの上昇が存在していると考えられる。

国際通貨基金IMF)が推計する購買力平価ドル円レートは18年が1ドル=98.14円で、19年は97.02円だ。


これは日米で物価がおおよそ同水準になる理論上の為替レートを示すが、近年の実際のレートは大幅な円安で推移してきたといえる。

これによる食品価格などの顕著な上昇の印象が、国民のインフレ予想に影響を及ぼしている。

 

・消費心理は振るわず


しかしながら前掲グラフの「消費者態度指数」(青い線)と「暮らし向き指数」(黄色い線)はここ最近悪化の一途をたどっている。


日銀はインフレ予想が高まれば国民は消費を拡大するはずと考えてきたが、皮肉なことに消費マインドは全く逆の動きを見せている。

収入の伸びが緩慢で家計の値上げ許容度が高まりにくい中で生活必需品の価格が円安などで上昇すると、それ以外の消費に節約が生じかねない。


これではインフレ率の上昇に弾みはつかないことになる。

変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価総合指数(コアコアCPI)の前年同月比は直近3カ月連続で0.4%にとどまっている。


2%のインフレ目標は相変わらず遠い状態だ。

政府は現時点で19年10月1日に消費税率を8%から10%へ引き上げる方針だ。


財政収支は人口減少と高齢化によって今後の大幅な悪化が予想されることを踏まえると、よほどの経済ショックがない限りは消費税率引き上げは延期せずに実施しておくべきだと筆者は考えている。

前回14年4月の引き上げ時は、その後に消費の悪化が長く続いた。


今回は前回ほどの打撃にはならないだろうという見方が一般的には多い。

主な理由としては(1)増税による家計の負担増をある程度和らげる措置が今回は用意されている、(2)駆け込み需要およびその反動は前回ほど大きくならない見通し、(3)前回は社会保障費負担の増加も重なっていた、などが挙げられている。


ただし、今後注意が必要なのが為替レートの動向だ。

黒田東彦日銀総裁の異次元緩和策が開始される直前の13年3月を100とした物価水準の変化を示したグラフをみてみよう。


日銀が重視するコアコアCPIは14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際、103前後に上昇した。

その後は非常に緩やかなペースの上昇が続いている。

 

・生活必需品の価格が上昇


一方で食料価格はコアコアCPIよりも早いペースで上昇し、14年秋に107近くに達した。

その後も上昇トレンドは続いている。


14年夏まではガソリン価格も顕著な上昇をみせていた。

つまり生活必需品が消費税率引き上げだけでなく、円安や原油価格上昇の影響も受けて急騰していたのである。


賃金の伸びが緩慢な中で生活コストが急上昇すると消費は強い打撃を受けやすい。

日銀の円安誘導は裏目に出たと考えられる。


リフレ派エコノミストは14年後半以降の原油価格下落がなければインフレ目標は達成されていた」とよく主張するが、仮に原油価格が低下していなかったら当時の消費はより悪化していたと推測される。

食料価格は最近、111~112近辺にある。コアコアCPIは105前後だ。


多くの生活者が実感してきたインフレはコアコアCPIが示しているものより高めに推移してきたといえるだろう。

米国の食料価格の推移と比べると、この6年間の日本の食料の値上げがいかに急だったかが実感できるだろう。


19年秋にかけてもし円安が進んだら、それによる生活コストの上昇が日本国民の消費マインドを萎縮させる可能性がある。

そこに10月の消費税率引き上げが重なると消費はさきに述べた一般的な想定よりも悪くなるリスクがある。


逆に円高方向に進んだら、株価の下落による逆資産効果で富裕層の消費は沈滞し得るものの、他方で大多数の消費者は生活コスト低下の恩恵を受ける可能性がある。

 

・加藤出
1965年生まれ。88年横浜国立大学経済学部卒、同年4月東京短資入社。短期市場のブローカーとエコノミストを兼務後、2002年2月に東短リサーチ取締役、13年2月より現職。マーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、中国人民銀行などの金融政策を分析する。著書に「日銀、『出口』なし!」(朝日新聞出版、14年)など。


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異次元緩和、円安が招く消費悪化リスク
NIKKEI STYLE(日経新聞)2019/5/13 加藤出(東短リサーチ社長チーフエコノミスト
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44558330Z00C19A5000000/

 

 

 

 


指値オペって、なに? なぜ円安に?

NHK 2022/3/29

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20220329.html


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日銀は長期金利の上昇を抑えようと、3月29日から3日間「連続指値オペ」と呼ばれる措置に踏み切りました。

これに反応して円相場が急落し、およそ6年7か月ぶりに1ドル=125円台まで値下がりしました。

そもそも「指値オペ」って、なに? どうして円安が加速したの?(経済部記者 加藤ニール)

 

ーーー日銀が「指値オペ」に踏み切ったと、ニュースで見ました。そもそも「指値オペ」って、なんですか?


加藤記者:

日銀は、国債社債などの売買を通して、日々、金融市場のお金の流れを調整する公開市場操作=オペレーションを行っています。

日銀や市場関係者は略して「オペ」と言っています。

指値オペ」は、日銀が利回りを指定して(=指値)、国債を無制限に買い入れる措置です。

通常の国債買い入れオペでは、買い入れ金額を例えば4250億円などと明示して実施しますが、指値オペは金額に制限をつけず買い入れるもので、特別かつ強力な措置と言えます。

 

ーーー普段から通常のオペで国債を買っているのに、どうして特別なオペが必要なんですか?


加藤記者:

指値オペには、長期金利の上昇をブロックする効果が期待できるからです。

国債金利は「国債が売られると金利が上がり」、「国債が買われると金利が下がる」という関係にあります。

国債を売買する債券市場では、アメリカが金融引き締めに転じて利上げに積極的な姿勢を打ち出した影響で、このところ日本の国債が売られる動きが強まり、長期金利が上昇傾向にあります。

一方で、日銀は長期金利の上昇を抑えたい立場です。

今の金融緩和策の一環で、長期金利(=10年もの国債の利回り)を0%程度にするとしていて、具体的にはその変動幅を「±0.25%程度」にするとしています。

ところが長期金利が上昇を続け、この変動幅の上限に近づいたため、指値オペを実施することを決めたのです。

今回指定した利回りは「0.25%」。

指値オペを実施すれば、仮にどんなに国債を売る動きが強まったとしても、日銀がすべて利回り0.25%で買い取ることになるため、事実上長期金利を0.25%に固定し、それ以上に上昇するのをブロックできるというわけです。

 

ーーー「連続指値オペ」ということばも、ニュースで見ました。どう違うのですか?


加藤記者:

指値オペは1日のみですが、「連続指値オペ」は一定の期間に指値オペを繰り返し実施するもので、長期金利の上昇をより強く抑え込む効果が期待できます。

今回は、3月29日から31日まで3日間にわたる連続指値オペに踏み切りました。

2021年3月に導入された新しい措置で、今回が初めての実施となりました。

 

ーーー日銀の指値オペがきっかけとなって円安が進んだと聞きました。どうしてですか?


加藤記者:

一連の指値オペで、日銀が長期金利の上昇を抑え込み、金融緩和を継続することが鮮明になったからです。

利上げに積極姿勢を示すアメリカとは対照的で、日米の金利差が拡大することが強く意識されたことで、円を売って、より利回りが見込めるドルを買う動きが強まりました。

特に3月28日は、指値オペの実施が公表されるたびに大きく円安方向に動いた結果、1ドル=125円台まで値上がりし、6年7か月ぶりの円安水準となりました。

 

ーーー確かに長期金利の上昇をブロックできるかもしれませんが、国債を無制限に買い入れる措置だけに、ずっと続けることは難しいのでは?


加藤記者:

すでに日銀は、発行されている国債1220兆円のうち、4割にあたる530兆円を保有しています。

ただし、長期金利上昇を抑えるために日銀が過剰に国債を買い続ければ、市場の金利調節機能が妨げられるのではないかという指摘もあります。

また、アメリカは今後利上げを加速していくと見られ、長期金利の上昇圧力もさらに強まる可能性があり、指値オペ金利上昇を抑え続ければ、円安がさらに進むという見方も出ています。

日銀は「円安は日本経済全体にとってプラスだ」という立場ですが、エネルギーなど原材料価格が高騰しているため、輸入物価の値上がりにつながり、家計や企業のデメリットも大きいという懸念も出ています。

しかし、賃上げなど経済の好循環が実現するまで金融緩和を継続するとしているだけに、円安回避のため利上げなどに転じる環境ではなく、日銀としても難しいかじ取りを迫られています。


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指値オペって、なに? なぜ円安に?
NHK 2022/3/29
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20220329.html

 

 

 

 

 

■日銀の指し値オペによって円安が加速し、ドル円は125円台に急上昇、何が起きてこれからどうなるのか

Yahoo!ニュース 2022/3/28 久保田博幸金融アナリスト

https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20220328-00288783


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25日に米国の中央銀行にあたるFRBのなかでも重要ポストでもあるニューヨーク連銀の総裁が、0.5%の利上げが適切ならばそうすべきだと述べ、次回のFOMCで0.5%以上の利上げが確実視された。


これを受けて25日に米国の長期金利は一時2.50%と2019年5月以来の水準に上昇した。

欧州の長期金利も軒並み上昇した。


28日の東京市場では米長期金利の上昇を受け、日本の長期金利前場に0.245%まで上昇し、日銀は指し値オペをオファーした。

しかし、0.250%はつけなかったことで、このオペの応札額はゼロとなった。


後場に入り東京時間の米長期金利が2.53%に上昇するなどしたことで、日本の長期金利は0.250%と2016年1月6日以来の水準を付けた。

これを受けて日銀は同日で2度目となる指し値オペをオファー。


こちらは0.250%を付けていたことで、645億円の応札があった。

金融機関の応札分を原則全て買い入れる指し値オペで実際に買い入れたのは2018年7月以来3年8か月ぶりとなる。


いずれにしても日銀は日本の長期金利を0.250%で抑える姿勢を明確にした。

このため日銀(異次元緩和)とFRB(正常化から引き締め)の金融政策の方向性の違いが顕著となり、ドル円は28日の午前中に123円台に上昇してきた。


この方向性の違いとは、金融政策で異常な緩和のままの日銀に対しFRBは今後、利上げを加速することで生じる。

政策金利である短期金利が日本はマイナス、米国はプラス幅拡大となる。


長期金利は日本が0.250%で押さえ込み、米国はすでに2.5%となりこちらも格差が拡大中。

お金は金利が高い方に向かいがちとなり、それはつまり円を売ってドルを買う動きを強めることになる。


日銀はさらに追加の政策を実施してきた。

複数日にまたがって国債を決まった利回りで無制限に買い入れるという秘策、「連続指し値オペ」を実施すると発表したのである。


同オペの実施は2021年3月の導入決定以来初めてとなる。

このような際に使えると準備していた政策を実行に移した格好となる。


指し値オペで無制限に国債を買い入れる、つまりこれは量的緩和策の再来ともなる。

それを連続で行うという強力なオペレーションを打ち出したことで、日米の金融政策の方向性の違いがさらに顕著となり、外為市場では円安が急加速した。


ドル円はあっと言う間に6年7カ月ぶりとなる125円台に上昇してきた。

円安は輸入物価の上昇を通じて消費者物価の上昇要因となる。


携帯電話料金の引き下げによる影響が4月から剥落するとともに、エネルギー価格や食料品価格などの上昇で、4月の消費者物価指数(除く生鮮)の前年同月比2%以上の上昇が予想されている。

日銀はさらなる円安にすることで2%を確実にさせようとしたようにもみえなくもない。


ただし、日銀の黒田総裁はコストプッシュによる物価上昇での2%の目標達成でもあくまで一時的なものとの認識であり、緩和の修正などはありえないとしている。

数値上の2%の目標が達成されようと緩和の手綱は緩めない姿勢を示している。


これはさらなる円安を招き、物価への上昇圧力も加速させる可能性がある。

債券市場では日銀が押さえ付ける10年債までの国債利回りと、20年、30年、40年という国債の利回りの格差が今後さらに広がる可能性が出てきた。


これは日本の国債利回りの形成を歪にさせかねない。

これまでは日本の物価上昇が低位で推移していたことで、国債利回りを日銀がさも押さえ付けられていたように見えたが、現実には長期金利を含めて、本来の国債利回りは市場で形成されるものである。


これを無理に押さえ込むと当然ながら弊害が今後大きくなりかねない。

円安による副作用が心配になると為替介入を期待する向きも出よう。


為替介入は言うまでもなく日銀管轄ではなく財務省管轄ではある。

円安加速の張本人が日銀であるならば、どうしてその尻拭いを財務省が行わなければならないのかという疑問も当然生じよう。


また、為替介入で円安が止まる保証もない。

日銀が緩和修正はしたくないとの気持ちもわからないではないものの、そもそも2%の物価目標達成に無理があった。


つまり本当に2%を達成するというのは、日本の物価に余程の上昇圧力が加わっているということにもなりうる。

足下物価の上昇によって、日銀が言うところのデフレマインドが払拭するのかもしれないが、それはつまり急速なインフレマインドへの変化となる危険性も秘めている。


日銀など中央銀行の金融政策にとって本来必要となるのが柔軟性なのだが、現在の日銀はそれをなくしてしまっており、次第に日銀が追い込まれる懸念も強まる。

現状は日銀が円安に追い込んでいるとしか見えないのではあるが。


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日銀の指し値オペによって円安が加速し、ドル円は125円台に急上昇、何が起きてこれからどうなるのか
Yahoo!ニュース 2022/3/28 久保田博幸金融アナリスト
https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20220328-00288783

 

 

 

 

金利上昇なら債務超過も 袋小路の日銀がいまだに金融緩和を唱える隠された理由

論座 2022年04月28日 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

https://webronza.asahi.com/business/articles/2022042600007.html


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・「インフレ下の低賃金」が定着した日本


3月の消費者物価指数が前年比0.8%上昇したのに対し、企業物価指数は9.5%も上昇した。

今は企業が物価上昇の痛みを負担している形だが、いずれ限界がきて消費者物価に転嫁される。


日本銀行黒田東彦総裁は「この物価上昇は持続しない」(4月22日の米国講演)と語るが、コロナ禍もウクライナ侵攻も長期化が予想され、物価のすう勢は変わらないだろう。


一方、今年の春闘は賃上げ率が例年並みの2%強にとどまり、「インフレ下の低賃金」の構図が定着。

生活はじりじり苦しくなっている。


円安の直接的な理由は、米国が長年の金融緩和・低金利政策に終止符を打ち、正常化とインフレ抑制に向けて強力に動き出したことにある。


米国はゼロ近辺だった政策金利を3月に0.25%上げた。

5月には0.5%上げ、年内に3%程度にする見通しだ。

金融緩和で膨らんだ保有資産を圧縮する「量的引締め」にも進む。

 

・日銀は「指し値オペ」で低金利を市場に徹底


一方、日本は9年前にアベノミクスが始まって以来、低金利と金融緩和を今も続けている。

このため日米の金利差が拡がり、投資家は低金利の円を売って金利が高いドル資産(米国債など)を買っている。

これで円安(ドル高)が進む。


ところが日銀は円安に歯止めをかけるのではなく、逆に拍車をかけるような対応をしている。


4月下旬に行った「指し値オペ」がそれである。

10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れるという市場操作で、「金利は0.25%以上には上昇させない」と宣言したのに等しい。

投資家は安心して一層の円売りに走った。


黒田総裁や鈴木財務相は「急速な円安は好ましくない」「悪い円安だ」と、円安を口先でけん制しているが、市場では誰も本気にしていない。

 

・発行国債の半分を保有金利上昇なら巨額の評価損


日銀や政府が、円安・物価高の原因である金融緩和の是正に動こうとしない理由はなにか――背景にあるのは、日銀の財務内容の異常な悪化である。

日銀はこの9年間、金融緩和策に沿って国債を買い続け、資金を政府と市場に供給してきた。

その結果、保有する国債残高は長期・短期合わせて528兆円に膨らみ(上のグラフ)、発行国債の約半分を占めている。


このうち長期国債(503兆円)の平均利回りは0.226%(21年度上期決算)である。

現在の市場の長期金利もこれに近い水準にある。


ところが、仮に金融正常化に移行して1%でも長期金利が上昇する(価格が下がる)と、日銀には「逆ザヤ」が発生する。

発行国債の半分を保有するので膨大な額(兆円単位)の評価損が生じる。


9年間の金融緩和で、日銀の財務は金利上昇に対して極めて脆弱になった。

この裏事情が知れ渡れば、国債も円も日銀自身も信認を失うだろう。


日銀が4月に「指し値オペ」で長期金利を抑え込んだのは、5月末の決算公表を前に評価損発生を防ぐのが目的だったという見方が出ている。

さらに7月に参院選を控えているという政治判断があったのかもしれない。

 

当座預金でも巨額の損失、債務超過の恐れ


また日銀の当座預金口座には、銀行などから、緩和されても使い道のない余剰資金が預けられている。

9年間で残高はどんどん膨らみ、541兆円に達している。


日銀が金利を上げる場合は、この当座預金に支払う金利を引き上げる手法をとる。

仮に正常化して金利を1%引き上げると、日銀の支払い金利は5.4兆円増える。

日銀の年間純利益は約1.2兆円なので、損失の垂れ流しが始まり、簡単に債務超過に陥ってしまう。


これでは永遠に金融正常化に移行できない。

これほどの金利上昇リスクを抱えた中央銀行は先進国に例をみない。


同じ問題は政府の財政にもある。

金融緩和によって国債の発行残高は1000兆円を超えた。

財務省の試算では、1%の金利上昇でも国家予算の利払い費は6、7年後に約10兆円増える。

この費用をどのように捻出するのか、こちらも深刻な問題だ。

 

・進むも退くもできない袋小路に


円安の進行を放置すれば物価は上がる。

かといって円安・物価高を抑えるために正常化(金利上昇)に向かえば、日銀の巨額の評価損や債務超過が現実になる。

政府財政もひっ迫する。


つまり今、日銀は現状放置も正常化もできない袋小路に入ってしまった。

ひたすら物価上昇が一時的で終わるのを願っている。

投機筋から足元を見られている。


日銀が毎年出す「金融政策の点検」は、エコノミストらの再三の指摘にもかかわらず、自らの財務悪化に一切触れようとしない。

国民の目からそらしているとしか思えない。


円安の元をたどれば、日本の経済停滞、国力低下という構造的な要因に行き当たる。

「日本売り」という表現が流行っている。

人口減少、貿易収支の赤字、財政規律の緩み、日銀の財務悪化等々……。


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金利上昇なら債務超過も 袋小路の日銀がいまだに金融緩和を唱える隠された理由

論座 2022年04月28日 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

https://webronza.asahi.com/business/articles/2022042600007.html

 

 

 

 

 

 

 

 

■「日本株の堅調を喜んではいけない」日銀の"爆買い"の末路は地獄だけだ

~他国の中銀は株式を買っていない~

PRESIDENT Online 2020/12/14

https://president.jp/articles/-/41310?page=1

 

 


■ソロス氏のヘッジファンド、円安で10億ドルの利益

日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXNASGN1500J_V10C13A2000000

 

 


■国際金融資本の真相を知り、「日本国民の国」を取り戻そう [三橋TV第299回] 三橋貴明・林千勝・saya

2020/10/09

https://www.youtube.com/watch?v=7k3awZjwq2A

 

 


■日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラク

(Dr.苫米地 2016年9月15日)TOKYO MXバラいろダンディ

https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI